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2013年5月 6日 (月)

開設8周年・アナログプレーヤーの話とか

8年間続けた.意外と続いたのう.そろそろ何か書いてみたいと思うレコードも尽きかけている.

それで,わりと最近のこと,レコード・プレイヤーを買ったから,その話でも.

ずっと使っていたレコード・プレイヤーは30何年か前に買ったビクターJL-B37という機種だ.お値段は,当時,4万円くらいだったと思う.ずいぶん物持ちが良いようだが,今でもちゃんと回る.ただ,ときどき回転が少し遅めになるようになった.原因は分かっていて,速度調整用の可変抵抗器が劣化しているのだ.つまみを少しいじれば元に戻るし,可変抵抗器を交換すれば直りそうだが面倒くさい.昔は,電気工作にマメで,78rpmで回る秘密スイッチを付けたりもしたが,今はもうやる気がしない.こう古くてはメーカーが保守部品を持ってるはずもない.

オーディオ・マニア向けのアナログ・プレイヤーは値段が100マン円以上なんてのもよくあるようだが,欲しいと思わない.高価な機械でVG-だのG+だのという45rpmドーナツ盤とか聞くのは,うーん,それなりに良いかもしれないけど,もったいないよなあ.

そこで店頭などでときおり見かけて気になっていたSPEC+ AP-50というのを買ってみた.理由は,(1)78rpmでも回る,(2)速度調整が±20%できる,(3)お値段はまあリーズナブル,(4)内蔵プリアンプをバイパスできる,(5)見た目が悪くない,とそんなところか.30何年か前に買った4万円の機械から,いま5万円くらいの機械って,こりゃ,グレードダウンかもしれない,とは思った.いざ,使ってみると,予想通り,良いものじゃないな.

Spec_ap50_front_2

大体,ターンテーブルがふわふわとして重みがないところからして安物感がある.それより重要な問題がある.カートリッジを付け,内蔵プリアンプをバイパスし,アンプにつないで動かしてみたら,うわ,何だこりゃ.電源スイッチをいれるとぶぉーんと猛烈なハム音が出るぞ.取説にはアースをつなげとか書いてあるが,そーゆー問題じゃない.これは,このままでは使い物にならん.

内蔵プリアンプを使うとハム音はだいぶマシだ.これで我慢するか,と一旦は思った.ところが,何枚か45rpmを掛けてみたら,今まで経験したことのない嫌な歪みが感じられた.これ,アンプで歪んでるだろ.やれやれ,内蔵プリアンプも使えないのか.まあ,これについては,そんなもんだろ,と思わないでもない.メーカーはカッティング・レベルの高い45回転レコードなんて掛けたことがないだろうから.

さて,内蔵プリアンプをバイパスしたときの恐ろしいハム音は配線とかでバカなことをしているのが原因に違いない,とにらんだ.そこで,中がどうなっているのか見ることにした.トーンアームに荷重を掛けないよう,ヒンジを外したダストカバーを下敷きにして,機械を裏返した.それで,ワッシャー付きのネジを外すと裏蓋を外すことができた.中を見て盛大なハム音の原因はすぐに見当が付いた.ケーブルの端子と雑音源である安物トランスが至近距離にあるのだ.これは嫌過ぎる.トランスの吐き出す漏れ磁束がハム音の原因に違いない.それにしても,カートリッジ出力のような微小な信号を,雑音源から遠ざけるのは基本の基本だろうに,どうなってるんだ.

Ap50bottom01

結局,端子を使わず,ケーブルをトランスからやや離れた,基盤の上に直接ハンダ付けすることで,使えるレベルまでハム音は減らすことができた.裏蓋には穴があって,それは何のためにあるのか分からないが,ケーブルを通すという点では都合が良かった.どうもトランスの漏れ磁束をカートリッジが直接ひろうようで,ハム音は皆無ではないから,きびしい人はこれでもダメだろう.

Ap50bottom02

回転は33rpも45rpmも78rpmもちゃんと回るから,とりあえず使っているけれど,もうちょっと良いのに買い換えるかな.外国製品とか,わりと78rpm付きがあるようだし.

