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2010年12月18日 (土)

ニューヨークの喧騒・その6

有名人にしようか,無名人にしようか迷って,有名な方にした.

Wilbert Harrison, Off To Work Again b/w After Graduation, Neptune 123.

Neptune123 昔々,高校生だったころ,放送部の部室のレコードプレイヤーで同学年のH君がブライアン・フェリーのLet's Stick Togetherを掛けていた.それを聞いて,ああウィルバート・ハリソンの曲だな,と分かった.ウィルバート・ハリソンの曲が分かる高校生は周囲には自分くらいだったが,ハリソンのレコードを持っていたのではない.中村とうようさんのラジオ番組で流れた彼のLet's Work Togetherを録音して,好きでよく聞いていたから知っていたのだ.H君も今は五十男だが,どうしているだろうか.もうブライアン・フェリーなんて聞いてないだろうな.こっちは今でもウィルバート・ハリソンを聞いているのだけど.

その後,大学に通うようになってから,ハリソンのLPを少しだけ買ったけれど,彼は純ブルース歌手でもなくて,LP単位ではちょっと冗漫な感想も持ったものだ.それでも強力に惹かれる曲が結構あって,好きな歌手だ.ふにゃっとした,とぼけた歌い方なのだが,そこに何とも言えない人間味や哀愁が感じられる.

ウィルバート・ハリソン,持ち歌をポップ・アーティストがカバーした,という点ではちょっと凄い.Kansas Cityはビートルズ,Let's Stick Togetherはボブ・ディラン,だもんなあ.まあビートルズとかディランとか,古すぎてぴんと来ない面はあるけれど.そう言えば,先日,ビートルズを知らない十代が現れたというニュースがあったけれど,それはしょうがないんじゃないか.ビートルズもディランも,五十過ぎの自分が子供の頃には既に大人だったんだから,十代の人からみたら大昔の人だよ.ええと,そんなことはどうでもよくて,ブルース系の歌手で,一時は社会現象みたいだった二大アーティストに曲をカバーされたというのは珍しいほうだろう.

さて,このNeptune盤はFuryで多くの傑作を残した後,1961年にニューヨークで録音されたもの.これが,もう,素晴らしい出来.Off To Work Againはミディアム・テンポの,Draftedとか,ああいうタイプのブルース形式の曲.得意のスタイルで,持ち味の良い面が全開というところ.歌に対してサックスが巧みに応答しているが,これはキング・カーティスが吹いている.間奏ではハリソンのハーモニカが入る.彼のハーモニカ演奏は音程がほとんど上下しないという不思議なものだが,そのハーモニカ演奏を堂々とレコードにして,ちゃんとした音楽に聞こえるのだから,この人,天才じゃないか.まあ,この曲は彼のハーモニカでは違う音を使っている方だけど.

After Graduationはかなり甘口の,R&Bバラッド.この手の曲も得意にしていて,やはり余人をもって代え難い,という味わいだ.

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