プロバビリティの理論
1960年代頃に録音されたシカゴ・ブルースで,ディスコグラフィ上でギタリストが不明,とされているもので,実はフレディ・ロビンソンが弾いているものが少しはあるだろう.次のレコードでギターを弾いているのは「probably」フレディー・ロビンソンとのこと.
Little Mack, I'm Happy Now b/w Don't Leave Me Now, Checker 991.
プロバブリーっていうのは,資料とかの記録はないけど,聞いた感じはそのように思える,くらいの意味だろうか?それとも誰かが「フレディ・ロビンソンが居ました」と証言しているんだろうか?そのプロバビリティ(確率)はどんなもんだろう.
亡くなるまでに多くのレコーディングを残したリトル・マック・シモンズだけれど,I'm Happy Nowはそれらの中でも最上位の作品と思われる.以前,Real Chicago Blues Today - 60' Style (P-Vine/Chess PLP-6083)で復刻されていて,そのLPで初めて聞いた曲だったが,リトル・マックでこんなに良いのがあるかと驚いた.非常にソリッドな,勢いのあるシカゴ・ブルースで,シモンズは元気良く歌っている.これに畳み掛ける分厚いホーン,ギター,リズム隊も良い.リトル・マック・シモンズというと生ハープも売り物だが,このレコードではハープを吹かずに歌に専念している.
さて,ギタリストだが,I'm Happy Nowで聞けるギターは,リー・“ショット”・ウィリアムズのFoxy盤,特にHello Babyのギターと似ているように聞こえる.Hello Babyのギターはフレディー・ロビンソンだから,I'm Happy Nowのギターも彼,というプロバビリティは高いだろう.
そのI'm Happy Nowの作者はE. Williamsと記されていて,これは当然エメリー・ウィリアムズ・ジュニアことデトロイト・ジュニアだ.デトロイト・ジュニアの曲で,このChecker作品の少し前に録音されたSo Unhappyというのがあった.So Unhappyは時おりカバーされる曲だが,デトロイト・ジュニアはI'm Happy Nowをその続編というか後日譚みたいな内容の歌として作ったと思う.そう言えば,I'm Happy Nowで聞けるリトル・マックの歌い方はデトロイト・ジュニアに似ているような気もするが,まさかデトロイト・ジュニアが替え玉で歌っている,なんてプロバビリティは0だろうな.声はシモンズの声のようだし.
Don't Leave Me NowはI'll Take Care Of Youみたいなタイプのブルージー・バラッド.なかなか熱く盛り上げている.しかし,ちょっとリトル・マックの柄と楽曲が合っていないかも.
The Blues Discography 1943-1970にしたがって,データを一応書いておく.1960年の録音で,メンバーは次のとおり.
Malcolm Simmons, Vocal;
Detroit Jr., p;
Eddie King Milton, prob. Freddy Robinson, gtrs;
Bob Anderson, b;
Billy Davenport, d;
Lafayette Leake, org.
I'm Happy Nowのリード・ギターが実はエディ・キング,というプロバビリティだって0ではないと思っている.
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コメント
イーストコーストで活躍したWild Jimmy Spruillに焦点を当てたCD(Night Train)なんかありますが、Freddy Robinsonのリーダー/サイドマンの録音を集めたCDなんて、どこかから出ないものでしょうか。権利を気にしない海賊レーベルならやりかねませんが、確実に参加しているかわからない"probably"ではそれも厳しいでしょうね。私は、Louis Myersの「I'm A Southern Man」やライブ盤「Wailing The Blues」のCDで彼のギターが結構聴けるのを楽しんでます。
投稿: 輪高 | 2009年5月18日 (月) 19時35分
> イーストコーストで活躍したWild Jimmy Spruillに焦点を当てた
そう言えばウェストコーストのジョニー・ハーツマンが伴奏しているものを集めた海賊CD(Bay Area Blues Blasters - The 60s - JOHNNY HEARTSMAN RECORDINGS, Elcerrito1004)なんてのが出たこともあるようです,持ってませんが.評価が高いミュージシャンならば伴奏の奏者に焦点を当てて,っていうのはあり得る話です.でも,フレディー・ロビンソンあたりだとどうでしょうねえ.上手く曲が集まるか,どうか.人気面でもちょっとヤバいかも.Chess音源とMCAのボビー・ブランドを集めりゃMCAには材料はあるかもしれませんが,上手くコンピになっても企画としちゃ地味そうな...彼のEnterprise録音は,好きでもなかったのですが,また聞いてみようと思いUK Ace盤を注文しているところです.
投稿: BackDoorO | 2009年5月18日 (月) 20時53分
Bay Area Blues BlastersはTiny Powellの熱唱が聴けて大変良いですよ。
フレディのEnterprise録音は、私は初めて聴いた時、日頃こういうサウンドはあまり聴かないのに何故か気に入り、彼の歌とギターがクセになりました。それでフレディが参加したジャズ・トランペッターBlue Mitchellや英国John Mayallのアルバムにも手を出したりしました、歌ってはいませんが。しかし未だに60年代初頭のCHESS録音などは未聴のままでCD化を待ってる次第であります。
投稿: 輪高 | 2009年5月18日 (月) 23時09分
> ジャズ・トランペッターBlue Mitchellや英国John Mayallのアルバムにも手を出し...
うわ,御熱心ですね.アナログ7inch盤を入手できる可能性は十分あって,CDを待つより近道かもしれませんよ.しかし,前に書いたのですけど,Chessは未発表曲なんてのも色々あって...そりゃマディやウルフやチャック・ベリーのようなアーティストではないから全部出せってえのは無理なんですけどねえ.
投稿: BackDoorO | 2009年5月18日 (月) 23時42分