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2011年1月 3日 (月)

針飛びを直した話

ソウル・シンガーでギタリスト,L・V・ジョンソンのPalos盤はシカゴ・ブルースの良作だという評判を読んだことがある.

L.V. Johnson, Don't Mess With My Baby b/w Find Yourself Another Man, Palos 1203.

Palos1203 このレコードが届いてみたらDon't Mess With My Babyの最外周に大きなキズがある.「針飛ぶんじゃねえか」と思ったら案の定だった.実は最初聞いたときは気づかなくて,「キズはあるけど,なんとかオッケー」と思いかけたのだけれど,パソコンで録音して聞き返したらイントロでいやに唐突な部分がある.それで,あ,やっぱり針飛びだ,という訳で.

落胆したけれど,そう言えば縫い針で針飛びを修復するっていう話を何かで見た記憶がある.それを思い出して検索してみたら,そういうページがいくつか出てきた.そうなると,やってみなくちゃね.

良い子はマネしないように

万一,「自分は悪い子なので同じことをする」という人は自己責任でやって下さい.真似をしたせいで何百ドルの何々が...と言われても,ちょっと困るんで.

さて,針飛びの修復は色々流儀があるようだけれど,一番道具がいらなさそうな,ここ

http://donaldsauter.com/fixing-record-skips.htm

の方法を試みることにした.その方法は次のようなものだ.

1. 針が飛ぶ問題箇所が中心より左側になるように盤を置く.

2. 修復用のピンの先を問題箇所の手前,下の図でB点にやさしく置き,キズの箇所を通るようにA点に向かってまっすぐ針を引く.つまり音溝をカートリッジの針とは反対方向にピンが通過するようにする.保護用の布を盤に敷いて,その上に右手を置いて行うとよい.

3. ピンを引っ張るのは2〜3mm,キズの大きさ分で十分である.盤を突っついたり,ほじくったりしてはいけない.ピンの頭を進行方向(向こう側)に45度くらい倒すとよい.B点から少し圧力を増して,キズを通過したら圧力を減らし,A点でやさしくピンを持ち上げる.

4. 以上のことを数回繰り返す.隣接する2,3の音溝にも同じことをする.ピンは完全にまっすぐ引っ張り,途中で隣の音溝にはまり込んだりしないよう気をつける.

Skip01

上のサイトによれば,この方法で9割がたは針飛びを解消できるそうだ.

しかしね,これをやるかね.キズのある盤を鉄の針でこするんだからね,荒療治には違いない.音溝は78回転盤なら見えるけれど,マイクログルーヴの45回転盤だと,どうだろう.老眼気味の人間がやるのは無謀だよなあ.念のため作業用のルーペ,ちゃんと両手を使えるタイプのを買ったよ.

Loupe01
うーん,ルーペで見てもやっぱり音溝は細いねえ.よーく見れば,まあ,なんとかいけるか,というところ.修復用のピンは上のサイトの人は「縫い針よりもstraight pin」などと言っているが,写真のようなまち針を使った.

Pin01
まず,予行演習として,どうでも良い針飛び盤2枚で試したら,あっさり直った.ただ,これらは,音溝を安い顕微鏡で見て分かったのだが,汚れがこびりついていたことが原因だった.問題の盤はキズが針飛びの原因である.顕微鏡で問題箇所を見ると音溝は相当に凄いことになっている.直るのか,こんなの.ちなみに顕微鏡というのはこんなの.

Microscope01
やった!

まあ,とにかく手順通りやって,クリーニングして,聞いてみた.結果は,成功だった.修復前は「ダダダダダダ」というイントロが2拍ちょっとの半端なところでギターが「クゥイーン」と始まっていて変だったのに,修復後は4拍後にギターが始まるようになった.これで正しいのだろう.修復した部分は,もともとキズがあるので無音とはいかないが,意外にも,あまり大きな雑音は出ない.やれやれ,良かった良かった.めでたいのう.

それで,音楽は?

針飛びを修復出来たDon't Mess With My Babyだけれど,なるほど評判通りのナイス・ブルースだった.ジョンソンはごわごわした,かなり迫力のある声でニュアンス豊かに歌っている.誰かに似ているとは言いにくいが,1960年代以降のシカゴ・ブルースのスタイルだ.ホーン・アレンジもギターも格好良く決まっている.The Blues Discography 1943-1970はギターをprob. Fenton Robinsonなどとしているが,そんなことはない.これはL・V・ジョンソン自身のギターだろう.

L・V・ジョンソンはアルバムも含め,かなりレコードはあると思うが,ほとんど聞いていない.良くわからないけどブルースはやってないんじゃないかな.ギタリストとしてはボビー・ブランドのアルバムTry Me, I'm Realでリード・ギタリストとなっていたり,リー・ショット・ウィリアムズのレコードで弾いているのもあるそうだ.

Find Yourself Another Manの方はミディアム・テンポのソウル曲で,格好良い.これを聞くと,L・V・ジョンソン,ソウル方面に進んで正解だったと思える.

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コメント

音飛びするレコードがあります
修理そていただけませんか?

投稿: 紺野 | 2015年5月18日 (月) 14時39分

硬貨を何枚か載せて逆回転させたらなおりました
すみません

投稿: 紺野 | 2015年5月18日 (月) 15時08分

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