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2016年10月

2016年10月30日 (日)

銃声を聞く街角

いくつかのニュース・サイトが伝えるところ(例えばこれとか)によれば,今年になって,シカゴでは銃の発砲による死傷者が増えているのだそうだ.2015年には銃による死者が491人だったのに対し,2016年は9月の時点で500人を越えたという.人口270万人のシカゴ市で,年に何百人も銃で死ぬってマジか.想像もできないことだ.

Buddy Scott, Bad Avenue b/w I Ain't Doin' Too Bad, I.C.T. 127513.

Ict127513 レフティ・ディズの作であるBad Avenueは,シカゴあたりのゲットーに潜む,銃をはじめとする暴力がテーマ.Bad Avenueというのは,「大人はショットガンを背負っていて,子供はピストルを身につける」という市街だそうだ.途中,「ピストル撃ったのを聞いたぞ」という文句のところで,ギターで銃声を模擬する小技も聞かせている.印象的なブルースだ.これはシカゴの人が歌えばリアリティがある.

バディ・スコットはこの曲に思い入れがあったらしく,Verve/Gitanesでアルバム・デビューしたとき,アルバム・タイトル曲として再録音している.そのVerveのアルバム・バージョンとI.C.T.のシングル・バージョンとどちらが良いかというと,人によって好みは分かれそう.個人的にはVerveのは歌も演奏も大げさで少々落ちる,と思っているが,I.C.T.盤を迫力不足に思う人もあるだろう.

なお,レフティ・ディズ自身はBad AvenueをフランスのIsabelレーベルのLPで1979年に録音している.

I Ain't Doin' Too Badはボビー・ブランドが1964年にヒットさせたAin't Doing Too Bad.熱気あるシカゴ・ブルースになっていて.ナイス・バージョン.

1984年の録音で,伴奏メンバなどは分からない.プロデュースはハワード・スコットで,スコット一族の何名かが加わっていると予想される.

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2016年10月23日 (日)

近頃は

ボケていて,どうも,このレコードのことを前に書いたのか,どうか,よく思い出せない.前にアレは書いたな,なんて思っていたが,まだ書いてなかったようでもある.

Buddy Scott, One Eyed Woman b/w Never Be The Same, I.C.T. 70331.

Ict70331 スコット・ブラザーズの一族で,ブルース・アーティストとして活躍したのはケネス・“バディ”・スコットだった.AlligatorのLiving Chicago Blues Vol.4でスコッティ・アンド・ザ・リブ・ティップス名義で録音した後,1993年には58歳にして初のアルバムをVerve/Gitanesから出した.惜しいことに初アルバムを出した翌年,59歳で亡くなってしまった.特にずばぬけた力量があるとは思わないが,歌にはそれなりの良い味があった.Alligator録音でもVerve録音でも歌の良さは感じられた.

バディ・スコットは,あまり曲を創る方ではなかったが,その代わり,良い曲を上手くどこからか見つけてくる人だった,という気がする.One Eyed Womanは,レフティ・ディズやらジョニー・ビッグ・ムース・ウォーカーやらが録音していた曲を,アップ・テンポのブルースに改造したもの.これがかなり良い出来だと思う.タイトで勢いあるバンドをバックに,やはり歌には味がある.

Never Be The Sameはミディアム・テンポのソウル曲.一応ちゃんと作られているけど,歌い口はブルース向けではないかね.

1982年12月の録音.伴奏は,歌とギターはバディ・スコット,ベースは息子のケネス・“ハリウッド”・スコット,ギターにジェイムズ・ウィーラー,カル・クレメントのテナー・サックス,それにピアノやドラムという布陣.レーベルにはLP,One Eyed Womanから,となってはいるが,そのLPは出なかったようだ.

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2016年10月 9日 (日)

超モダン・シカゴ・ブルース

I.C.T.を運営していたのは,スコット・ブラザーズの一員で,1960年代にドゥー・ワップ・グループのザ・マスカレイダーズを結成したハワード・スコットとウォルター・スコットのようだ.というわけで,ハワード・スコット自身もI.C.T.からレコードを出している.

Howard Scott, I Wanna Be A Star (In La, La, La, La, Land) b/w Can't Get Next To You, I.C.T. 710011.

Ict710011 Can't Get Next To Youはブルース,といってよいだろう.ブルース形式は微妙に逸脱しているかもしれないけれど,ブルース濃度は高い.1987年のレコードだが,その時代にふさわしい洗練されたソウル・ブルースになっている.やや速めのテンポで,強調されたビートやコーラス隊などが格好良く使われている.ハワード・スコットの歌いっぷりもなかなかのもの.良い作品のように思える.

I Wanna Be A Starはスウィートなソウル・バラッドで,こちらも悪くない.

レーベルにMusic by the Scott Brothers Worldと書かれていて,バディ,ウォルターらスコット兄弟が演奏に参加していると考えられる.

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2016年10月 2日 (日)

タレント発掘も

シカゴのI.C.T.プロダクションはレーベルも持っていて,ノーラン・ストラックやバディ・スコットのレコードを出していた.彼らはI.C.T.レーベルからレコードを出す前にも録音経験があって,実績を買われてレコードを制作したともいえる.一方,まったく実績の無い新人をI.C.T.が発掘し,デビューさせたのがこのレコード.

Bernard Daniels, I Ain't Got A Job b/w It's Been So Bad For Me, I.C.T. 11147.

Ict11147 1976年の録音と思われる.バーナード・ダニエルズはシンガー/ギタリストで,このレコードが出たとき22歳の若さだった.伴奏は,ホーンは無く,リズム・ギター,ピアノ,ベース,ドラムという簡素な編成.両面とも,1950年代かと思わせる部分もある古典的シカゴ・スタイルになっている.ただ,弱点があって,忘れられるのもやむなし,か.

I Ain't Got A Jobはミディアム・テンポのシャッフルで,伴奏も,コリコリコリというダニエルズのギターも心地よい.問題はヴォーカルで,スムースで無理はなく,下手とは違うけれど,どうにもパワー不足だ.もっと力を入れて歌ってくれないとなあ.

It's Been So Bad For Meは,もう少しゆったりと,気だるい雰囲気のあるブルース.楽曲の良さは感じられるけれど,やはりヴォーカルが非力なのが難点.

伴奏はスコット・ブラザーズ.タイロン・デイヴィスの伴奏バンドにしてはソウルっぽさ皆無のシカゴ・ブルースを演奏している.

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