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2012年10月27日 (土)

Do I Have to Hesitate? (4)

ポール・オリバーによれば,Must I HesitateとかHesitating Bluesとかいう歌は「W・C・ハンディーやルイヴィルからきたスマイズとミドルトンの双方が一九一五年に著作権を登録する前から,あちらこちらの土地で記録されている」(引用終り,ブルースの歴史,晶文社)ということだ.どこの土地でいつ記録されているのか,情報を持っていないけれど,オリバーが言う通りなのだろう.

いろいろとHesitation BluesやHesitating Bluesを聞いてきたけれど,だいたいハンディの歌詞や,スマイズとミドルトンの歌詞は使っていない.ほとんどが楽譜より前から歌われていた民衆版なのだと思う.それに,メロディーとTell me how long, do I have to wait?/...Do I have to hesitate?というキーフレーズだけを変えずに,残りの部分は歌う人が創作するとか,他の歌から借用してたんじゃないか,というところもあって,いろいろな歌詞で歌われているようだ.

自分的に一番よく聞いたHesitation Bluesはリトル・ブラザー・モンゴメリーのもので,それでHesitation Bluesっていいね,と馴染んだものだった.彼は何度か録音しているけれど,1960年にフランシス・ウィルフォード・スミスが録音してMagpieから出たものとか,1972年のStoryville録音とかを聞いていた.彼のはNow, mama, mama, can't you see...と始まって,もちろんハンディらが楽譜で発売したものとは異なる.

第二次大戦前のレース・レコードとして発売されたHesitation Bluesは,だいたい「民衆版」ではないかと思う.ウチにあるのを色々かき集めたら,こんな感じだ.

  • Sara Martin & Eva Taylor, Hesitation Blues (1923年7月), CD: Document DOCD-5395.
  • Sam Collins, Hesitation Blues (1927年8月), CD: P-Vine PCD-2431.
  • Walter "Buddy Boy" Hawkins, Voice Throwin' Blues (1929年6月), CD: Document DOCD-5035.
  • Jim Jackson, Hesitation Blues (1930年2月), CD: Document DOCD-5115.

これらの中で,ジム・ジャクソンだけは,Hello Central, what's matter with the line?とハンディ版の歌詞で始めるが,第2ヴァース以降は,I'm going to the river with a rope and rock...と別の歌詞になっていく.このジャクソンのものは軽快で歯切れ良く,爽快感がある.

サム・コリンズのも相当速いテンポで,歌詞はなんだかよく聞き取れないが,ジャクソンのものとは違うようだ.最初のヴァースはリトル・ブラザー・モンゴメリーの72年バージョンで途中に出てくるNow, take your hesitating stocking, take your hesitating shoe/He takes a hesitating woman, to sing those old hesitating bluesと同じとは言わないが,共通のところがあるように聞こえる.そうだとすればモンゴメリーのバージョンと緩やかにつながっていることになる.

タイトルではそれと分からないバディ・ボーイ・ホーキンズのものだが,途中で腹話術みたいに声色を使い分けるという,不思議な芸を聞かせる.サラ・マーティンとエヴァ・テイラーのコンビは,いかにも楽譜版ブルースを歌いそうなヴォードヴィル・ブルース歌手だが,意外にもハンディ版でもスマイズ/ミドルトン版でもない.ゆったりとしたテンポで,最初1ヴァース何かのブルースを付けて,それからHesitation Bluesの形式になる.これも歌詞は違うようだ.

フィールド・レコーディングのものもいくつかある.

  • Leadbelly, Hesitation Blues (1935年2月), CD: Rounder 1097.
  • Jelly Roll Morton, Hesitating Blues (1938年), CD: Rounder 1091.
  • Smith Casey, Hesitating Blues (1939年4月), CD: Document DOCD-5231.
  • David "Honeyboy" Edwards, Hellatakin' Blues (1942年7月), CD: Earwig 4922CD.

レッドベリーのは Got (?) hesitating stocking, hesitating shoe...で始まる.これはサム・コリンズのバージョンと共通するから,ルイジアナ州の一部では,この型だった,と言ってよいのかどうか...

ジェリー・ロール・モートンのはIf I was a whiskey and you was a duck...と始まるが,これは他の歌にありそうだ.リラックスした歌と演奏で,美しいピアノ・ソロもある.

テキサス州で刑務所暮らしをしていたスミス・ケイシーのは,I woke up this morning, half past four...とかT for Texas, T for Tennesseeとか,聞いたような歌詞をつなぎ合わせているようだ.この人は本名はケイシー・スミス,CDの解説書によると,服役中に「塀の中の30分」というラジオ番組を持っていたそうだ.囚人に放送させるなよ,無茶だなあ.

ハニーボーイ・エドワーズのは,Hesitating stocking, hesitating shoe/Hesitating woman, get your hesitating bluesというような文句を繰り替えして47秒で終わる.レッドベリー,サム・コリンズ,リトル・ブラザー・モンゴメリーのバージョンを並べると,この歌詞が民衆版Hesitation Bluesでは割と広まっていたもの,ということになるかな.

そういえばハニーボーイ・エドワーズ,東京の有楽町で見た.Hesitation Bluesなんてやらなかったと思うけど.あれは,いつのことだろう,と思ったら1978年,34年も前のことか.やれやれ,月日のたつのは早すぎるよ.

Sunnylandhoneyboyticket

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