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2008年10月26日 (日)

1980年代のシカゴ・ブルース,その3

1982年にシル・ジョンソンがヒットさせたMs. Fine Brown Frameはとてもカッコ良かった.ブルースに根ざした音楽であることははっきり分かるのに,1980年代の流行音楽らしい新しさも十分併せ持っていて,快作だった.そのレコードをプロデュースしたのはジェネラル・クルックで,ハーモニカにジェイムズ・コットン,ギターにマイケル・コールマンというメンバーだったが,同じ頃,この組み合わせでジェイムズ・コットンもレコードを作っていた.

James Cotton, Part Time Love b/w Here I Am (Knocking At Your Door), Backroom 86454.

Backroom86454 このレコードでもジェネラル・クルックの音作りは冴えている.Part Time Loveは,あの,リトル・ジョニー・テイラーのPart Time Loveだが,まったく新しいファンク・ブルースに仕立て直されている.イントロで「んぱっんぱっんぱっんぱっ」てな感じのノリの良いリズムで引き込んでおいて,ハーモニカ・ソロ,歌,コーラスの応答,展開するのがとても上手く出来ている.ハーモニカのソロも聞き物だし,全体に格好よく仕上げられていて,この時代のシカゴ・ブルースとしては傑作だと思う.難点は,コットンのヴォーカルで,元気はあるが,ちょっと荒っぽくて味わいに欠ける.もっとも,そういうことを気にするような種類の音楽ではないような気もする.

Here I Amの方もアップテンポのブルース曲.Part Time Loveに比べればオーソドックスというか,若干ありきたりで,やや落ちる.それでもアレンジには新鮮な部分もあるし,悪いということもない.

Buddahの録音がファンク・ブルースとして評価されているジェイムズ・コットンだから,ファンキーな曲を演ずるのは意外なことではない.それでも,このPart Time Love,その路線の中でも出来の良い作として記憶しておきたい.

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2008年10月18日 (土)

1980年代のシカゴ・ブルース,その2

AlligatorとかRounderとかは非黒人ファン向けにブルースのアルバムを売っている会社だが,45回転のシングル盤も出していた.その売れ行きがどうだったのか,知らない.同じ様な性格のレーベルで,Living Blues誌のジム・オニールが主宰していたRooster Bluesもシングル盤を出していた.これらは大体LPからのカットが多かったようだが,1983年に出たらしい次のレコード,何かのアルバムに入っていただろうか?

Abb Locke with Otis Rush, Blues Party b/w Cleo's Back, Rooster Blues 49.

Rooster49 サックス奏者のアブ・ロックは色々なセッションで名前を見るから有名だろうけど,いつも大体脇役で地味な存在だから,ギターのオーティス・ラッシュの方につい注目してしまう.オーティス・ラッシュ参加のRooster Bluesのセッションというと,エディ・クリアウォーターのものなどがあったが,そのセッションと別の録音かなあ,と思う.クリアウォーターのレコードはもう少し後の1986年に出ているからだ.

Blues Partyは歌の入るウォーキング・テンポのブルースになっている.ヴォーカルはアブとロックス,となっていて男女混声のコーラスで歌われるのだが,どの声がロックの声だかよく分からない.どの声であったとしても鼻唄みたいなもんで,たいしたことはない.という訳で,歌に関してはまるっきりへなちょこなレコードなのだが,それとは不釣合な,やたらに立派なギター演奏が終始聞ける.間奏のソロも含めて,オーティス・ラッシュはさすが,ということ.ロックのヴォーカルが弱いので,コーラス形式にしたのだろうけど,そういう工夫はしなくていいから,誰か歌える人を調達してくれれば良かったのだが.このウィーク・ポイント,ギターを弾いてる人に歌わせれば簡単に解決したのだろうけれど.

Cleo's Backというのはアブ・ロックのテナー・サックスを中心としたちょいファンキーなインストゥルメンタル.オーティス・ラッシュも2コーラス位のソロを弾く.これはブルース・ファン向けBGMとゆー感じ.

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2008年10月11日 (土)

1980年代のシカゴ・ブルース,その1

コンパクト・ディスクが市場に提供されたのは1982年で,その後急激に普及して1980年代終りにはほぼアナログ・レコードに取って代わったようだ.7インチ45回転のシングル盤レコードの歴史も大体1981年~1990年あたりが最後の10年間,ではないだろうか.その時期にシカゴ・スタイルのブルースもいくらか出ていて,1989年のこれもその一つ.