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コメント

テクニクスをプラ化したというヤツですね。構造上の欠陥があるとは考えにくいんですが、テクニクスと見比べると内部は違うのかもしれませんね。

私は何台かのプレーヤのうち、vestax handy trax が45用には重宝しています。針飛びも少ないし、飛んだりループした場合も手で修正しやすいからです。アンプはローランドのモニタスピーカーをつけていますが、セラミックカートリッジとは思えない音です。SP針も安い。
近年のメインはNumarkUSBでカートリッジをオーディオテクニカにして、パソコンでキャプチャしています。こちらは針飛び・ループはあまり手のうちようがありません。
ただベルトドライブでヘタりが出始めているので、SONYのDDを復活させようかと思っています。

投稿: LazyDog | 2013年5月 6日 (月) 22時39分

> テクニクスを...

外見の雰囲気を似せて(違うけど),中身は縁もゆかりもない,というものです.考えにくいことをしているところが凄いっす.

> vestax handy trax

これ,時々見に行くオーディオ屋のサイトで知って気になっていました.カワイイ機械ですよ.

http://www.kabusa.com/handytrax.htm

http://www.kabusa.com/ は代替ベルトも買えそうです.ここでのお買い物結果(フォノ・イコライザ)についても書くつもりでおります.

投稿: BackDoorO | 2013年5月 7日 (火) 20時49分

SPECはそんなにダメダメなんですか?
知らなかった。

この「SL-1200クローン」の成り立ちはよくわかっていません。
パーツの「似ている度」から、何らかの関連があるらしい、と
想像せざるを得ないのだけれど。

各社が勝手にパクって作っている、とは思えないんだな。
最近の、PLX-1000もそうだけれど。

テクニクスが生産委託をしたメーカーが、かかわっているのでは?
と、みんなは思っている。全く間違いではないでしょう。

---

どうしてJL-B37を直さないんですか?
ブログマスターなら、10分で直せると思います。

投稿: suomi | 2014年12月27日 (土) 16時49分

> どうしてJL-B37を直さないんですか?

老眼で細かい作業はちょっと...
その後、また1台買ってしまって(stanton ST.150)、
それはずっとしっかりした機械でした。
でも、ケーブルつけたSpecもちょいちょい使ってます。

投稿: BackDoorO | 2014年12月27日 (土) 22時41分

兄弟機のdd1200mk3を購入しました。過去使用のJL-B33H,
PL-30L,GT-1000,DP-500Mに比べたら劣りますが、無いよ
り良いと思ってます

スタントンST.150はリスニング用途として、某通販店主
に勧められましたが予算が・・・羨まし過ぎます

投稿: ちゃま | 2014年12月29日 (月) 03時41分

dd.1200mk3も、「SL-1200クローン」の仲間。
「兄弟機」ではないと思う。

本家SL-1200や、「なんちゃって」一族と、何らかのつながり、
はあるのでしょうが。(^_^;)

dd.1200mk3、使ったことはありませんが。
クオーツPLLなのに、ストロボスコープが電灯線周波数依存に
なっているようです。

ということは。

プラッターの回転数が一定でも、ストロボマークは絶えず動く。

正しい回転数でプラッターが回っていても、
東日本では、45Rpmの場合、ストロボマークは動いている。

という、クォーツPLL採用以前の機種のような動きをするはずです。

投稿: suomi | 2014年12月29日 (月) 16時45分

ちゃま様
> ・・・羨まし過ぎます

いやいや、人に羨ましがれるような機械は持っており
ませんよ。Specは高い、Stantonはまあリーズナブル、
というのが私の考えです。

suomi様
> ストロボスコープが電灯線周波数依存

Specもそのクチだと思いますよ。なにしろストロボ
が50Hz用と60Hz用の2通りついてますから。
昔ながらのストロボというか。

投稿: BackDoorO | 2014年12月29日 (月) 19時00分

Spec機とStantonとの類似性はどうですか?

同じパーツをそのまま使い回し、というのは無いでしょうが。
設計者好みやくせ、生産工程の都合等で、
「このパーツは、大変似ている」というようなものは
見あたりますか?

投稿: suomi | 2014年12月29日 (月) 19時26分

> Spec機とStantonとの類似性はどうですか?

スイッチ類の配置なんかは似てないこともないですよ。
左側に回転式の電源スイッチ、その下にスタートボタン、
その横にスピード切り替えボタン、で右側にスピード
調整用のスライド式つまみ、という具合です。
でも、これは、「DJ用ターンテーブルはこうあるべし」
みたいな習慣になってるからではないか、と思っています。
DJ用のものは他社のもこんな配置ではないでしょうか?

