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2017年3月

2017年3月26日 (日)

ロックンロールの大御所ができるまで

チャック・ベリーの死は日本国でもそれなりに報道された.アイディア豊富で,キャッチーな,誰もが親しめる歌を作る彼の才能は抜群だった.MaybelleneSchool DayNo Money DownJohnny B. Goode,いろいろ良い曲があった.

亡くなったのでチャック・ベリーのシングル盤を,と思ったけれど,1973年のこれしか持ってない.意外と良いと思っているんだけど.

Chuck Berry, Bio b/w Roll 'Em Pete, Chess 2140.

Chess2140 チャック・ベリー(自伝),中江昌彦訳,音楽の友社,を読めば色々なブルース歌手の名前が出てきて,古い人気ブルース歌手が彼の音楽の土台になっていることが分かる.エルモア・ジェイムズを見たときのことなんかも自伝に書かれていて(p.133),ベリーとしてもエルモアは印象に残るブルース歌手だったようだ.まあエルモアを直に見たとあっては当然か.Bioは,そのエルモア・ジェイムズ風のブルース曲.曲名の通り,セントルイスにいた頃から始まって,マディ・ウォーターズとの出会いとか,自らのバイオグラフィーを歌い上げる.当然,エルモアみたいな凄みはないけれど,ちゃんと真剣に歌われたブルースだと思う.努力の末国際的なスターとなった感慨なども感じられるのではないか.

自伝にはビッグ・ジョー・ターナーを1943年に見たときのことも書かれている(p.338).Roll 'Em Peteはそのビッグ・ジョー・ターナーがピート・ジョンソンとのコンビで1938年に録音した曲.これが,歌の文句はターナーと同じだけれど,オリジナルとはがらっと変わって,見事にチャック・ベリー調のロックンロールに仕上がっている.痛快な解釈というか,このスタイルなら外さない.

Roll 'Em Peteも,ベリー自身のスタイルのオリジンを語る,バイオグラフィーみたいなものかもしれない.ターナーとジョンソンがその圧倒的な声量とブギウギ・ピアノで表したものを,ベリーが自分でできるやり方でやってみたら,ひとりでにチャック・ベリー調ロックンロールになった,ということじゃないか,などと思う.あるいはベリー自身は,オリジナル通りのつもりなのかも,などとも考える.ピート・ジョンソンとチャック・ベリーは紙一重じゃないかとか.こういうのは妄想なのだろうけれど.

昔,シングル盤のことなど何も分からなかった頃,横浜のレコード屋で米国輸入の中古シングル盤が大量に安く売られていたことがあった.このChess盤,その中から拾ってきた.もう三十何年か前のことだったろう.なかなか懐かしい.

Chuckberrynews02

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2017年3月19日 (日)

ハーモニカ一代

3月16日,ハーモニカ奏者で歌手のジェイムズ・コットンが亡くなったそうだ.81歳だった.故人を偲ぼう,と思ったが,彼のシングル盤で持っている2枚(これこれ)のことは既に書いてしまった.代わりに何かコットンが伴奏者として活躍している盤を,ということで.

Muddy Waters, Take The Bitter With The Sweet b/w She's Into Something, Chess 1733.

Chess1733 スロー・ブルースのTake The Bitter With The Sweetだが,この重量感は,さすがにマディ・ウォーターズのChess録音らしいレベルの高いもの.ばしっ,ばしっと杭を打ち込むようなフランシス・クレイのドラムも印象的だし,どのパートも良いのだが,ジェイムズ・コットンのハーモニカ,パット・ヘアのギターが音楽に与える緊迫感は相当なもの.それらをバックにマディが吠える.以前は,この1950年代後半のマディの歌い方を大仰なように思ったこともあったけれど,今では,これはこれで良いのじゃないか,と思っている.

Take The Bitter With The Sweetの作者はセントルイス・ジミーことジェイムズ・オーデンとなっている.セントルイス・ジミー自身は,どうやら録音していないようだ.