Johnny Christian, All Of Your Love b/w Somebody Call My Baby, Big Boy 52088.

Bigboy52088 ジョニー・クリスチャンについては,

http://hem.fyristorg.com/bukka/bdn3.html

に詳しい.

All Of Your Loveはマジック・サムの,アレだ.これがなかなか良い.意外と迫力あるゴワゴワした声で,バンドの方も荒っぽいが勢いがある.バンドはギター2本,ベース,ドラム,オルガン,サックスというような編成.ナイス・カバーの部類ではないか.

Somebody Call My Babyはリラックスした感じのスロー・ブルース.こちらは歌いっぷりが抑え過ぎのようで,まあまあ.歌の文句はスタンダード曲のGoing Down Slowから借りている部分があるようだ.

レーベルのBig Boyはシカゴのディスク・ジョッキー,ビッグ・ビル・コリンズのレーベルだ.コリンズのことはザ・ブルース誌,No.25 (1977年11月)で中河伸俊さんが書いているのだが,そんな古雑誌(30年前だもんなあ)を持っている人もあまりいないだろう.というより,そんなことを執念深く今でも覚えている自分というのも実にどうもロクなものでない.

Bigboylp1935 この2曲,LPでも出ている.Little Johnny Christian, Somebody Call My Baby (Big Boy LP1935)というのがそれだ.厳密にはシングル盤とLPに入っているのは同じではなく,LPに入っているのはシングル盤のものよりずっと長い.聞き比べた感じでは同じ録音のようで,シングル盤はあちこち切って短くしたものと思われる.このLPの収録曲,毎度お馴染みのTurning Point,オーティス・クレイが歌っていたAll Because Of Your Love,マッキンリー・ミッチェルのEnd Of The Rainbow,それにマジック・サム,と選曲にもシカゴの二線級ミュージシャンらしさが表れている.何だが普段ライヴでやっていることをスタジオで繰り返したような感じで,ラフ過ぎるかもしれないが熱気と生気はあって,好感が持てる面もある.

この録音を1989年に行った後,もう1枚Big BoyからLPを出したそうだが,それは持っていない.その後の彼のレコーディング・キャリアがどうだったのか,よく知らない(すぐ亡くなったそうだ)が,現時点でジョニー・クリスチャンを聞けるCDは簡単には見付からないと思うし,彼の名前がそう話題になることもなかったような気がする.このBig Boy録音や,彼が1980年代に残した数枚のシングル盤がディジタル形式で復刻される可能性は少ないのかも知れない.

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2008年10月 4日 (土)

意外とモダン・その3

Love For SaleがMercuryから再発された後,ロイ・ブラウンはもう1枚シングル盤をMercuryから発表している.これもモダン・ブルース風の作りではある.

Roy Brown, Mail Man Blues b/w Hunky Funky Woman, Mercury 73219.

Mercury73219 1971年頃に出たレコードで,Love For Saleのときとはプロデューサー,アレンジャーが代わってしまっていて,少々がっかりする.プロデュースがボブ・トッド,アレンジがドン・マクギニスという人だが,誰だか知らない.

ブラウン自作のMail Man Bluesというのは軽快なブルース曲.曲調は,もっと似ている曲があるかもしれないが,リッキー・アレンのCut You A-Looseなんかが割と近いような気がする.楽曲としてはブラウンにそれなりに合っている.伴奏の方はギター,ピアノ,ベース,ドラムというあっさりしたもので,何だかブルース・ロックみたいでもある.伴奏の方は平凡かつ単調だと思うが,ブラウン自身は力を保っている.

Hunky Funky Womanの方はサックスなんかも入る.これは,タイトルからも想像がつくように,ファンキー・ソウルとゆー感じ.

Mail Man Bluesの売れ行きはどんなものだったのか.良く売れていればMercuryでアルバムを作っていただろうから,大したことはなかっただろう.出来栄えはLove For Saleには及ばないし,ロックっぽい気もするから,特にお薦めはしない.それでもロイ・ブラウンを追いかけている人なら聞いてもよいのじゃないか.

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