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2007年12月 8日 (土)

このあたりでチェス・その10

ここを見に来る皆様が最初に聴いたChess/Checkerの音楽は何だっただろうか?ワタクシの場合,それはチャック・ベリーでもなければマディ・ウォーターズでもなく,間違いなくオルガン奏者デイヴ・“ベイビー”・コーテツの曲だった.そのことに気が付いたのはごく最近のことだったけれど.

Baby Cortez, Rinky Dink b/w Gettin Right, Chess 1829.

Chess1829 デイヴ・“ベイビー”・コーテツなんて関心はなかったが,レコード・コレクターズ誌Vol.26, No.10のチェス・レコーズ特集で,鈴木啓志さんの記事を見て,聴いてみるか,と思った.ギターがジミー・スプルーイルとかいう話もあるし.それでシングル盤で入手して聴いてみて,ああ,そうか,これだったか,というのが感想.

小学生くらいの頃だったと思うが,ニッポン放送が毎週日曜日の朝放送していたラジオ番組「ポップス・ベストテン」を聞くのが習慣になっていた.番組名通り流行りの洋楽ポップスが10曲流れる,というもので,洋楽と自分の最初の接点だったと思う.番組の進行役は,ライヴドアによるニッポン放送買収騒ぎのとき,社長としてよくTVに出てきた亀渕昭信氏ではなかったかな.番組でどんな流行音楽が流れたかなんて覚えてないが,そのエンディング・テーマとして使われたオルガンの曲はよく覚えている.それも当然で,番組の中で聞く曲は毎週入れ替わるけど,エンディング・テーマは毎週同じなので,どうしたって擦り込まれてしまう.

さて,子供の頃に擦り込まれた,あのカッコいい,オルガンの曲は何だったのだろう,と気になっていた.ブルースなんか聞くようになって,あれは,何かR&B系のオルガン・インストゥルメンタルだろうな,と思うようになったのだが,誰の何の曲なのかなかなか分からなかった.片っ端からしらみつぶし法で聞いていけば,まあ分かるんだろうけど,そりゃ労力掛かり過ぎだし.

そのエンディング・テーマ曲,初めて聞いてからん十年たって,ようやく分かった.ベイビー・コーテツのRinky Dinkだったんだ.へえ,Chessだったんだ,あれ.歯切れの良いリズムをもった,キャッチーなインストゥルメンタル曲で,コーテツのオルガンを中心に,ちょい渋いギターとサックスが絡む,というもの.なつかしいな.1962年8月にビルボードのR&Bチャートで9位,ポップチャートで10位になったというから相当のヒットだ.

Rinky Dinkだけだとブルースとそれほど関係なさそうだが,その裏側のGettin Rightというのがインストゥルメンタルのスロー・ブルース曲となっている.これを聞くとベイビー・コーテツという人はブルース・アーティストではなくても,ブルースをルーツの1つとしていたことは分かる.ちょっと,いかにもブルースという感じを煽り過ぎのような気もするが,格好よいギター・ソロなどもあって,決して悪くない.

ベイビー・コーテツの昔の録音を集めたリイシューCDは何枚か出ているようで,オリジナル録音かどうか知らないが,Rinky DinkもCD化されていたようだ.Chess以前の録音は英Aceで出ている.

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コメント

よくわかりましたね、凄い。以前挙げたLarry Dale入りのCootie WilliamsのアルバムにRinky Dinkというタイトルのインスト曲がありますが、別物でしょうね。

私が聴いた最初のChess音源は、多分サニー・ボーイのDown and Out Bluesだと思います。すでに意識的にブルースを聴き始めた時期なので、もっと遠い記憶はないのが残念です。

投稿: 輪 | 2007年12月 8日 (土) 20時48分

> よくわかりましたね...

偶然でした.もしかすると誰かのカバー・バージョンを聞いていたのかも,という不安はちらっとありますが,これだよなあ,多分.

> 私が聴いた最初のChess音源は、多分サニー・ボーイの...

