« 開設8周年・アナログプレーヤーの話とか | トップページ | 古レコードの録音特性(2) »

2013年5月12日 (日)

古レコードの録音特性(1)

直径7インチ,1分間に45回転のドーナツ盤レコードが普及する前,10インチ,78回転のレコード,SP盤と呼ばれるものでブルース音楽は売られていた.もっと昔,1920年代中頃以前になると回転数もレーベルごとに違っていた時代があったそうだけど,その時代のものも78rpmとかSP盤とかいって話は通じる.正しくはCoarse Grooveというのかもしれないけれど.

78回転のレコードのレコード,本当に少ししか持っていないし,あまり増えすぎると困る,と思っている.かさばるし,壊れやすいし,ひびが入ったりするし,ということで面倒くさいメディアだ.でも,この辺が微妙な感情だが,増えすぎると嫌だが,欲しいと言えば欲しい.こんな古いものに音楽が入っている!ということ自体に心ときめくし,骨董的興味もある.好きな音楽が,最新のものとして発売されたときの形態で手に入れるのも意味があると思っている.それに,盤のコンディション次第だけれど,意外と良い音で音楽を楽しめることもある.レコード・コレクターズ誌Vol.4, No.6, Oct.1985の特集みたいにSP盤の方が音がよい,と言い切るつもりはないけれど.それでも変なLPやCDのリイシューよりは,78rpmを自分のプレーヤーで聞いた方が良いことがある.

1分間に78回転で回るターンテーブルと,SP盤のCoarse Groove用の先端の太い針を装着したカートリッジがあればSP盤を聞ける.しかし,それだけではレコードの実力を発揮できていないだろう.昔のレコードは,録音特性が会社ごとに違っていて,カートリッジ出力を増幅するイコライザ・アンプの特性もそれに合わせないと正しい音にならないからだ.

1920年代中頃以前,アコースティック録音とかラッパ吹き込みとか言っていた時代は,ただ音による空気の振動をそのまま音溝に刻むだけで,特段の録音特性もない.しかし,その後,盤面の利用効率とかの関係で,低い周波数では定振幅記録といって再生時に低音ほどブーストが必要な特性にして,高い周波数では定速度記録というフラットな特性で再生する仕様が使われるようになった(参考:井上敏也監修,レコードとレコードプレーヤ,ラジオ技術社).この「低い周波数」と「高い周波数」の境目が問題で,これがレーベル,時代によって違う.この境目の周波数をターンオーバー(Turnover)と呼ぶ.

一方,高い周波数の成分を,録音時に強調して,再生時に逆に減衰させることも可能である.再生時に高い周波数の成分を減衰させるのは,雑音の点では有利となる.このとき,再生時に高い周波数をどれだけ減衰させるか,周波数10kHzの減衰量のデシベル表示で表す.この減衰量をロールオフ(Rolloff)と呼ぶ.

アメリカレコード協会(RIAA)が1955年にターンオーバーが500Hz,ロールオフが-13.8dBの特性を標準として以降,世界的にこの特性が使われるようになった.我々がフツーに入手する7インチ45rpm盤も33rpmのLP盤もこの特性で作られている.そこで,普通に変えるレコード用イコライザ・アンプもこの特性だけをサポートしている.しかし,それ以前,特に78rpmは,ターンオーバーもロールオフもレーベルごとにバラバラ,同じレーベルでも時代によって変遷し,どうかすると盤によっても違うそうだ.

そうなると,1955年以前のものについては,レコードが作られたときの,正しいターンオーバー,ロールオフを使い,本当のレコードの音を聞きたい,とずっと思っていた.78回転で回る新しいターンテーブルも買ったので,これを良い機会として古いレコード用のターンオーバー,ロールオフを設定できるイコライザ・アンプも購入した.TDLという会社のModel 4010という機種で,そんなに高いものでもない.そんなに数が出る機械でもないだろうけど,受注生産とかで,何週間か待たされた.回路図からすりゃ同じようなものを自分で作れそうな気もするが,老眼でハンダ付け技術が怪しいから,やめておいて正解だろう.

使ってみた感じは,買って良かったのではないかなあ,と思っている.ツマミがいっぱい付いていていじりがいがあるし.
Tdl4010

|

« 開設8周年・アナログプレーヤーの話とか | トップページ | 古レコードの録音特性(2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/103105/57371754

この記事へのトラックバック一覧です: 古レコードの録音特性(1):

« 開設8周年・アナログプレーヤーの話とか | トップページ | 古レコードの録音特性(2) »