« 天才二世あらわる | トップページ | ニューオーリンズは懐メロ再生工場(続き) »

2009年11月15日 (日)

ニューオーリンズは懐メロ再生工場

前回のDrifting Bluesは,古い,1940年代に録音された歌を30年くらい経ってから焼き直したものだったが,同じ様に古い歌の再録音,ということで.

Rose Davis, Sittin' And Drinking b/w Yes I've Been Crying, Excello 2335.

Excello2335 ニューオーリンズのR&B歌手トミー・リジリーは,1973年からプロデューサー業に転身し,その初期の制作作品がこのローズ・デイヴィスのものだという(John Broven, Rythm & Blues in New Orleans, Pelican).The Blues Discography 1943-1970は1968年録音としているが,おそらく間違いで,1973年頃の録音と思われる.

Sittin' And Drinkingは,ナッシュヴィルの女性歌手クリスティン・キトレルがSittin' Here Drinkingの題名で1952年にTennesseeに録音した,あの曲.キトレルは1961年にSittin' And Drinkingの題名でVee Jayに再録音していて,ローズ・デイヴィスはそちらをお手本にしているのかもしれない.デイヴィスのこのバージョンは,語りも含めて原曲に忠実に再演しているが,ソウル世代らしいところがちらっと感じられもする.伴奏はさすがに1970年代のソウル・ブルースらしいアレンジになっているが,楽曲によく合っている.ナイス・ブルースと言って良いと思う.ニューオーリンズではローカル・ヒットしたそうだ.

Yes I've Been Cryingの作者はデドリック・マローンとなっている.それじゃあDukeで出ていたんだろうな,と思って探してみると,ミス・ラヴェル,つまりラヴェル・ホワイトがこの題名の曲をDuke 307という番号で出していた.ラヴェル・ホワイトのオリジナルは聞いたことがないけれど,このローズ・デイヴィスのものとは相当に違うんじゃないかな.こっちはいかにもニューオーリンズ,という感じで作られている.セカンド・ラインというのか,変則リズムの部分と,ルイジアナ風甘口バラッドみたいな部分が交互に出てくるという構成で,それがちょっと目まぐるしく感じられるのが難点だ.

このExcello盤は,もともとPlayというレーベルで出たものの再発のようだ.ローズ・デイヴィスはExcelloでもう1枚シングル盤を出していて(Excello 2337),そのレコード,Kiss Tomorrow Goodbyeというのはかなり良いソウル・バラッドだと思う.

|

« 天才二世あらわる | トップページ | ニューオーリンズは懐メロ再生工場(続き) »

コメント

また、少しご無沙汰です。
ローズ・デイビスに反応してしゃしゃり出てきました(笑)。
クリスティン・キトレルのはまさに名唱、ローズのはそれにあまりにも引きづられていますが、このムードは何とも堪りません。
僕が大好きだったシンガー、シングルです。
裏はまだラベル・ホワイトがミス・ラヴェルだった頃に2回出したシングルと同曲です。
たぶん59年か60年ごろのリリースなはずです。
もうこの頃にはジョニー・コープランドの恋人兼シンガーの域を出て、全部で6枚のシングルを残す立派なシンガーとなっていたようです。
デュークのレビューの古いポスターでも、扱いはわりと大きかったです。
そして、このシングルはお書きのように「PLAY 101」の再発です。
バージョンは全く同じですが、PLAY盤のほうには「PRODUCED BY TOMMY RIDGLEY」のクレジットがあるのは注目です。
ローズのエクセロでのもう一枚(2337)は、よりソウルファン向きですね。
何といっても古いソウル・ファンには絶大な人気を誇るオセンチ・バラード「KISS TOMORROW GOODBYE」のリメイクだからです。
以前はこのカヴァー・バージョンだけを集めた私家版カセットテープがコレクター間に出回っていたこともあるくらいです。
裏の「THAT’S ENOUGH」も、ロスコー・ロビンソンとどちらがオリジナルか論争になった懐かしいミディアムです・・・。
もうこんなことだらだら書いていると怒られそうですね。
あまりの懐かしさについ・・・です。

投稿: むらた まこと | 2009年11月16日 (月) 20時49分

> 以前はこのカヴァー・バージョンだけを集めた私家版カセットテープが...

良い曲だな,と思ってはいましたが,そんなに人気があったとはまったく知りませんでした.それにしても,知られざるマニア様の世界があるようですね.

投稿: BackDoorO | 2009年11月16日 (月) 21時44分

いま気が付きました・・・僕、ここにいつものハンドルネームとは別の名前で書き込んじゃってましたね・・・すみませんでした。
(訂正できますでしょうか?ご面倒をおかけします)
BackDoorOさんは、写真集はお集めですか?
ソウル系のレーベルのNUMEROから最近出た「LIGHT:ON THE SOUTH SIDE」というリリースは、何とCDではなく、ヴィニールのアルバムが2枚と写真集という作りでびっくりしました。
写真集はシカゴのサウスサイドの黒人クラブに潜入した70年代初期の写真を集めたもので、ブルースマンそのものに焦点を合わせているわけではないのですが、当時のブラックカルチャー最深部を味あわせてくれる分厚い本、この数日、僕を惹きつけてやみません。
アルバム2枚には、シングル盤からの70年代録音のソウル調(あるいはファンク調)ブルース18曲がレーベル写真などと共に収められています。
(こちらはコアなコレクターにはそう珍しいというものは入っていません)
そのうち日本にも入ってくるかもしれませんが、送料も高そうで、値段を考えると?かも知れませんが・・・。
情報としてお知らせさせていただきました。
(リトル)マック・シモンズのポスターとかクラブの名刺とか「そそられる」写真もおまけについています。

投稿: むらたまこと | 2009年11月20日 (金) 20時44分

> ソウル系のレーベルのNUMEROから最近出た...