中身的には全然別物です。いや、Stantonの方は
開けてみてはいないですが。

Stantonのは起動と停止が速いんです。特に停止の
方がぴたっと急停止します。アームの高さ調節を
やりやすいのも感心しました。ストロボは同じもの
が33でも45でも78でも止まる、ということはクロック
信号を元にランプの点滅周期を切り替えているに違い
ありません。そんなこんなで、いろいろよくできてい
ると思います。

投稿: BackDoorO | 2014年12月29日 (月) 21時13分

78回転SPレコードを聴くために購入しました(ナガオカMP11HN/SPは別購入)。確かにハム音がひどいですね。私も投稿の記述を参考に改造してみました。①磁束を減らすために、電源トランスを鉛板でぐるぐる巻きにする。②ピックアップの線からRCA出力ピンプラグまでシールド線で最短でつなぐ。③GND線をハム音が一番小さくなるところにハンダ付けし直す。以上の改造でハム音はかなり低減しました。あとモーター音が気になりますし、オートリターンでないですが、こんなモンだと思って中国製でも我慢して使っています。

投稿: OGT | 2015年5月21日 (木) 10時52分

おお、かなり色々なことを試みられましたね。我慢できるレベルになったのは良かったと思います。私はそこまでやりませんでしたが、GND線の最良箇所くらいは探せばよかった、とコメント拝見して思いました。

いま振り返れば78回転付きでも他にも選択肢はあったな、ととは思いますね。今はメインの機械はStanton(製造は中国)です。

投稿: BackDoorO | 2015年5月21日 (木) 20時29分

STANTONにしようかなとも思いましたが、これから買われる方は両方をよく調べてからがよいでしょうね。渋谷の某楽器店では4万円弱みたいですから・・。因みに私は手持ちのアナログ(SP,LP,EP,β、VHS,LD)をPC上でデジタル化(mp3)するために、あまり考えもせずに78回転に惹かれてSPECにしました。SPECのPHONOイコは初めから信用していませんでしたので全く使っていません。代わりにプリメインアンプ(サンスイAU555)のPHONOイコを通して使ってみましたが、こちらも旧式(笑)のため雑音が気になるので、TASCAM CC222MKⅣのPHONOイコを通したところ雑音もなくグッドです。なお、手持ちのSPはこれだけなのですが、ヤマハのスチロール平板SP(ぼんせんべいスピーカー)です。出てくる音はまさに昭和40年代の音ですね(笑)。

投稿: OGT | 2015年5月23日 (土) 10時49分

他にオーディオテクニカの海外向けモデルとかNumarkとか、供給がどうだか分かりませんがThorensの安いモデルとかも候補になるかと思います。LPは生産量が増えてるというニュースがありましたが、ターンテーブルの新製品に結びつくかどうか。

> ヤマハのスチロール平板SP

あ、そういえば、そんな製品あったかも。

投稿: BackDoorO | 2015年5月23日 (土) 20時23分

こんにちわ、SPEC+ AP-50ユーザーです

フォノイコ出力のハム音ですが、私の場合フォノイコのアースにアースケーブル接続でほぼ聴こえなくなりました(少し残ってる)。

なお、スタントンはわかりませんが、SPECについては、Technicsの1200作ってた工場で製造されているそうです、似せたというわけではないようですよ。

投稿: BW802Diamond | 2015年9月 8日 (火) 13時37分

こんにちは.いや,内蔵フォノ・イコライザを使えるならあまり問題ない,という話でして.

投稿: BackDoorO | 2015年9月 8日 (火) 23時27分

こんにちは。

何も調べず AP-50 を買ってしまったらハムノイズが酷くて参っていました。

グーグル検索で「SPEC AP-50 ハムノイズ 酷い」で検索したところ、こちらのブログを発見し、ハムノイズの原因が判明したという具合です。

ブログ主さんが指南されているように、「ココにハンダ付け」の箇所に、RCAケーブルをバラシてハンダ付けしましたところ、ハムノイズはウソのように無くなりました。

非常に有益な情報をありがとうございました。

投稿: TOUCH | 2016年11月25日 (金) 20時49分

お役に立ちましたか!それは良かった.