She's Into Somethingはラテンっぽいリズムを使った曲.重いスロー・ブルースの裏面にはこういうのが必要だろう.間奏ではジェイムズ・コットンの元気なソロを聞ける.

2曲とも1959年6月の録音.ジェイムズ・コットンはこのとき23歳,あと一月で24歳という若さだった.

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2017年3月12日 (日)

ディドリーとダドリー

シカゴのブルースマン,オスカー・コールマンはなぜボー・ダッドとかダドリーとか名乗ったのか.簡単なことだった.

Bo Dudley, Shotgun Rider b/w Coast To Coast, F-M 745.

Fm745 手元にボー・ダドリー名義のCD,Oscar Boogie 2,というのがあるのだけれど,それには「ボー・ダドリーの名前は,またいとこから取った」なんて書いてある.それは,ご冗談でしょう,コールマンさん.

本当の由来は,自己名義の最初のレコードであるこの盤で,Shotgun Riderをやったからに違いない.これが,どんな曲かというと,ボー・ディドリーのBo Diddleyみたいなもの.何だ,そうだったのか.芸名はボー・ディドリーみたいなのをやるから,それをもじってボー・ダドリーだよ,きっと.

果たして,そそっかしい人がこれを本物のボー・ディドリーと間違えたかというと,そこまでは似てない.本物は,かなり独特だし.しかし,ダドリーのShotgun Rider,本物にはない特典があって,それはフレディ・ルーレットの弾くスティール・ギター.これはさすがに格好良い.

Coast To Coastはダドリーが語りを聞かせる,スロー・ブルース.こちらもフレディ・ルーレットのスティール・ギターの音色は冴えている.

The Blues Discography 1943-1970によると,1968年1月の録音で,メンバーはコールマンのヴォーカルとギター,ルーレットのスティール・ギター,ビッグ・ムース・ウォーカーのピアノ,マック・トンプソンのベース,不明のドラムとなっている.

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2017年3月 5日 (日)

未CD化?未発表曲?いやいや

ジョ・ジョ・ウィリアムズのAtomic-Hレーベルの録音は,Chicago Ain't Nothin' But A Blues Band, P-Vine PCD-5560/Delmark DE624でCD化されている.ところが,我が家にある次のシングル盤,両面とも曲名がそのCDには含まれていない.ひょっとして未CD化?と思ったが...

Jo Jo Williams, Afro Shake Dance b/w You Got Be Loved, Atomic-H 917.

Atomich917 Afro Shake Danceはアフロかどうか分からないが,ボ・ディドリーみたいなジャングル・ビートを持ったインストゥルメンタル.ハーモニカはちょっと良い感じ.この曲,実はChicago Ain't Nothin' But A Blues BandのCDに入っているDavy Crockett's Jingle Bellsというのと同じ曲で,同じ録音だ.日本盤CDの解説書には未発表と書かれているけれど,実はこうやってシングル盤でCDより先に出ている.またThe Blues Discography 1943-1970では別の曲のように記述しているが,それは誤りだ.

You Got Be Lovedの方はアップテンポのブルースで,ウィリアムズの渋い歌が聞ける.こちらもChicago Ain't Nothin' But A Blues BandのCDに入っているYou Can't Live In This Big World By Yourselfと同じものだ.CDで初めて出たものではないし,これに関してもThe Blues Discography 1943-1970の記述は正しくない.

1959年の録音で,ハーモニカにP.T.ヘイズ,アルトサックスにトミー・リーダー,ギターにリトル・スモーキー・スマザーズとロバート・ホワイトヘッド,ベースがエリヤ・ジョーンズ,ドラムがリチャード・フィッシャー,というメンバー.P.T.ヘイズなんて珍しい人だと思う.他にはChanceのビッグ・ボーイ・スパイアーズやジョニー・ウィリアムズの録音で名前を見たくらいだ.

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