それは,チェスとのファースト・コンタクトとしては非常によろしかったのではないですか.チェス関係もそろそろ飽きてきたので,適当なところでヤメようと思っているのですが,締めはサニー・ボーイにしようかと思っている今日この頃です.

投稿: BackDoorO | 2007年12月 8日 (土) 22時22分

私は生まれが大阪万博の年なんで名前は、かまやつさん、五木さん
関口さんなどの有名人から犯罪者までよくある名前を適当に付けられました…。字は当然柳生さんと同じ(笑)。
名前は重要ですよね、芸能人の場合。五木さんも3回位名前変えて
も売れなかったので、今や当然売れなかった時代のはレア盤です。
ジョンリーくらいいい加減な偽名を使う図太い猛者も居ますが。
何がなんだか分からん位の偽名。

マディ・ウォーターズのあのベストが最初のチェスでした。
MM誌の音楽ガイドブックで存在を知って、よくあるストーンズ
絡みか興味本位で購入。凄い芸名だなあ、解説のハープってなん
だろ?と超初心者だったので何か聴いたことのないタイプの音楽
でした。周りはアイドルだのボウイだの聴いているのに、何故か
ブラック系が好きなのが友人に4人も居ました。CDレンタルと
バラカン氏の番組の影響で泥水にはまった数人。何故か田舎の町
なのに図書館にあのブルースの歴史があって、とにかく分からん
けど読んでみました。何か凄い強烈な面構えと名前と歴史にやられ
ましたね。リトル・リチャードからフラミンゴズを友人と私の家で
聴いて盛上がったりしてました(笑)。凄い歌い方と甘いコーラスに
やられましたね。友人が録画したバラカン氏の番組の70年の
マディの威圧感に圧倒され、バディ・ガイに仰け反りました。
アフリカのピケットも凄いインパクトでした。これがソウルか!
凄いノリだ、カッコイイ。
因みにJBはレンタルで借りて聴いたら、皆同じパターンじゃねえか
これのどこがソウルの帝王なのかと理解不能。今はJBと書いてあれば何でもチェックしますが。

さて、やっと本日紙ジャケのジャングルを入手。音圧上げすぎな
気もしますが、モノのシングル盤だと音圧あるからいいのか?
問題は録音年ですね。ACEの箱の解説ではカバー曲はABCとの
何かしらの兼ね合いで65年に録音したと書いてある。確かに
マスターテープの箱の写真が載っていて65年になっている。
ジャングルに入ったカバー4曲とP社がデジバックでCD化した際に
入れたお蔵音源2曲がマスターの箱に曲名が。一方、今回の解説
で小出さんはそれはホーン等のダビングの日だろうという説。
ACEの解説では自作の曲は当然ABC用に録音せずカバーでごまかしたとの説。うーん、これはどうなんでしょうか?
この時期の録音年は本当によく分かりません。

投稿: BBJBCD | 2007年12月 9日 (日) 00時22分

> ジョンリーくらいいい加減な偽名を使う図太い猛者も居ますが。

偽名王はジョン・リー・フッカーですかね.契約の関係で変名を使うのは戦前戦後を通じて色々ありましたが,フッカーは録音多いですからねえ.

> マディ・ウォーターズのあのベスト...

私がこの手のものを聞き始めたときは,マディ・ウォーターズは日本編集のベスト物が第1集,第2集とあって,第2集の方を先に入手しました.今思えば相当良い選曲でしたな.

> 何故かブラック系が好きなのが友人に4人も居ました。

私の回りにはそんなの居なかったなあ.

> マディの威圧感に圧倒され、バディ・ガイに仰け反りました。アフリカのピケットも凄いインパクト

若いときにショックを受けるとはまります.

> マスターテープの箱の写真が載っていて65年になっている。

物証登場ですか.1962年にはABCでレコードを作っているので,どうなっているのか.Kentに録音しなければいけない契約だったのか,B・Bが二股掛けていたのか,ダビングの日が65年だったのか,本人が証言してくれりゃいいんですがね.B・BはKentと契約中の1958年にChessに録音したりしてますから,案外その辺がテキトーな人なのかもしれません.

