帰還の日
またSoul Beatレーベルのものを.
Calvin Leavy, Free From Cummins Prison Farm b/w Enjoy Being Hurt By You, Soul Beat 118.
レーベルには1976年という表記がある.カルヴィン・リーヴィのLPを出す目的で日暮泰文さんがSoul Beatのカルヴィン・ブラウンと交渉していたのは1975年の夏だそうだから,このレコードの録音は同じ頃かもう少し後だろう.日本の会社から金が入ったからもう一丁やるか,というセッションだったんじゃないの,なんて想像する.
Free From Cummins Prison FarmはタイトルからしたってCummins Prison Farmの柳の下の二匹目のドジョウを狙った感じで,実際そのようなものだが,これがとても良い.こちらはCummins Prison Farmのような告発の歌ではなく,カミンズ監獄から釈放されたときの心境を淡々と歌っている.釈放が嬉しくないこともないが,それより無一文で刑務所から放り出されて困惑している,という歌のようだ.体験なんだか,創作なんだかよく分からないが,生々しいような気はする.
その日の朝,看守が俺のところにやってきた
手に何か書類を持っていて
俺の方を見て言ったのは
「これが出たから,お前は今日から自由の身だ」
それで,人の気配のないハイウェイへ出て
ポケットには小銭の一枚もなかったが
わが家へ帰ることにしたんだ
さんざん泣かせた家族のところへ
歌のメロディーがCummins Prison Farmそのまんまなので,どうしても二番煎じに聞こえて仕方ないが,それでもリーヴィの歌は説得力がある.伴奏はCummins Prison Farmよりダウンホームで,2本のギターなど,とても良いと思う.
その裏のEnjoy Being Hurt By Youもブルースで,こちらはファンキーなリズムを使った曲.悪くはないがフツーかな.
両面とも以前The Best Of Calvin Leavy (Red Clay 8303)でCD化されていたようだ.
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