投稿: BackDoorO | 2016年11月25日 (金) 22時12分

私はつい先日PLX-1000を購入しましたが、MCカートリッジがメインなのでハム音が酷くて困りました。

購入した後でメーカーサイトのよくある質問を見たら、「本製品にはMMタイプをおすすめします。MCタイプをご使用の場合、ハム音が出ることがあります」とありました。

問い合わせても、「DJ機器として設計されておりますため、一般のオーディオ用レコードプレーヤーとは思想が異なるもの」と言われてしまいました。しかし、R側よりL側が酷いのでサービスに持ち込みましたが結果は同じでした。

私から見たら不良品レベルですが、メーカーがそれを認めないので仕方なく電源トランスと、その基板を外して外付けにしたところ、当たり前ですがハム音は全くしなくなりましたので、このまま使用することにしました。ハム音以外はよくできたプレーヤーなのでこの点が非常に残念です。(でもハム音が酷ければ論外ですよね?)

投稿: 石見銀山 | 2017年3月 8日 (水) 13時00分

それは、かなり大工事でしたね。最初から電源ユニットが外付けの作りになっていればよいと思うのですが。
普通に入手できるカートリッジで、ひどいハムが出るのは、メーカーの意識を疑います。

投稿: BackDoorO | 2017年3月 8日 (水) 20時22分

全くおっしゃる通りです。Pioneerといえば、ExclusiveやTADというイメージですが、「DJ用は思想が異なる」と恥ずかしがりもせずに言われました。

そうまで言われるなら、製品のサイトに「リスニング用途にも高音質です」とは言わず、「DJ製品ですから、リスニング用途には適しません」というべきです。

トランスの位置を1番遠くにして、ピンジャックの取り付け位置を、アームベース直下にすれば遥かに良くなるはずなんですが、そんな私のような素人にも分かる事を試しもしない姿勢は、もはや存在価値がないと思います。

投稿: 石見銀山 | 2017年3月 8日 (水) 21時04分

それなりのお値段なんですね、パイオニアのこれは。使えるようになったことは良かったです。

投稿: BackDoorO | 2017年3月 8日 (水) 23時53分

突然失礼します。
先日、だいぶ前に発売していたSONYのPS-LX350Hという製品を
手に入れました。針を買いに寄ったヨドバシカメラでAP-50とAP-30を見かけて、「あっ、これウチのとほぼ一緒じゃん」って思いました。ダストカバーとターンテーブルは同一品に見えます。

PS-LX350Hの底面パネルには33回転と45回転、それぞれの可変抵抗を回すための穴が開いています。底面パネルやインシュレーターも
パーツを流用してるのかもしれませんね。

投稿: 通りすがりの素人 | 2017年3月24日 (金) 22時51分

SONYのサイトで写真を見ると、アーム、スピード切り替えスイッチ、針先を照らすランプの有無、ケースの形、等ビミョーに違いますが、間違い探しみたいで、雰囲気はよく似ていますね。デザインの違うのを作ればいいのに、と思います。

投稿: BackDoorO | 2017年3月25日 (土) 18時04分

SPEC+ AP-50やNeuDD1200mk3は、
おそらく台湾のHanpinからのOEM品です。

↓ベースモデル。供給先メーカーの要望に応じて微妙なアレンジをしてる
http://www.hanpin.com.tw/Products/02_DJ-3560.html
日本のメーカーが台湾のOEM専業メーカーから仕入れているだけ


この専業メーカーは有名なターンテーブル製品製造の大半を請け負っています。
例えば・・・
ヌマークの「TTUSB」とか・・・http://www.hanpin.com.tw/Products/02_DJ-U1160.html
スタントンの「T.92 M2」とか・・・http://www.hanpin.com.tw/Products/02_DJ-5500.html
オーディオテクニカ、デノン、パイオニアの低価格品
http://www.hanpin.com.tw/Products/02_FU-700.html
http://www.hanpin.com.tw/Products/02_HP-R200.html

投稿: ノリ | 2017年7月 5日 (水) 05時43分

参考:DJ/ターンテーブリズム@まとめwiki
機材まとめ(ターンテーブル)
https://www9.atwiki.jp/nicoratch/pages/728.html

投稿: ノリ | 2017年7月 5日 (水) 09時47分

> おそらく台湾のHanpinからのOEM品です。

おお。合点がいきました。
詳細なサーベイも大変すばらしい。ここを見にくる人の役に立つと思います。ありがとうございます。

投稿: BackDoorO | 2017年7月 5日 (水) 20時11分

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