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2009年4月26日 (日)

ジェシー・アンダーソン・その2

ジェシー・アンダーソンの録音したブルースと言えばこれだろう.

Jessie Anderson, You're Only A Woman b/w True Love Express, Cadet 5554.

Cadet5554 このレコードではジェシーのスペルがJessieとなっているが,Jesseが正しいようだ.レーベルのCadetはもちろんChess Records社のレーベルで,両面ともReal Chicago Blues Today - 60's Style (P-Vine/Chess PLP-6083)で復刻されていたけれど,それも結構昔の話になってしまった.

You're Only A Womanは文句の無い,優れた1960年代のブルース.良くコントロールされたアンダーソンの歌唱も素晴らしいが,イントロから最後まで周到にアレンジされた伴奏がまた良い.アレンジはチャールズ・ステップニー,サニー・トンプソン,ジーン・バージの連名となっている.Michel RuppliのディスコグラフィーThe CHess Labels, (Greenwood Press)によると1966年9月16日の録音で,メンバーは分からない.しかし,アレンジャーの顔ぶれからして,トンプソンがオルガン,バージがサックスというのはあるだろう.ギターも好演.

True Love Expressは非常にファンキーなブルースでこれも良い出来だ.やはりアレンジが格好よい.

ジェシー・アンダーソンはChessで3度のセッションを持っていて,1963年11月に4曲(マトリクス番号12799-12798),1966年9月に5曲(マトリクス番号15195-15199),1967年頃に2曲(マトリクス番号は16343,16344),の計11曲を録音している.レコードになったのはArgoで1枚,Cadetで2枚(もう1枚は次回にでも)の計3枚,6曲だった.このCadet盤の良さからすれば未発表曲などもいつかは聞いてみたい.だけどまあ,リイシューしても商売になりそうもないし,期待薄か.Chessには,資料上ではジェシー・アンダーソンだけでなく,ジョニー・トンプソンとかリトル・ジョー・ブルーとかにも未発表録音があるのだけれど,これらはどんな音楽なのか謎のまま終るのかな.仕方ないと言えば仕方ないが,それで良いのか,という気もする.

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2009年4月19日 (日)

“ショット”とのつながり

シカゴをベースとして,1960年頃にデビューして,どちらかといえばソウル・シンガー,ということで,ジェシー・アンダーソンという人はリー・“ショット”・ウィリアムズと同じような位置づけかと思う.その,アンダーソンの代表作.

Jesse Anderson, I Got A Problem b/w Mighty Mighty, Thomas 805.

Thomas805 ジェシー・アンダーソンはいくつかのレーベルでシングル盤を出しているが,多分アルバムというのは無いだろう.CDでは,Jewelから出た2曲がLoose The Funk! Boodie (P-Vine PCD-23831)に入っており,またFederalレーベル録音の数曲がリー・“ショット”のFederal録音と共にWelcome To The Club (Ace CDCHD 1009)に収録されている.UK AceのCDの解説書にはアンダーソンに関する相当に詳しい情報がある.それによると彼は1940年アーカンソー生まれで,オクラホマで腕を上げ,ウィリー・ライトのバンドにサックス奏者件歌手として加わって,1960年にライトのバンドの一員としてFederalに初録音,サニー・トンプソンやジーン・バージと知り合ってさらにキャリアを積んだ,という人だそうだ.その解説書にはギターを持ったジェシー・アンダーソンの写真もある.

I Got A Problemはファンク・ブルースの傑作.1970年4月にビルボードのR&Bチャートで35位に達するヒットになっている.ジェシー・アンダーソンは伸びやかな美声を生かして力強く熱唱しており,曲を盛り上げている.曲の作者はジーン・バージとアンダーソンの連名となっている.

Mighty Mightyはファンキーなインストゥルメンタル.これ,ジェシー・アンダーソンと何か関係あるとは思えない.アンダーソンが何か楽器でも(まさかフルート?)演奏しているのだろうかね.一応,こちらはカーティス・メイフィールドのプロデュースということになっている.

アンダーソンの曲で唯一R&Bチャート入りしたI Got A Problemだが,1980年代になってからリー・“ショット”・ウィリアムズがカバーしたりしている.ファンク・ソウル風のレパートリーが多そうなアンダーソンだが,ブルース歌手としても優秀だったので,もう少しブルース曲も聞きたいところ.

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2009年4月12日 (日)

イリノイ州パロス・パーク

前回コメント頂いた通り,リー・“ショット”・ウィリアムズのシングル盤作品は海賊盤CDでかなり復刻されている.その海賊盤には,「もうちょっとコンディションの良い原盤を奮発してくれ」と言いたい気分ではある.次の1枚も両面ともそのCDに入っていた.

Lee "Shot" Williams, The Millionaire b/w I'm In Love, Palos 1204.

