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2016年9月18日 (日)

名前からして

これは,30年以上も前,都内のレコード屋で買ったレコードで,意外と好きだった.いや,これが好きというのは,ブルース・ファンの風上にもおけない,けしからんことだ,という気持ちもあるのだけれど.

B.J. King, (Hootchie Cootchie Man) I'm Here b/w (You Put Me) Out Like A Cigarette, Cynthia 1002.

Cynthia1002 本当にそういう名前なのかもしれないけれど,B・J・キング,とは名前だけで脱力しそうだ.シカゴで活動したブルース・シンガーのようだ.この人について,知っていることを一応書くと,パイントップ・パーキンズの甥(Sebastian Danchin, Earl Hooker - Blues Master, University Press of Mississippi)だ,という話がある.また,シカゴの芸能プロダクションI.C.T.が1975年のLiving Blues誌に出した広告を見ると,この人の名前がシル・ジョンソン,オーティス・クレイ,ノーラン・ストラック,アーティー・ホワイトらと共に出ている.このCynthia盤は1978年6月15日に録音されたもの.

I'm Hereはサブタイトルの通りマディ・ウォーターズのI'm Your Hoochie Coochie Man.エフェクタを使ったギター,電気ピアノ,シンセサイザー,ホーンを使った伴奏は1978年らしいもの.最後の方で声を張って盛り上げた,と思ったら,いきなり曲調がディスコ探訪になって,それがいつまでも続くのが不思議.

意外と好き,だったのはOut like A Cigaretteの方.アップテンポのダンサブルなブルースで,伴奏はソウルとかファンクとか呼ぶにはちょっとチャラいかも.ブルース通を自認する人がここに出てきて,「こんなのブルースではない!」と言っても(多分言うだろう),まあ,そんなもんだろう,といったところ.

アレンジャーはサックス奏者のデイヴ・ボールドウィンで,彼の名前はAlligatorのフェントン・ロビンソンのLPでも目にしていた.このCynthiaレーベルのシングル盤とAlligatorみたいなところのLPとでは音作りの方向はまるで違うが,どちらが正しく制作されたブルースなのか?どちらとも言えないのでないか,と,思っている.1978年の音楽の状況で,シングル盤としてヒットを狙い,幅広い聴衆にアピールするように制作されたブルースとしては,Out like A Cigaretteの音作りはまったく正しいのではないか.

Out like A Cigaretteは,ブルース形式だし,伴奏はチャラいかもしれないがブルースらしさを残しているし,歌の邪魔にもならない.吸殻のようにポイ捨てされた,という歌の文句だってブルースらしい.B・J・キングの歌いっぷりは,名前の通りB・B・キングの物まねのようで,その点は二流っぽいが,悪くはない.ディスコ時代に売れるブルースを目指した苦心の作だったと思う.

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