流用事件その3
リトル・ウィリー・ポラードという人に関しては,"67" Blues (ARC 7462)というレコードのことを前に書いたことがある.あれは良いレコードだったが,これは,ちょっと困ったもんだねえ.
Little Willie Pollard, Reap What You Sow b/w Blues On My Mind, W.B.P. 001.
Reap What You Sowというのに針を降ろすと,始まるイントロは"67" Bluesのそれとよく似ている.いつもこーゆースタイルなのね,この人は,などと思っているうちに,歌い出して,間奏があって,ん?これ,伴奏は"67" Bluesと同じじゃん.同じカラオケを同じ歌手が再利用したのかい.歌のメロディーを"67" Bluesとは微妙に変えているが,それが「これは前のレコードとは別の曲なんだからな」と無理矢理主張しているようにも思えて来る.
裏返して,Blues On My Mindというのを聞いてみると,イントロが始まって,あれ,裏返したよな,もしや間違えて同じ面を,と一瞬思うが,そうではないのは歌が始まると分かる.これも"67" Bluesの伴奏を使った別の曲なのだ.メロディーもReap What You Sowや"67" Bluesとは微妙に変えている.それにしても,同じ伴奏で3曲目だよ.1人の歌手が同じカラオケで,3曲の違う曲を録音するなんてことがあるだろうか.しかも,律義に少しずつメロディーを変えて.伴奏トラックの流用に関しては横綱じゃないか,この人.
両面とも作曲者はWillie B. Pollardとなっていて,これがポラードのフルネームだろうから,レーベルのW.B.P.というのはポラードの頭文字をとった彼自身のレーベルだろうと思う.相当に無茶な音の録り方をしているとみえて,音質は極端に悪い.
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リトル・ジョー・ブルーは,1980年前後くらいに小さいレーベルからいくつかシングル盤を出していて,これもその一つ.注文して,届いてみるとレーベルに表示されたプロデューサー/アレンジャーはマイルス・グレイソン.やれ嬉しや,と聞いてみると,やはり良い.いつもほど緻密ではないかもしれないけれど,引き締まったリズムや,ホーンのアレンジなどはいかにもグレイソンの音だ.リトル・ジョー・ブルーの歌は,前回のGive Me An Hour In Your Gardenの方が気合いが入っているかな.それでも,このEverything Good To Youでも十分に良い歌が聞ける.
KrisのLPでもCollectablesのCDでも,コンディションのごく悪いシングル盤からのダビングなので,音質の点で聞く気がしないのは残念だ.音楽の出来は良いので惜しい.KrisのLPに収録されたのは,Krisのメル・アレクサンダーが権利を買ったから,だと思うのだが,もしかすると適当にシングル盤からダビングして勝手に入れちゃったのかもしれない.
このレコード,リトル・ジョー・ブルーのSpace/Kris録音の中では,まずまず出来の良いほうだと思う.ちょっと伴奏が元気ありすぎて,うるさいような気がしないでもないし,反対にリトル・ジョー・ブルーのミキシング・レベルが低いようでもあって,100%満足ではないけれど,それでも力強いブルースだ.
















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