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2009年6月28日 (日)

買わなかったLP盤のこと・その3

前回はシルヴィア・エンブリーだったので,今回はその元旦那でギタリストのジョニー・エンブリー.シルヴィアは多分ベースを弾いているだろう.

Johnny "Guitar" Embry and his Blues Kings, Johnny's Bounce b/w I Love The Woman, Razor 5101.

Razor5101 1979年という表示のあるレコードで,レーベルのRazorはこの翌年にジョニー・エンブリーとクイーン・シルヴィア・エンブリーの連名のLPを出している.このシングル盤の2曲はLPに入っているのかと思ったら,そうではないようだ.

内容は,1980年前後の,ごく普通のシカゴ・スタイルのブルース.Johnny's Bounceは速めのテンポのインストゥルメンタル曲で,ジョニー・エンブリーのギターが終始ソロを弾く,というもの.とりあえず,シカゴ・ブルースだな,という感じ.悪くもないけど特にオリジナリティがあるわけではない.

I Love The WomanはB・B・キング式のスロー・ブルースで,こちらは歌が入る.一応ちゃんと歌うけれど,聞きたくなるような歌でもない.インストをA面にしているし,ジョニー・エンブリーって歌が好きじゃなさそうな感じもする.それではギターの方はどうかというと,これもさほど上手いとは思えない.自分でギター弾く人だと「自分の方が上手い」と言いそう.これでは良い所がないようだが,元気の良さは取り柄だ.間奏のギターソロで強引に盛り上げちゃうとこなんかが見せ場だろう.

このレコード,都内のレコ屋で1980年代に買ったと思うが,今でも割と安く買えると思う.買ってからあまり聞かなかったし,勧めるような作品でもないけれど,この時代のシカゴ・スタイルが好きで二流が好き,という人ならそれなりに面白いだろう.

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2009年6月20日 (土)

買わなかったLP盤のこと・その2

ヘイズ・ウェアのLPをレコ屋で見掛けたころ,ジョニー・エンブリーとクイーン・シルヴィア・エンブリーのLP,After Work, Razor R5102も売っていたと記憶している.

Queen Sylvia, I Know I Ain't Number One b/w To Bad Baby, Leric 42083.

Leric42083 ベーシスト兼歌手のクイーン・シルヴィア・エンブリーは1980年にRazorのLPを出して,同じ年に作られたAlligatorのLiving Chicago Bluesシリーズにも4曲入っていて,1983年にこのLeric盤を出している.その後ヨーロッパで人気が出たのか,ドイツのL+RでLPを作っていて,それはEvidenceでCD化されている.彼女の詳しいディスコグラフィーは,
http://www.wirz.de/music/embry.htm
にある.

彼女の録音のうち,Alligatorの4曲は聞いていたけれど,そのシリーズの中では,そうねえ,アーティストの番付を作ると中間辺りかなあ.嫌いな方でもないけど,特別に進んで聞きたいということもなかったので,RazorのLPを買うこともなかった.

さて,このLeric盤,レーベルはジミー・ドウキンズのレーベルで,プロデュースもジミー・ドウキンズ,当然両面とも彼が派手にギターを弾いている.

I Know I Ain't Number Oneはマイナー・キーのアップテンポのブルースで,凄いということはないけれど,格好よくできた良い作品ではないかと思う.一方,To Bad BabyはZ・Z・ヒルのDown Home Bluesとか,ああいうリズムの曲.こちらも悪くないが,ギターはもう少し落ち着き有るお人に弾いて頂きたいようでもある.両面とも,Alligatorの録音に比べるとシルヴィア・エンブリーはかなり抑え気味に歌っている.これを「弱い」という見方もあるだろうけど,むしろスムースな歌い方が自然に感じられ,彼女の歌の良い面が出ているように聞こえる.

シルヴィア・エンブリー,ビデオのBig City Blues (Rhapsody)にも登場している.1980年に撮影されたもので,クラブでの演奏風景では,元夫のジョニー・エンブリーを含むバンドが伴奏をしている.その中でジョニー・エンブリーが後ろでやや大きめ音量でギターを弾き始める場面があるのだが,その瞬間,シルヴィア・エンブリー,「きっ」とそちらの方を振り返って,ジョニー・エンブリーを睨み付ける(ように見える).その瞬間,たちまちギターの音量が小さくなってしまうのが可笑しくて印象に残っている.このLeric盤の録音でもギタリストを睨んだかもしれないが,ジミー・ドウキンズには通じなかったかもしれない.

ビデオBig City Bluesを見ると,本職は美容師さんだったと思われるシルヴィア・エンブリー,1992年に50歳で亡くなっている.

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2009年6月13日 (土)

買わなかったLP盤のこと・その1

ヘイズ・ウェア,ヘイズ・ウェア...いたよなあ,ヘイズ・ウェア.

Hayes Ware, I Want To Bump b/w You Got Me Mama, C.J. 669.

Cj669 ヘイズ・ウェアのLP,Ghetto Woman (Bash LP426),ディスク・ユニオンへ行くといつも売ってた.売れ残っていた,という感じもあった.だけど,なんか中途半端な購買意欲をそそられないジャケットで,結局買わなかった.雑誌にレヴューが出てたな,と思って古雑誌を引っ張り出すと,ザ・ブルース44号,1981年1・2月号に記事がある.そのレヴューでは絶賛されていて,なら買ってもよさそうだが,なにしろ貧乏だったからなあ.LPは厳選主義で買っていたから,ヘイズ・ウェアなんて,訳分からない名前を言われても,ちょっとねえ.