Palos1204 The Millionaireは速めのテンポのブルース.Hello Babyと近い作りで,なかなか熱い.これもリー・“ショット”がブルース歌手として実力あることを示す曲だろう.1966年にシカゴで録音されたもので,ギター,ピアノ,サックス,ベース,ドラムスの伴奏が付くが,メンバーは分からないようだ.

I'm In Loveは元気の良いジャンプR&B.女声コーラスとのコール・アンド・レスポンスを使っている辺り,ありがちな曲調だとも思うが,悪くない.こちらはエレクトリック・ピアノが大きくフィーチャーされている.

このレコードのレーベルにはイリノイ州パロス・パーク,という会社の所在地が記載されていて,それでPalosというレーベルが地名に由来していることが分かる.イリノイ州パロス・パークを地図で見ると,シカゴの南西方向,直線距離でシカゴから30km位はありそうだ.それでも鉄道なんかもあるようだし,シカゴは通勤圏内か.

パロス・パークの町にあったPalosだが,ごく零細なレーベルだったと思われる.リリースされたシングル盤の数は20枚くらいはあって,ブルースもちらほらある.これらを,シングル盤で買おうにもレア盤が多そうだから,お金があっても(無いけど)容易でない.正規の契約の下で,マスターを使った良い音質で誰かがディジタル・リイシューしてくれれば大変よろしいのだが,それはどうも望み薄なようだ.このレーベルの音楽の権利を持っている人がマスターがきちんと保管しているという気がしない.Palosから出たフェントン・ロビンソンの曲の権利をGiantが持っていたり,サイ・ペリーの曲がStartownから出たり,リトル・オスカーの曲がシル・ジョンソン経由で出たり,という状況からしてPalosという会社は曲の権利を片っ端から売り払ったのじゃないか,と思う.正規のリイシューが困難となると海賊リイシューにでも期待するしかないが,良い原盤,良い装置を使って,ノイズ取りも程好くちゃんとやって復刻して欲しいなあ.

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2009年4月 6日 (月)

思わぬ接点

ルーサー・ギター・ジュニア・ジョンソンの初録音,マジック・スリムの初録音,と続けてきたけれど,シカゴ・ブルースの初録音ものをもう一つ.

Lee (Shot) Williams, I'm Trying b/w Hello Baby, Foxy 005.

Foxy005 リー・“ショット”・ウィリアムズがこのデビュー盤を出してから40年以上も経つが,最近もEckoレーベルからCDを何枚も出していて,そのキャリアも随分長くなった.1938年生まれというから,もう70歳になるけれど,Ecko盤を聞く限り,今でもそれほど衰えはないようだ.しかし,Eckoは伴奏がおもちゃっぽいのが難点だよなあ.

さて,1962年のリー・“ショット”・ウィリアムズ初録音だけど,両面とも優れたシカゴ・ブルースだ.I'm Tryingの方は深遠なスロー・ブルース.リー・“ショット”の声は少しだけ若過ぎるかとも思うが,それでも十分に上手い歌を聞かせる.フレディー・ロビンソンのギターが鋭い音色で曲を引き締めている.

Hello Babyの方はミディアム~アップ・テンポのブルースで,こちらも熱気があって,引き込まれる.聞いているとマジック・サムがアン・アーバーのライヴでやっていたI've Got Papers On You, Babyを思い起こす,っていうか,ひょっとして,同じ曲じゃないか,という気がした.そこでマジック・サムのライヴ盤の歌詞カードを引っ張りだし,それを見ながら,このリー・“ショット”のHello Babyを聞いてみたら,やはり同じ曲だと分かった.マジック・サムのI've Got Papers On You, Babyはリー・“ショット”・ウィリアムズのHello Babyをかなりオリジナルに忠実に演奏したものだったのだ.リー・“ショット”はマジック・サムとも面識があったようだし,このFoxy盤を出した後,アール・フッカーのバンドに加わってHello Babyをよく歌っていたそうだ(Danchin, Earl Hooker - Blues Master)から,マジック・サムがこの新人歌手の曲を聞き覚えていたとしても不思議ではない.それでも意外な接点という感じはする.なお,B・B・キングのI've Got Papers On You, Babyはマジック・サムのものとは違う曲だ.

The Blues Discography 1943-1970によるとメンバーは次の通り.

Lee "Shot" Williams, Vo;
Mack Simmons, h;
Monk Higgins, John Jackson ts;
Detroit Jr. p;
Freddy Robinson, gtr;
Phil Upchurch, b;
Billy Davenport, d.

リー・“ショット”・ウィリアムズはFoxy盤の数年後のI Hurt Myself (Shama)みたいなソウル曲の大傑作もあって,レパートリーを平均すればブルース歌手というよりディープ・ソウル歌手の方だろう.The !!!! Beatの映像でもあまりブルースっぽくはないようだった.それでも,こんな風に意外とシカゴ・ブルースの人という面も持っている人でもある.

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