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2016年9月

2016年9月25日 (日)

事務所が同じなので

1975年代のI.C.T.プロダクションの広告を見ると,B・J・キングと共にジェリー・タイロンという人物の名前も見える.この人もシングル盤を複数出している.ひょっとしてタイロン・デイヴィスの小型のつもりで「タイロン」と名乗っているのか,などと思ったが,それは違うようだ.

Jerry Tyrone Brown, Honest I Do b/w Woman Loves Woman, Blue Soul 31141.

Bluesoul31141 このレコードでは名前のジェリー・タイロンに,「ブラウン」とついているところを見ると,本当はブラウン姓なんだろう.

Honest I Doの方はジミー・リードの有名曲.ジェリー・タイロンのバージョンはテンポを速くして,ビートを強調している.ジェリー・タイロン自身がハーモニカも吹いている.原曲のほんわか感は薄れているけれど,これはこれで悪くはない.

自作ということになっているWoman Loves Womanに針を下ろすと,ファンク・ブルースが始まる,歌を聞くと,あれ,これはB・B・キングのWhy I Sing The Bluesじゃないの?と思うが,歌の内容が違っている.「女房が女とデキてしまって...」ということで,これは不倫ブルースとしてはレアな設定か.というわけで,この作品のオリジナルな点は歌詞のユニークさで,音だけ聞けばB・B・キングのカバーとも言える.ジェリー・タイロンの声質はそれなりには魅力的.

The Blues Discography 1971-2000によると1985年シカゴ録音とのこと.Wolf等でアルバムを出しているギタリスト,マイケル・コールマンがプロデュースしていて,ギターも彼が弾いている.

Ictad

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2016年9月18日 (日)

名前からして

これは,30年以上も前,都内のレコード屋で買ったレコードで,意外と好きだった.いや,これが好きというのは,ブルース・ファンの風上にもおけない,けしからんことだ,という気持ちもあるのだけれど.

B.J. King, (Hootchie Cootchie Man) I'm Here b/w (You Put Me) Out Like A Cigarette, Cynthia 1002.

Cynthia1002 本当にそういう名前なのかもしれないけれど,B・J・キング,とは名前だけで脱力しそうだ.シカゴで活動したブルース・シンガーのようだ.この人について,知っていることを一応書くと,パイントップ・パーキンズの甥(Sebastian Danchin, Earl Hooker - Blues Master, University Press of Mississippi)だ,という話がある.また,シカゴの芸能プロダクションI.C.T.が1975年のLiving Blues誌に出した広告を見ると,この人の名前がシル・ジョンソン,オーティス・クレイ,ノーラン・ストラック,アーティー・ホワイトらと共に出ている.このCynthia盤は1978年6月15日に録音されたもの.

I'm Hereはサブタイトルの通りマディ・ウォーターズのI'm Your Hoochie Coochie Man.エフェクタを使ったギター,電気ピアノ,シンセサイザー,ホーンを使った伴奏は1978年らしいもの.最後の方で声を張って盛り上げた,と思ったら,いきなり曲調がディスコ探訪になって,それがいつまでも続くのが不思議.

意外と好き,だったのはOut like A Cigaretteの方.アップテンポのダンサブルなブルースで,伴奏はソウルとかファンクとか呼ぶにはちょっとチャラいかも.ブルース通を自認する人がここに出てきて,「こんなのブルースではない!」と言っても(多分言うだろう),まあ,そんなもんだろう,といったところ.

アレンジャーはサックス奏者のデイヴ・ボールドウィンで,彼の名前はAlligatorのフェントン・ロビンソンのLPでも目にしていた.このCynthiaレーベルのシングル盤とAlligatorみたいなところのLPとでは音作りの方向はまるで違うが,どちらが正しく制作されたブルースなのか?どちらとも言えないのでないか,と,思っている.1978年の音楽の状況で,シングル盤としてヒットを狙い,幅広い聴衆にアピールするように制作されたブルースとしては,Out like A Cigaretteの音作りはまったく正しいのではないか.