カール・ジョーンズのC.J.から出たこの45回転盤,1970年代半ばくらいの作ではないだろうか.多分,BashのLP以前の,自己名義の録音としては最初のものだと思う.それ以前の録音というと,Vanguardから出たChicago/The Blues/Today!のジョニー・シャインズのセッションでベーシストとして参加しているのに気が付いた.それ以外の録音はあるような気がしない.

音楽の内容には,ちょっと嬉しくなる.一流とは言えなくても,アーティストの個性が特別で,この代わりになる人はいないように聞こえる.特にYou Got Me Mamaというのが良い.ギター,ベース,ドラムというごくあっさりした編成のバンドが,非常にダウンホームかつ小気味良いリズムを弾き出す,割とテンポの速いブルースで,これは誰に似ているんだろう.ヘイズ・ウェアの声は重みのある渋いブルース声で,それも魅力的だ.何か南部の草深い土地のカントリー・ブルースでこんなのがありそうだと思うのだが,誰の何の曲,というのを思い付かない.

バンプという踊りが流行っている,というニュースを少年時代に聞いた覚えがあるが,それは1974年頃のことらしい.I Want To Bumpはバンプ・ブームに乗ろうとしたもののようだ.実はYou Got Me Mamaと大体同じ様な音楽だが,一応ギターのリフとか流行のダンス音楽を意識していて(?),その分つまらないと思う.

ヘイズ・ウェアのLP,今入手しようとしてもほぼ不可能だから,買っておけば,と後悔しないでもない.だけど,発売される音楽を何でも買って聞くわけにはいかないのだし,仕方ないことだろう.

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2009年6月 7日 (日)

少しずつ違う

シカゴにフレディ・ヤングというギタリストでシンガー,それで本業か副業か分からないがタクシー運転手もしていた人が居た.この人は1960年代終りに自分でレーベルを作ってレコードを出していた.ボー・ダッドことオスカー・コールマンと似たようなポジションの人だろう.出していたレコードには前回取り上げたJ・L・スミスなんかもあったが,自分のものが多かったようだ.

Freddy Young, Someday Baby b/w Monkey Business, Friendly Five 740.

Friendlyfive740 レーベル・スキャンがいやにカラフルだが,これは前の持ち主か誰かがサインペンで手書きしたアートだ.本当は真っ白いレーベルだと思う.

フレディ・ヤングのレーベルには,一部同名別レーベルなんてのもあってややこしいが,Friendly Five,F-M,Sould Soundなどがあった.The R&B IndiesはF-Mの社主をオスカー・コールマンとしているが,フレディ・ヤングが関係しているのは確かだと思う.ヤングのレーベルが出したもののレーベル名,番号,アーティスト名を書き出すとつぎのようになる.

Friendly Five  740  Freddy Young
Friendly Five  741  J.L. Smith
Friendly Five  742  J.L. Smith
Friendly Five  743  Little Mary And Morris Pejoe's Band
F-M            744  J.L. Smith
F-M            745  Bo Dudley
Kaytown        746  Morris Pejoe
K-Town         747  Freddy Young
F-M            748  J.L. Smith
Sould Sound    749  Freddy Youngblood
Soul Sound     751  Freddy Youngblood
Sould Sound    752  Freddie Young Blood

このシリーズを何枚か入手できたのだけど,ううむ,ぐだぐだ感が漂うぞ.746でKaytownというレーベル名だったのに,747ではK-Townに変わっちゃったり,Sould SoundとかSoul Soundとか少しずつ違うレーベル名になってしまったり,という辺りに意図があるというより名前をちゃんと覚られないんじゃないの,と思わせるテキトー感が漂う.アーティスト名でもFreddy YoungbloodだのFreddie Young Bloodだのちょっとずつ違う名前が記されているけれど,これは両方ともフレディ・ヤングだ.上のリストだと750はどうした,ということになるが,なにか出ているかもしれないが,単純に750を忘れたのじゃないかという気もする.内容もねえ,K-Town 747は,例の400円均一にあったので買ってみたら,Friendly Five  740の再発,のようでそうでない.A面は微妙に違う別テイク,B面は740のインストに誰だか分からないヴォーカルをオーバーダブしたもの.同じレコードではない,と言いたいのだろうか.F-M 748はFriendly Five  741のカラオケに別の歌詞で歌わせたもので,なんか別のレコードを買ったような気がしない.そうかと思うと752ではモーリス・ピジョーの曲をフレディ・ヤングブラッドの名前で出しちゃったりしている.

うさんくさい面のあるヤング氏のレーベルだが,Friendly Five 740は悪くないブルースのレコードだ.特に正統的なシカゴ・ブルースの作りのSomeday Babyが良い.フレデイ・ヤングはA・C・リードを頼りなくしたような歌い方で,どう聞いたって二線級だが,それなりの味があって二流の良さを楽しめる.バンドの方はまとまっている.Someday Babyはヤングの自作曲のようだ.このタイトルでWorried Life Bluesが歌われることがあるが,これはまったく別の曲だ.The Blues Discography 1943-1970は1964年の録音としていて,メンバーは次の通り.

Freddy Young, Voc, gtr;
Lafayette Leak, org;
Eddie Taylor, gtr;
Andrew McMahon, b;
Robert Write.

ヤングのレコードを聞いていて,ひょっとしてギターはエディー・テイラーとヒューバート・サムリンか,と思いかけたときがあったが,半分は当たったかな.ヤングのギターはサムリンっぽく聞こえるときがある.

Monkey Businessはシャフルのインストゥルメンタル曲で,ヤングのギターとラファイエット・リークのオルガンが交替でソロをとる.歌を後からダビングしてThat Ain't RightとしてK-Town 747で再発したのは前述の通りだけど,Soul Sound 751でもフレディー・ヤング・ブラッド名義で出ている.

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