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2010年5月 8日 (土)

ジェイムズ・スコット・ジュニアのこと

以前,J・L・スミスのレコードのことを書いたけれど,そのレコードでギターを弾いていたのはジェイムズ・スコット・ジュニアという人だった.その記事を書いたときには,このジェイムズ・スコット・ジュニアについて,「ディスコグラフィの何箇所かに出てくる名前」という以上のことを知らなかった.しかし,その後,古いLiving Blues誌(No.58, Winter 1983)に彼の追悼記事が出ているのを知り,それを読むと彼のことがかなり詳しく分かった.

W. Williams and His Blues Men/W. Williams and Sonny Wash, Mississippi Round House b/w Don't Lie To Me Lover, Little Lynn 133-569.

Littlelynn133569 W・ウィリアムズは38 WomanやアルバムRaw, Unpolluted Soulで知られるドラマー,ウィリー・ウィリアムズだが,このレコードでジェイムズ・スコット・ジュニアがギターを弾いている.

Mississippi Round Houseというのは中くらいのテンポのインストゥルメンタルのブルース曲で,ジェイムズ・スコット・ジュニアのギターが終始ソロを弾く.くっきりとした音色のギターは,確かにJ・L・スミスのレコードで聞いたものと同一人物によるものと分かる.曲の出来としては特に凄いということはないが,ローダウンな雰囲気は快い.ジェイムズ・スコット・ジュニアのギターというのが,この時代の他のギタリストとは全然別路線という感じで,不思議だとも奇妙だとも個性的だとも言える.上手い,とは言いにくいのだけれど.

サニー・ウォッシュという人が歌うDon't Lie To Me Loverは,R&Bっぽいジャンプ・ナンバーで,ジュニア・ウェルズのMessin' With The Kidとか,そういう系統の曲.熱く歌っていて,なかなか良い.スコットによるギターの間奏も入る.サニー・ウォッシュという人については何も分からなかった.

Living Blues誌の記事によればジェイムズ・スコット・ジュニアは1913年1月21日,ミシシッピ州レキシントンの生まれ,というから随分古い世代の人だ.レキシントンをGoogle地図で見てみると,先日竜巻のニュースがあったヤズー・シティとかが割と近い都市だろうか.ミシシッピで,名前を見ても誰だか分からないローカルなブルースマンの影響を受けてギターを始め,同州のヴァンスやランバートで活動するようになったそうだ.スコットのことを誉めているスヌーキー・プライアーは子供の頃から彼のことを知っていたようだ.

スコットはボイド・ギルモアのAll In My Dreamsの伴奏者として初録音を経験している.エルモア・ジェイムズの曲のイントロ(と間奏?)をつなぎ合わすという荒技で加工してある曲だが,ギルモアが歌っているときと,一番最後の短いソロでスライド・ギターを弾いているのがスコットらしい.スライド・ギターはロバート・ナイトホウク譲りで,得意だったそうだ.

Jamesscott スコットは1940年代半ばからL・B・ローソンという歌手らとバンドを組んでいて,L・B・ローソン・アンド・ジェイムズ・スコットとして1952年にSunレーベルへ5曲録音している.しかし,サム・フィリップスは売れないと思ったのか,それらを発売しなかった.今では5曲ともCDで聞けるようになっていて,ギター・ブギ3曲にスロー・ブルース2曲という内容だ.バンドの演奏能力は高くもないが,ドロドロとした音楽で,これはミシシッピ・デルタ由来のスタイルだろう.ジェイムズ・スコット・ジュニアのギターにはこのW・ウィリアムズ名義の盤で聞けるものと共通のものが感じられる.彼がシカゴに出てきたのは1950年代中頃だそうで,以降は同地で色々なブルース屋のサイドマンとしても,自分のバンドでも活発に演奏活動していたようだ.1960年代にはJ・L・スミスと録音したが,スミスはスコットを彼のいとこだと言っていたという.

このW・ウィリアムズ名義のレコード,正確な録音年月日は分からないが,1970年前後のものだろう.Living Blues誌の記事はテキサス州アマリロ(Amarillo)で録音された,としている.

ジェイムズ・スコット・ジュニアのユニークなスタイルはもっと知られても良かっただろうが,さほど録音されることもなく1983年7月18日に亡くなっている.

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