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2009年3月22日 (日)

目指せ,マディじじい

何の本で知ったのか忘れてしまったが,すんごい昔のこと,歌舞伎の愛好家の中に「団菊じじい」という人種がいて嫌がられたのだそうだ.この人達は,「自分が見た(明治時代の)九代目団十郎,五代目菊五郎に比べれば今どきの役者はなっとらん」みたいなことばかり言っていたらしい.この言葉を知って思いついたのは,自分は来日したマディ・ウォーターズを見ているので,「マディじじい」になるといいんじゃないか,というアイディアだ.年寄りになったら若いブルース・ファンを相手に「ワシは生きているマディ・ウォーターズやジョン・リー・フッカーを見たんじゃ!見てない奴らはガタガタ言うな!」つって威張って嫌われるの.老後の楽しみ方としてはいいんでないの.この素敵な計画にも欠点があって,それは,相手をしてくれる若いブルース・ファンが周りにいないとダメということで,そうなるとせっかくマディを見たのに自慢できないことになる.

という訳で,1980年のマディ・ウォーターズ来日と関係があるアーティストのレコードを.

L. Johnson Jr., I Been Down So Long b/w You Gotta Have Soul, Big Beat 133-1376.

Bigbeat1376 L・ジョンソンJr.の「L」はルーサーのLだ.ルーサー・ジョンソンというシンガー・ギタリストが3人いることは知られているだろう.1人目は1960年代のマディ・ウォーターズ・バンドにいたルーサー・ジョージア・ボーイ(またはスネーク・ボーイ)・ジョンソン,2人目は1970年代にマディ・ウォーターズ・バンドに加わったルーサー・ギター・ジュニア・ジョンソン,3人目はIchibanでアルバムを出していたルーサー・ハウスロッカー・ジョンソンだが,この3人の区別がつかなくなっても深刻な問題はないんじゃないか.だってねえ,どのルーサー・ジョンソンが誰なのか分からなくても,生活上それほど困ることはなさそうだもの.などと言ったらそれぞれの熱烈ファンに怒られるか.

さて,このシングル盤はルーサー・ギター・ジュニア・ジョンソンの初録音とされているもの.I Been Down So Longはマジック・サムのOut Of Bad Luckだ.ルーサー・ギター・ジュニア・ジョンソンはマジック・サムのバンドにしばらく在籍したということなので,その時期にマジック・サムのスタイルとレパートリーを身に着けたものだろう.その後もマジック・サム風の曲を録音したりしている.出来の方は,当然かもしれないが,マジック・サムのオリジナル版ほどには感動しない.初録音で未熟だから,ということもあるが,どうにも小物,小粒で深いものに欠けると思う.ただ,誠実に歌っていて,元気の良さは感じられる.

You Gotta Have Soulは上手く出来ていれば格好よいシカゴ・ソウルになっていたところだが,上手く出来なかった,という感じ.

The Blues Discograpy 1943-1970は録音年を1968?としている.メンバーは結構有名人が入っていて,次の通り.

Luther Jonson, Vo., gtr;
Johnny "Big Moose" Walker, p;
Jimmy Dawkins, gtr;
Willie Kent, b;
Robert Plunkett, d.

ルーサー・ギター・ジュニア・ジョンソンの歌とギターを初めて聞いたのは,マディ・ウォーターズの来日公演のときだった.バンドのギタリストとしてジョンソンも日本へやって来たのだった.その時点で,輸入レコード店で普通に買える彼のレコードは全然無かったと思う.調べたら来日以前の1976年,ヨーロッパでLPを作っていたようだが,それをレコ屋で見た記憶がない.そんな訳で,今では多過ぎるくらいCDのある人だが,当時はソロ・アーティストとは思えない,ほぼ無名の人だった.現在の彼はおっさん,または年齢から言えばお爺さんというところだが,最初からおっさんだった訳ではなく,マディ・ウォーターズ・バンドの中で彼は随分若く見えた.1939年生まれなので,40歳を過ぎていたことになるのだが,マディ(当時65歳)やパイントップ・パーキンズ(当時67歳)に囲まれれば断然若く見えた.ジョンソンはマディが登場する前,ウォームアップ役として,何の曲だったか,ごくありきたりのスタンダード曲を1曲歌い,ギターを弾いてみせた.その歌とギターは,マディらよりはずっと若い世代のもので,それがなかなか良くて,「期待の若手」みたいな印象を持ったものだ.もっとも,マディが登場した後は,リード・ギターはマディ自身か,そうでなければボブ・マーゴリンが弾いたので,ジョンソンは居るのか居ないのか分からなくなってしまったのだが.それから何年かして,RoosterでアルバムDoin' The Sugar Tooを出した後は,ほぼ期待通りの活躍ぶりだったと思う.

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