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2009年2月22日 (日)

流用事件その3

リトル・ウィリー・ポラードという人に関しては,"67" Blues (ARC 7462)というレコードのことを前に書いたことがある.あれは良いレコードだったが,これは,ちょっと困ったもんだねえ.

Little Willie Pollard, Reap What You Sow b/w Blues On My Mind, W.B.P. 001.

Wbp001 Reap What You Sowというのに針を降ろすと,始まるイントロは"67" Bluesのそれとよく似ている.いつもこーゆースタイルなのね,この人は,などと思っているうちに,歌い出して,間奏があって,ん?これ,伴奏は"67" Bluesと同じじゃん.同じカラオケを同じ歌手が再利用したのかい.歌のメロディーを"67" Bluesとは微妙に変えているが,それが「これは前のレコードとは別の曲なんだからな」と無理矢理主張しているようにも思えて来る.

裏返して,Blues On My Mindというのを聞いてみると,イントロが始まって,あれ,裏返したよな,もしや間違えて同じ面を,と一瞬思うが,そうではないのは歌が始まると分かる.これも"67" Bluesの伴奏を使った別の曲なのだ.メロディーもReap What You Sow"67" Bluesとは微妙に変えている.それにしても,同じ伴奏で3曲目だよ.1人の歌手が同じカラオケで,3曲の違う曲を録音するなんてことがあるだろうか.しかも,律義に少しずつメロディーを変えて.伴奏トラックの流用に関しては横綱じゃないか,この人.

両面とも作曲者はWillie B. Pollardとなっていて,これがポラードのフルネームだろうから,レーベルのW.B.P.というのはポラードの頭文字をとった彼自身のレーベルだろうと思う.相当に無茶な音の録り方をしているとみえて,音質は極端に悪い.

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2009年2月14日 (土)

流用事件その2

他のレコードの伴奏トラックをそのまま使った,という訳ではないけれど.

Little Joe Blue, Everything Good To You (Ain't Always Good For You) - Part 1 b/w Everything Good To You - Part 2, Elco 4404.

Elco4404 リトル・ジョー・ブルーは,1980年前後くらいに小さいレーベルからいくつかシングル盤を出していて,これもその一つ.注文して,届いてみるとレーベルに表示されたプロデューサー/アレンジャーはマイルス・グレイソン.やれ嬉しや,と聞いてみると,やはり良い.いつもほど緻密ではないかもしれないけれど,引き締まったリズムや,ホーンのアレンジなどはいかにもグレイソンの音だ.リトル・ジョー・ブルーの歌は,前回のGive Me An Hour In Your Gardenの方が気合いが入っているかな.それでも,このEverything Good To Youでも十分に良い歌が聞ける.

さて,裏返して,Part 2を聞いていると,後半になって女声コーラスが入って,ジョー・ブルーの歌とコール・アンド・レスポンスの関係を作る.それが,♪They don't know, about my good thing,って歌うのだが,その文句とメロディーはブレンダ・ジョージのEverybody Don't Know About My Good Thingで使われるものと同じだ.あれ,グレイソンさん,またブレンダ・ジョージ用の伴奏を再利用したの.でも,Everybody Don't Know About My Good Thingってこんな感じだったかな,というのでレコードを引っ張りだし,聞き比べてみた.

違う.特にベースなんかまったく違う.それでも雰囲気は似ていて,女声コーラス以外でも,ワウワウを深くかけた,むずむずするようなギターを使っていることなどは共通している.多分,Everybody Don't Know About My Good Thingの伴奏トラックと同じときに録音したものだろう.

アレンジャーが凝った編曲をするとき,伴奏が一発で完成,というのも難しそうだ.マイルス・グレイソンが,レコードに使う最終的な伴奏トラックができるまで,少しずつアイディアを加えながら何度か試作品を作っていたとしても不思議ではない.Everything Good To Youの伴奏トラックは,ブレンダ・ジョージのEverybody Don't Know About My Good Thingの伴奏を作っているときに,完成途上のものとして録音したのだろう.アレンジの完成度はEverybody Don't Know About My Good Thingで使ったものが上だけど,この試作品も何かで使わないともったいない,という感じは確かにする.

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2009年2月 7日 (土)

流用事件その1

リトル・ジョー・ブルーのKrisレーベルのLPと,CollectablesレーベルのCDでリイシューされている曲で,こんなのもあった.