投稿: BackDoorO | 2007年12月 9日 (日) 12時18分

>Kentに録音しなければいけない契約だったのか
ACEではその説を取ってますね。完全に契約が切れる前にABCに
録音したとのこと。まあ、出来が良いので何年でもいいんですが。
1月に出るACEの再発ではどうなっているか楽しみが増えました。
ACE本社のサイトではまだジャケ出てないんですが、アマゾンでは
勝手にオリジナルステレオのジャケを使用。
http://www.amazon.co.jp/Jungle-B-B-King/dp/B000WZ4Y82/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=music&qid=1197199801&sr=1-2

投稿: BBJBCD | 2007年12月 9日 (日) 20時31分

何か間抜けなACEのサイト…。
http://www.acerecords.co.uk/content.php?page_id=59&release=7662
追加は無いようですね。誰か本人に確認してくれれば簡単
なんですよ。まさか覚えていないって事はまだないでしょ(笑)。

投稿: BBJBCD | 2007年12月 9日 (日) 20時36分

> ACEの解説では自作の曲は当然ABC用に録音せずカバーでごまかしたとの説

どんなもんですかねえ,それは.My Kind Of Bluesなんかも他人の曲が多かったし,移籍前であっても曲作りの時間が無ければカバー曲を録音したかもしれないし,説得力はあるような,無いような.

> 1月に出るACEの再発ではどうなっているか...

Aceのカタログを見るとThe JungleはKent盤通りのようですね.一方で色々曲が追加されているCDもあって,どう買えば一番効率良いんだか...

投稿: BackDoorO | 2007年12月 9日 (日) 22時13分

全部買うしかないです(笑)。もう頭こんがらがってくるし
ダビングの有り無し、ミックス違いなどジャングルだけ
でも??
無くなる前に紙ジャケを購入し、それからACEで追加分の
曲を調べるのが一番かと。

ケントではマトリックスナンバーがシングルと同じと聞いて
ますが、録音日の記録すら残してないんでしょうかねえ…。
とにかくシングル出す、儲けるしか考えてなさそうだし。
契約を早くきりたくて61年ごろに大量に録音したのか?
ジャングルなんて安いマイクで録ったデモみたいな音です
もんね。そこに会社が勝手にダビングしたんでしょうね。

自伝では多額の小切手をルイ・ジョーダンに見せられて
ファッツ・ドミノに相談したとか?レイがABCで儲けている
から俺もと思ったら、なかなか売れんかった、と愚痴を
こぼしてます。JBのアポロのライヴ盤が売れまくったから
リーガルも録音したのでしょうし、会社はジョー・ウィリアムス
みたいな感じで要求してくるし。
リーガルより良いライヴはもっとあったとまた愚痴をこぼす。
フィリーまで行って録音するのも凄いというか節操がないと
いうか(笑)。曲は良いけどBBじゃなくてもいいんじゃないのか?
ブランドと共演すれば歌の上手さで当然負けるし…。
もうありとあらゆるパターンはやったから、もう録音するのも
止めた方が…。JBと同じで働いてないと駄目なんでしょうね。

投稿: BBJBCD | 2007年12月11日 (火) 05時26分

> 全部買うしかないです(笑)。

きっぱりとおっしゃいますねえ.

> 契約を早くきりたくて61年ごろに大量に録音したのか?

ABC移籍直前に大量録音したとしても,質が落ちなかったのは偉いもんです.その時期が一番勢いがあるくらいなんですから.

> ジャングルなんて安いマイクで録ったデモみたいな音

あれはホントにデモみたいに聞こえます.あれをホーンのダビングで商品レベルにして,ヒットにまでしてしまうのは,あっぱれというか,何というか.演奏面でラフでも歌に気合いが入っていたので上手く行ったのでしょうが.

