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2017年11月19日 (日)

さらば,名歌手

アナログの7インチ盤で流行歌を売っていた頃といえば,ずいぶん昔の話で,ひとりでに,そういう7インチ盤を作っていたアーティストの訃報を始終見ることになる.この一年ほどの間,ずいぶん色々な人が亡くなってしまった.

それにしても,どんな大物の訃報よりも,ネットで見つけたこの死亡記事にがっくりきた.

Stacy Johnson, Singer with Ike Turner and Benny Sharp and the Sharpees, Has Died

あわわわ,ステイシー・ジョンソン,今年の5月に死んでたのか!なんてこった.

ステイシー・ジョンソン,そりゃあすごい歌手だったのだけれど,録音は少なかったなあ.あれだけの才能だから,いつかはアルバムの1枚くらいは作るだろう,とずっと思っていた.ところが,どうも,アルバムらしいものを作ったという情報がない.ひょっとして,1988年のジョニー・ジョンソンのBlue Hand Johnnie(Pulsar LP1002/Evidence CD26017-2)の2曲で歌ってから,2017年に亡くなるまでの29年間,全然録音なしか?そうだとすれば,この実力者に対しあまりに不当な扱いだったのではないかね.

ジョニー・ジョンソンのアルバムで,ステイシー・ジョンソンが参加したトラックの1つは,ローウェル・フルソンのTalkin' Womanだけれど,その力強い歌を聞くと,こんな歌手はめったにいない,と改めて思う.その後,ろくに録音を残さず亡くなったのはブルース/ソウル界の大損失といわなければならない.同じアルバムで,バーバラ・カーも歌っているが,彼女の方は量,質ともかなりの録音を残したのに,どうしてこうなった?

Stacy Johnson, I Stand Alone b/w Don't Try To Fool Me, M-Pac! 7230.

Mpac7230 シカゴのジョージ・リーナ―のレーベルからのもので,鈴木啓志,Soul City USA − 無冠のソウル・スター列伝,(リトル・モア,2000年)によると,1966年の録音とのことだ.レーベルには1963年1月14日のコピーライト表示があるが,これはロゴ・デザインの著作権か何かだろう.ステイシー・ジョンソンは,セントルイスのギタリスト,ベニー・シャープのグループ,ザ・シャーピーズのメンバーだったということだが,ベニー・シャープやザ・シャーピーズもジョージ・リーナ―のレーベルでレコードを出しているし,彼らとセットで録音機会を獲得したのだろうか.

I Stand Aloneの方は,昔,Chi-Town Blues & Soul, P-Vine PLP-9005/6というLPでも出たことがある.音楽の方は両面ともジャンプR&Bか初期のソウル,という曲.I Stand AloneでもDon't Try To Fool Meでも,瞬間的な爆発力のようなものが非凡だと思う.

ステイシー・ジョンソンが残した録音については,鈴木啓志さんの前掲書で丹念に追跡されているが,全部かき集めてもたいした数ではなさそうだ.元気な頃には,セントルイスのクラブとかで,どんなふうに歌っていたのだろう.それにしても,あの世に持って行ったものが大きすぎるよ,ジョンソンさん.

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コメント

 ステイシー・ジョンソン、亡くなりましたか。「コンシダー・ユアセルフ」の噂は聞いていたのですが、最初に入手したのはSony盤でした。Soul Survivor誌No6に彼のキャリアを紹介した記事を見つけた時には歓喜して読んだものです。
 セントルイスのレジェンドとして紹介されることもあるステイシーですが、確かに録音数が少なく残念です。
 もう一花咲かせて欲しかったですが、86年のTimelessLPで聴ける4曲はいずれも低調で、写真姿もぱっとぜず、落胆したことを覚えています。

投稿: 長岡KH | 2017年11月20日 (月) 21時00分

ごく若いときから才能を示していた人なのに,残念でした.
Timelessの4曲というのは,本で存在は知りましたが,聞いたことがありません.どうも,その内容だと,労力を費やして探すべきものかどうか...

投稿: BackDoorO | 2017年11月20日 (月) 22時58分

この時期に1発だけすごいguitar+bluesを出している人は結構居ます。逆にこの前も後もこのようなguitar+blues録音はさせてもらえなかったとも言えます。
その理由は、BBKingがABCに移籍してから、Kentも対抗してかつて録音された強力bluesの45を出すようになり、1967年のjungleまで、2社が競ってBBを中心としたguitar+bluesを出し、boomを起こしたからで、このboomはBobbyBlndやJuniorParkerも煽っていました。
しかしKentのBBがネタキレになった1970年ころからguitar+bluesは下火になり、soul-bluesに変わっていきました。BB自身もですが…
黒人聴衆にとってはguitar+bluesはそれほど意味はなく、むしろsoul+bluesの方が時代にあったものであったと思われます。

投稿: LazyDog | 2017年11月29日 (水) 21時14分

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