Little Joe Blue, Give Me An Hour In Your Garden (And I'll Show You How To Plant A Rose) Part 1 b/w Give Me An Hour In Your Garden Part 2, Bel-Ad 1009.

Belad1009 KrisのLPでもCollectablesのCDでも,コンディションのごく悪いシングル盤からのダビングなので,音質の点で聞く気がしないのは残念だ.音楽の出来は良いので惜しい.KrisのLPに収録されたのは,Krisのメル・アレクサンダーが権利を買ったから,だと思うのだが,もしかすると適当にシングル盤からダビングして勝手に入れちゃったのかもしれない.

このレコードはジム・ギャンブルのIt's Hard To Explainと同じ頃に(だから30年近く前),これもディスク・ユニオンで買った.内容がとても良いので当時は繰り返し聞いたものだった.プロデュースとアレンジはマイルス・グレイソン.さすがに彼らしく歌手に合わせて周到なアレンジを,と言いたいところだったが.

このレコードを入手して2,3年後のこと,ブレンダ・ジョージのI'm Not Trying To Make You Payを聞いてみて驚いた.伴奏がこのリトル・ジョー・ブルーのGive Me An Hour In Your Gardenと同じだったのだ.ブレンダ・ジョージのレコードは1971年頃,Z・Z・ヒルのDon't Make Me Pay For His Mistakesがヒットした直後の録音だろうが,リトル・ジョー・ブルーの方は1978年の表示がある.という訳で,マイルス・グレイソンはブレンダ・ジョージのために作った伴奏トラックをそのまま使ってリトル・ジョー・ブルーに歌わせ,お手軽にレコードを1枚作った,ということのようだ.そのことが分かったとき,手抜きと言えば手抜きだから,何だか少しがっかりしたものだ.もっとも,伴奏を複数のレコードで使いまわすのは珍しくないかもしれないし,Give Me An Hour In Your Gardenがリトル・ジョー・ブルーの曲でも上位の出来であることは変わりない.良くできたアレンジだし,歌も良いし,伴奏が使いまわしでも別にいいんじゃないの.

なお,同じレコードはMiles Ahead 1101という番号でも出ていて,そちらがオリジナルだと思う.歌の文句に関しては,Give me an hour in your garden, and I'll show you how to plant a roseというキー・フレーズなど,ジョー・ターナーのOne Hour In Your Garden (Kent)をヒントにしているようだ.

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2009年2月 1日 (日)

メル・アレクサンダーと歌手・その7

メル・アレクサンダーのSpaceとKrisで比較的多くの録音を残したのはリトル・ジョー・ブルーだった.

Little Joe Blue, We All Have The Blues Pt.1 b/w We All Have The Blues Pt.2, Kris 8111.

Kris8111 このレコード,リトル・ジョー・ブルーのSpace/Kris録音の中では,まずまず出来の良いほうだと思う.ちょっと伴奏が元気ありすぎて,うるさいような気がしないでもないし,反対にリトル・ジョー・ブルーのミキシング・レベルが低いようでもあって,100%満足ではないけれど,それでも力強いブルースだ.

歌っていることに耳を傾けると,♪スーパー行って,パンを買おうと思ったら,あんまり高いんで,代わりにメリケン粉買って我慢した(いや小麦製品はみな高いよ),って何だか所帯じみてはいるが,生活苦を歌った曲だ.暮らしがきびしいと思う人ならば誰にもブルースはある,という内容のよう.

このWe All Have The Bluesという曲,LPとCDでリイシューされてはいるが,このLPとCDというのが少々難ありで,あまり聞きたくない.LPはBest Of The Bluesという題名,Kris 8119という番号だが,このLP,多くの曲で回転数がおかしい.速度が速くなって,ジョー・ブルーの声が高くなってしまっている.これ,誰もおかしいと思わなかったのだろうか.CDではCollectablesで出ている(Collectables COL-5744)のだが,KrisのLPから音を取っているようで,やはり何曲かは変だ.幸いWe All Have The Bluesは正しい回転数のようだが,他の曲が変だと聞く気がしなくなってしまう.それに,LPとCDに入っているのはPart 1だけで,Part 2の方はシングル盤でしか聞くことができない.

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