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2008年12月29日 (月)

メル・アレクサンダーと歌手・その2

ジミー・“プリーチャー”・エリスはメル・アレクサンダー関係のレーベルではSpaceの他,Movin',Krisなどでレコードを出していて,KrisではCD/カセットまで出しているらしい(Red Hot And Blue, Kris 8147).そのCDに両面とも入っているようだけれど,Krisから出たレコードの一つがこれ.

Jimmy (Preacher) Ellis, Everyday's A Holiday With The Blues b/w Hard Times, Kris 8146.

Kris8146 録音年とかは良く知らないけれど1980年前後ではないかな.どういう訳かThe R&B Indiesに載っていないが,別に珍しい盤ではないと思う.

Everyday's A Holiday With The Bluesはマイナー・キーの非常にブルージーなバラッド.ボビー・ブランドのI'll Take Care Of Youを乱暴にしたような感じ,と言えば近いか.シンセサイザーを安易に使ったアレンジは嫌だが,重量感あるエリスの声には魅力を感じる.

Hard Timesはリラックスしたテンポのブルース曲.こちらもアレンジが感心しないなあ.生活の苦しさを訴えるブルースなのだけれど,暢気な音色で響く単調なシンセサイザーのリフのせいで何だかちっとも真実味がないぞ.ちょうどブルース&ソウル・レコーズ誌の最新号(No.85)はギターを持った次期大統領オバマさんが表紙で,特集記事の中で社会派のブルースやソウルの曲がいろいろ紹介されている.このHard Timesもメル・アレクサンダーがもっと上手く制作していればその中にも入っていたかもしれない.エリスの,ごわごわした声を使った歌いっぷりは悪くないのだから.

ジミー・“プリーチャー”・エリスが今どうしているのかよく知らない.テキサス州ダラスのブルースのサイトに写真があるので,テキサスのどこかにいるのか,それとも今もウェスト・コーストにいるのか.今後,突然アルバムを出す可能性も残っていると思う.昔のシングル盤作品のコンピレーションにも期待したい.

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2008年12月21日 (日)

メル・アレクサンダーと歌手・その1

ジミー・“プリーチャー”・エリスという人は,P-Vineから出たCD,The Jewel Deep Soul Story(P-Vine PCD-5624/5/6)で初めて聞いた.そこに収められた彼の曲I'm Gonna Do It By Myselfはブルース形式に基づいた,ファンク・ブルースといって良い曲だった.この曲の歌いっぷりが,もう,ノリの良さといい,声域といい,声のコントロールといい,素晴らしくてすっかり気に入ってしまった.ジミー・“プリーチャー”・エリス名義のCDも(複数?)出ていたようだが,今となってはちょっと入手しにくくて,持っていない.

Jimmie (Preacher) Ellis, Don't Tax Me In b/w Trouble All Over The Land, Space 306.

Space306 Trouble All Over The Landは重々しいスロー・ブルース.出だしのところはローウェル・フルソンやB・B・キングのTroubles, Troubles, Troubles (Trouble Blues)か?と思わせるが,途中で独自の歌詞になっていく.野太い声に迫力があって,満足できる出来だ.

Don't Tax Me Inはファンキーなブルース.同じレーベルでリトル・ジョー・ブルーも録音しているのは割と知られているだろう.なかなか社会的な内容のようだ.残念ながら,歌い方に迫力が欠け,ヴォーカルの録音レベルも低くてぱっとしない.同じファンキーなブルースでもI'm Gonna Do It By Myselfの良さには全然及ばない.

両面とも1968年,ロサンゼルス録音,とされている.ジミー・“プリーチャー”・エリスはギターも弾き,他の歌手のセッションでも弾いていたりする.このレコードではハーモニカも入るが,ギターだけでなくこのハーモニカもエリス自身の演奏だそうだ.

Spaceというレーベルだが,ロケットやら空飛ぶ円盤(UFOと呼ぶには旧式過ぎる感じだ)やら宇宙人女(そうなのか?)をあしらったレーベルのデザインが,なんとなく微笑ましい.メル・アレクサンダー(アレグザンダー,って濁るのが本当かも)とジェイムズ・ジャクソンという人達のレーベルで,プロデュースも彼らが担当している.

メル・アレクサンダーはレーベル・オウナー,プロデューサーとして1970年前後のウェスト・コースト産レコードで名前を見掛ける.もう隠居してるのかと思うが,21世紀に入っても,アーニー・ジョンソンのCD,Squeeze It(Phat Sound 4112)にSong Coordination, Consultant and Promotions,なんていって名前が出ていたりする.実は,プロデューサーとして彼がすごく優秀だとは思っていないのだが,彼のプロデュースで注目すべき作はいくらかある.

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2008年12月13日 (土)

Ferriday, Louisiana・その4

ルイジアナ州フェリデイのレーベルでもう一つLluviaというのがあって,枚数は少ないようだがレコードが出ている.レーベルにManufacturing by Myrl Records,と記してあるので,Myrlと同じ会社の別レーベルかとも思う.その1枚がなかなかの聞き物だ.

"Happy Jack" Davis with Piano Slim & The Stereo Tones, Ten Cents Stew b/w Steady Roll, Lluvia 5052.

Lluvia5052_2 “ハッピー・ジャック”・デイヴィスというのが誰なのか,分からない.この名前で他に出ているレコードは無いようだ.このレコードが録音されたのは1961年9月だが,その時点かなりキャリアを積んでいたジャンプ・ブルース・シャウター,という感じがする.つやつやとした声質だが,若い人という声ではなく,少し貫禄のついた声で,歌い方もやや古い世代のように聞こえる.