これですか.

http://www.youtube.com/watch?v=ZoKdiKz9yWY
http://www.youtube.com/watch?v=O3u9pb1G4L0

やれやれ,モノが増えちゃいそうですね.付録LP(付録なんですかね?)の選曲も面白いのじゃないかと思います(私は知らないのがいくつもあります).

これは,しかし,LPを付ける必要があるんだか,どうなんだか.話題にはなりそうですね.

投稿: BackDoorO | 2009年11月20日 (金) 21時10分

目新しいことは何もありませんが、彼女について触れられている新しい記事を見つけました。http://www.sirshambling.com/artists/rose_davis/rose_davis.html
ジョンはイギリス人、ディープソウル系のライナーノーツを沢山書いている人です。
以前、彼の家に行ったことがありますが、コレクションにはブルースもかなり沢山あるんです。
でも、彼は「ブルースは嫌い」なんだそうです。
ディープソウル一筋ってやつですか。
僕なんか「流れ」で、戦前ブルースから、ジャズ、ゴスペル、ソウル、ヒップホップ・・・みんな聞けちゃうんですけどね(笑)。

投稿: むらた まこと | 2009年11月23日 (月) 20時27分

> 彼女について触れられている新しい記事

ここを見ると,ローズ・デイヴィスって,Excelloから出た4曲しかないんですか.もうちょっとあっても良さそうですが,全国ヒットが無ければ仕方ないですかね.

教えていただいたサイト,初めて見ましたが,当ブログでとり上げた人も含め,私がブルース屋と認識している名前がちらほらありますね.

> 僕なんか「流れ」で、戦前ブルースから、...

なかなか,そうはいきませんよ.私なぞも狭い方です.何か普段と違うものを聞いて,すぐ良さを理解する力が欠けているんですかねえ.

投稿: BackDoorO | 2009年11月23日 (月) 22時08分

最近のリリースつながりなので、ここに書かせていただきます。
ブートだとは思いますが、「JERICHO ALLEY VOLUME 1」というロスのFLASHレーベルのコンピレーション・アルバムが出ています。(日本にも入っているはずです)
スリム・グリーンのCANTON盤両面の他は未発表曲4曲を含むFLASHレーベルのブルースのシングル盤で構成されているこのCD、中々の味わいです。
僕は幸いにしてその半分以上をオリジナルで持っているのですが、その理由は80年代初期にロスのウェスト・アダムス通りにあった、ダニー・フラッシュが店主だった頃のFLASH RECORDSに行って、レコードの総ざらえをしたからなのです。
雰囲気はジャケットのオリジナル店に似ていて、キャンディーなどを売るガラスケースの後ろにシングル盤の倉庫。
もうその頃は僕はブルースというよりはソウル・ファンでしたから目的はデッドストックのソウルのシングル盤、でも棚を探していると出てくるは出てくるはFLASHのオリジナルのシングルの他にもウェストコーストのコレクターズ・アイテムが次々に・・・あの時は本当に興奮しました。それもオリジナルのスリーブに入って超ミントの状態で並んでいるのです。
ソウルのシングルは言い値が1枚1ドル、2000枚以上買ったので1枚80セントに、古いブルースは脇に避けておいておいたので、ダニー、何と「古いやつは一枚10セントでいいよ」と・・・。
ウソっ!と絶句した瞬間でした(笑)。
懐かしいテキサス臭ぷんぷんのロスのダウンホームブルースをいまこうしてCDで聞きながら、古き良き時代を懐かしむ自分です。
勝手なことを書いてしまってすみません。
未発表のSWEET PEA WALKERって、歌はPAUL CLIFTONとされていますが、ギターはたぶん・・・ですよね。

投稿: むらた まこと | 2009年11月28日 (土) 13時41分

> ロスのFLASHレーベルのコンピレーション・アルバム

これは,1983年に日本国のP-Vine Specialが出した2枚組LP,Jericho Alley Blues Flash!のリイシューか,ほとんど同じようなもののようですね.ハスケル・サドラーとかガス・ジェンキンスとか好きで良く聞きましたよ.

> 僕は幸いにしてその半分以上をオリジナルで...

いつもながらうらやましい経験をされていますね.

Sweet Pea Walkerというのは,アーティスト名不明のアセテート盤から音をとったらしいですね.P-Vineの人がフィリップ・ウォーカーみたいな声だから,という理由でテキトーに名前をつけちゃったみたいです.ポール・クリフトンだろ,というのは当時のLPレヴューでも言われていたと記憶しています.

投稿: BackDoorO | 2009年11月28日 (土) 17時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/103105/46773245

この記事へのトラックバック一覧です: ニューオーリンズは懐メロ再生工場:

« 天才二世あらわる | トップページ | ニューオーリンズは懐メロ再生工場(続き) »