Out like A Cigaretteは,ブルース形式だし,伴奏はチャラいかもしれないがブルースらしさを残しているし,歌の邪魔にもならない.吸殻のようにポイ捨てされた,という歌の文句だってブルースらしい.B・J・キングの歌いっぷりは,名前の通りB・B・キングの物まねのようで,その点は二流っぽいが,悪くはない.ディスコ時代に売れるブルースを目指した苦心の作だったと思う.

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2016年9月11日 (日)

ディスコ時代を生きたブルース

1970年代は,ディスコ・ミュージックというのが流行した時期だった.世間でよく売れている音楽がディスコ・ミュージックとあれば,ヒットを目指して作られるブルースのシングル盤にも何かしら関係しそうではある.

Artie White, Looking For A Good Time b/w Road Block, Cynthia 1005.

Cynthia1005 これは1978年録音で,この時代らしい,というか.Looking For A Good Timeは,ディスコ・ミュージックというよりはブルースなんだろうけれど,楽しく踊れることが最優先みたいな音作り.間奏とか,女声コーラスの使い方とかは,ディスコじゃないかね.とは思うけれど,アーティー・ホワイトの歌は確かにブルースではある.

Road Blockはもう少しブルースらしいブルース曲.速めのテンポのブルースで,ホワイトの歌は良いし,誰が弾いているか分からないギター・ソロも悪くない.ただアレンジは問題だなあ.ホーンは無駄に陽気だし,女声コーラスはコール・アンド・レスポンスというよりただ賑やかなだけだし,曲調とあまり関係ないイントロが意味なく長いのもどうかと思う.プロデューサー的には,あまり昔ながらのブルースでは地味過ぎて市場で相手にされん,とは思っただろうけれど.というわけで,悪くもないけれど伴奏が騒々しくて歌に集中できない面はある.なお,この曲は,バディ・スコット(スコッティ・アンド・ザ・リブ・ティップス)がAlligatorのLiving Chicago Blues Vol.4でカバーしている.

傑作とは到底いえないけれど,時代の流行を反映したものとして面白いのじゃないか.

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2016年9月 4日 (日)

これはシカゴ録音

ミシシッピ州ジャクソンのレコード屋,ジェイムズ・ベネットのレーベルには,彼がジャクソンで録音したものだけでなく,他のレーベルで出たものの再発もあった.

Artie "Blues Boy" White, Bad Intentions b/w Driving Wheel, MT 004.

Mt004 これは,シカゴのリトル・マック・シモンズのレーベルから出ていて,ベネットのMTから再発されたレコード.元々はSky Hero 63080という番号で出ていたそうだ.1980年にシカゴで録音されている.アーティー・ホワイトがシモンズのレーベルに吹き込むのは1974年のPM盤につぎ2回目のことだった.

Bad Intentionsはボビー・ブランドが1956年に録音したYou've Got Bad Intentions.ホワイトのバージョンは1980年録音らしく洗練されたアレンジとなっている.オリジナルよりずっと速く,ホワイトの歌もノリがよろしいようだ.特別に聞き所があるとは思わないが,歌,ホーン,リズム隊,間奏のギター・ソロに一体感があって,なかなか心地よい.ギターは3つくらい聞こえるが,リコ・マクファーランドが参加していて,彼は1960年生まれだから,これを録音したとき20歳くらいの若手だった.

Driving Wheelはルーズベルト・サイクス作の有名曲.ホワイトのバージョンはジュニア・パーカーのものを元にしているのだろう.メロウでゆったりしたアレンジで新鮮味を出している.こちらはリトル・マック・シモンズのレーベルらしく,彼のハーモニカが入る.と,いうよりBad Intentionsでシモンズがハーモニカ吹かなかったことの方が意外.

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