Ten Cents Stewは鋭い音色のテキサス・ギターで始まる8小節のスロー・ブルース.デイヴィスのずっしりと重い歌いっぷり,ギターを始めとするバンドのサポートとも良い.途中でしつこい曲展開になるのが音楽の流れを止めてしまうようなところがあるが,これもマイナー・アーティストの愛嬌なのではないか.1960年代のテキサス・アーバン・ブルースの良作として高く評価したい.

Steady Rollはノリの良いジャンプ・ナンバーで,こちらも良い出来だ.威勢の良いサックス・ソロなども入る.

The Blues Discography 1943-1970は録音地をFerriday, La?としているが,テキサス州ヒューストンの録音だろう.マトリックス番号はACA 4391/ACA 4392となっている.ピアノ・スリムことウィラード・バートンの名前が記されているから,彼がピアノを弾いているのは大体確かだろうが,他のメンバーは分からない.Ten Cents Stewで頑張っているギタリストはビッグ・ウォルターのMyrl盤で弾いている人と同一人物のようにも聞こえる.

両面とも曲の作者はM. Dodge - L. Harperとなっている.この「ドッジ」という人名を見て,フロイド・ディクソンがレコードを出したDodgeというレーベルの名前は,人の名前からとったのでないかと思い当たる.これでM. DodgeのMがMyrlだったりしたら謎解きは簡単なのだが,そうでもないだろうな.

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2008年12月 6日 (土)

Ferriday, Louisiana・その3

ピアノ・スリムことウィラード・バートンという人が1950年代から1960年代にかけてテキサスのいくつかのレーベルからシングル盤を出していた.そこそこ枚数を出しているから,それなりに需要があったアーティストだったのかと思う.それらの録音を集めて(だろうか?)CollectablesでリイシューCDが出ていた.そのCDの,ごく個人的な感想は,安っぽいロックンロールまがいばかりで面白くもなんともない,というものだった.以前のBlues Records 1943-1970にはこの人の項があったが,新しいThe Blues Discography 1943-1970にこの人は載っていない.というのも,あまりof blues interestとは言えないアーティストだからだろう.

それでもルイジアナ州フェリデイのMyrlから出た次のレコードは,CollectablesのCDに入っていたのよりはof blues interestだと思う.

Piano Slim, Swinging With Jane b/w Heartbeat Of Love, Myrl 405.

Myrl405 両面ともインストゥルメンタルなのだが,Swinging With Janeはまずまずの出来だと思う.特に凄いとは言えないけれど,賑やかなブルース形式の曲で,ギターの弾くリズムがシャキシャキしていて,気楽に聞いていれば心地が良いとは言える.サックスとギターがソロを取る.ウィラード・バートン以外のメンバーは分からないが,ギタリストは前回のビッグ・ウォルターのレコードで弾いていた人と同じなのかも知れない.

Heartbeat Of LoveはR&Bバラッドのインストゥルメンタルという感じ.ピアノとサックスが,さも「良い曲だろう」といわんばかりのソロを弾くが,それほどのもんじゃない.

このレコードの2曲もACAと付くマトリックス番号が付いていて,ACA-4323/ACA-4324となっている.番号からすれば1961年頃にヒューストンで録音されたもののようだ.

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2008年12月 1日 (月)

Ferriday, Louisiana・その2

つい最近のDialtone/P-VineのCDで,90歳を過ぎたビッグ・ウォルター・プライスが参加していたのがあったと思う.90過ぎというブルース屋が録音することはときどきあるけれど,ビッグ・ウォルターも随分息の長い音楽活動をしているものだ.

Big Walter and His Thunderbirds, It's How You Treat Me b/w Feelin' A Little Worried, Myrl 406.

Myrl406 これは,今から40年以上も前,1961年8月頃にテキサス州ヒューストンで録音されたもの.伴奏のメンバーは分からない

ビッグ・ウォルター・プライス,凄いときは凄いからなあ.アルバート・コリンズのギターがついたMy Tears.あれは,コリンズのギターもギターだが,ビッグ・ウォルターの重量感ある歌が本当に強烈だった.同じ歌をNobody Loves Meという題名で再録音しているが,そちらも良かった.もっとも,彼のレコードはいつでも凄いという訳ではないけれど.

さて,このレコードは両面ともブルースを演じていて,My Tearsほどではないとしても,なかなかの佳作になっている.It's How You Treat Meは中くらいのテンポの曲,Feelin' A Little Worriedはもう少しテンポ速く軽快に仕上げている.やや不満なのはビッグ・ウォルターがオルガンを弾いていること.オルガンは別に嫌いではないし,当時は流行っていたのかもしれないけれど,ビッグ・ウォルターはピアノが結構良いからピアノを弾いて欲しかった.その代わり,いかにもテキサスでござい,というような歯切れの良いギターが頑張っていて,特にIt's How You Treat Meでは好演が目立っている.このギタリストは誰なのだろう.

Myrlというレーベル,鮮やかな配色のレーベル・デザインが目を引くが,前回のDodgeレーベルと同じくルイジアナ州フェリデイの住所が記されている.前回のフロイド・ディクソンのレコードをACAスタジオでの録音だと思ったのは,マトリックス番号の頭にACAというのが付いていたからだが,このビッグ・ウォルターのMyrl盤にもACAで始まるマトリックス番号が付いている.フロイド・ディクソンの盤はACA-4438/ACA-4439,このビッグ・ウォルターのACA-4379/ACA-4380となっていて,大体同じような時期に録音されたものと分かる.ビッグ・ウォルターはMyrlレーベルでもう1枚,Watusie Freeze Part 1&2というのを出しているが,これはノベルティというか,しょーもないインストゥルメンタルだった.

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