シカゴとパリとシャーロット
シカゴで1970年代くらいから活動していた女性ブルース歌手,ゾラ・ヤングは,つい先日フランスで録音したアルバムが出たばかりだ(Delmark).この人は初録音をフランスで1982年に行ったようで,昔からフランスとは縁が深い.その後サニランド・スリムのAirwayからシングル盤を出していて,それはCD(Earwig CD4942)で聞けた.次のレコードは,1980年代半ばか後半くらいのものかねえ,と思うんだが.
Zora Young, Stumbling Blocks And Stepping Stones b/w Feel Like Stroking, Wax Museum 4620.
派手なギタリストというイメージのあるモーリス・ジョン・ヴォーンがプロデュースをしている.当然ギターは彼だろう.
Stumbling Blocks And Stepping Stonesはアンプリファイド・ハープ入りの1950年代風シャッフルのブルース.なーんにも新しいところはないが,こういう音なら,まあ,とりあえず,いつ聞いても心地良い.ゾラ・ヤングの歌は,ちょいハスキーな声で,アーリーン・ブラウンなんかには表現力で及ばないと思うけれど,それなりに良い.
Feel Like Strokingも似たような曲調だが,ハーモニカの代りにホーンが入って,少しモダンになり,イントロのギターはDust My Broom風だ.Airwayでも録音していた曲で,それに比べると伴奏は大分お行儀が良い.こっちはやや目立つギター・ソロが入る.それでも,モーリス・ジョン・ヴォーン,恐れていたよりは大人しいな.
レーベルのWax Museumだが,ノースカロライナ州シャーロットの住所が記されている.え,なんで,と思うが,録音はシカゴなんだろう.
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コメント
またまたお久しぶりになってしまいました。
ゾラ・ヤングですか・・・彼女の「Stumbling...」はシャグ・クラシックスです。
シャグ(shag)とは、今でもノース・カロライナのマートル・ビーチとかシャーロット周辺で根強い人気を誇っている「ビーチ・ミュージック」(beach music)というダンス・ミュージックのスタイルです。
「Wax Museum」はもう30年以上もこの地の音楽シーンをリードしてきたミュージック・ショップ。
今でもこの店、通販などで世界中を相手にしているだけではなく、いろいろなレーベル名で、CDなどを出し続けています。
以前は7インチもアルバムも多数出していまました。
どれもフィンガースナッピンな踊れるアップ~ミディアムテンポの曲で、白人黒人お構いなし、オールティーズ・タイプのものからこういうブルースまでOKというジャンルです。
(主にはソウル~R&Bですが)
この辺、話し始めると大変なので「beach music」でググってみてくださいね。
ゾラがブルースティング(Blue Sting 007)レーベルに残したアルバムの中のこの曲が彼らの嗜好にとまり、シングルとしてアメリカでリイシューされたと、記憶しています。
シングルは分かりませんが、アルバムは87年のリリースです。
モーリス・ジョン・ヴォーンはシカゴで数回見ましたが、ステージ上の彼はとても凡庸です。何の特徴もない人です。
ただ最近の彼のグループには必ずトロンボーンが入っていることが、ちょっと珍しいくらいです。話をしても、地味で控えめな人でした。
投稿: むらたまこと | 2010年4月27日 (火) 21時44分
> シャグ・クラシックスです。
はあ???それは一体...
> シャグ(shag)とは、今でもノース・カロライナのマートル・ビーチとかシャーロット周辺で...
何だか広い米国にしては,おそろしくローカルな音楽ジャンルって感じもしますが.いや,「音楽ジャンル」って言い方でいいんですかね.通販で世界中を相手にって,愛好家がブルース・ファンより多かったらびっくりですが.
> ゾラがブルースティング(Blue Sting 007)レーベルに残したアルバム...
すると,これはヨーロッパ録音なんですか.それにしても,どこがその種の人々に受けたんでしょうね.こーゆーブルースはよくあるようにも思うんですが.さほどメジャーでもないアルバムの1曲だけがそのジャンルに取り込まれたというのも不思議なことです.
それにしても驚愕の事実でした.世の中には知らないことが色々ありますね.
> モーリス・ジョン・ヴォーンはシカゴで...
そうでしたか.好きではなかったのですが,アルバムを出したり,自分のレーベルを興したり,あの世代の人としては波に乗り掛けたような印象が一頃はありました.これは現場を見ないと分かりませんね.
投稿: BackDoorO | 2010年4月27日 (火) 23時02分