投稿: BackDoorO | 2007年12月11日 (火) 21時27分

ACEの解説では2ドルのマイクで録った様なと凄い表現(笑)
歌はこの頃から力んでいるというか、最早ヤククソだった?
自分のLPはライナーも無く、安い値段で投げ売り状態で
それで、もうこんな会社は駄目だと思った、勝手に偽名で
共作扱いにされて印税少ない、だから印税持っていかれない
ように65年の録音ではカバーをやったとういう説になって
いるようです。
あの偽名は確かに酷い契約ですね。BBに渡る印税は25%も
いかないのでは?
だから、ジャングルも怒りの歌なんですかね?もう沢山
取り合えず録音してテープ渡して、後は勝手にしなって感じ
に聴こえます。
それが67年の時代とマッチしたから売れたのも(笑)。

JBもキングの待遇が気に入らなくてスマッシュに録音。条件
が改善されないなら録音しない!
改善されて録音したのが「パパのニューバック」。ここから
怒涛の発売が続くんです。
なんせ、音楽理論なんて知らんから「ウーアー」と言いながら
オルガン弾いて、バンドメンバーのリーダーが翻訳する(笑)。
「コールド・スエット」はマイルスの「ソー・ホワット」から
引用してきたリフに御大が歌詞をのせて一丁あがりです。

BBと共演したら、まだソロを弾いてるのに強引に自分の曲に
いきなり戻す(笑)。あ、何だといった感じのBBの表情が笑え
ます。強引にファンキーリズムを弾かせるJB、BBが止めると
それでも、まだ強引に弾かせるので、しょうがねえなあと弾く
BB。やはり人がいいなあ、チャック・ベリーだったら、速攻で
帰るでしょうねえ。

投稿: BBJBCD | 2007年12月12日 (水) 02時54分

> 勝手に偽名で共作扱いにされて印税少ない、だから印税持っていかれないように65年の録音ではカバーをやったとういう説

なんか,Kentだとカバー曲でも作曲者クレジットは「King-Taub」とかに普通にしそう,と思ってP-VineのThe JungleのCD見たら5 Long YearsもEyesight To The BlindもBlue ShadowsもみんなKing, Taubになってました.これじゃ印税持っていかれないように,なんて言っても意味ないんじゃないかなあ.ちなみにKentのLP(ウチのはMulti-Color Labelのプレス)では作者名は何も書いてありません.

アーティストがレコード会社を悪く言ったり,争いになったり,というのは,チェスなんかでもあると思いますが,みんなTaub-Josea作になるKentやDedric Malone作になるDukeよりはチェスはマシなような気がします.

投稿: BackDoorO | 2007年12月12日 (水) 23時07分

これもACEでは元の作者に戻ってますが?うーん、もう分かり
ませんね。海外は権利関係に厳しいからなのかと思って、今回の
紙ジャケのライナーはACEと同じで原作者に戻ってます。
アトランティックでもルース・ブラウンが再発された曲から
お金が入ってこないと裁判して、やっと貰えたそうです。ファン
がアルバムにサイン下さいと言ったら「どうせ、このアルバム
からお金は入ってこないのよ」と言って、そのファンが弁護士
で契約関係を見直したとか。
クレジットが原作者に戻って印税が渡るのか?とも思えますが
King, Taubにしたままではまずいでしょう。もう60年代とは
違ってうるさいですからね。

>Dedric Malone作になるDuke
これはもう原作者が社長に権利を譲渡しているから…。本当の
作者が訴えても契約上無理なんでしょうね。まあ、社長本人も
亡くなっているし。
ある、サイトで社長が曲を書いて支えていたと勘違いしている人
も居ました…。実情は正反対なんですが、知識がないと勘違いも
するよなあ(笑)。後で貰う印税より直ぐ貰える現金が実情だった
から…。

投稿: BBJBCD | 2007年12月13日 (木) 02時28分

ドン・ロビー,法律上は問題無かったかもしれないけれど,平均的には印税で儲け過ぎてたんじゃないの,と思っています.

B・Bは自分のLPが廉価盤であることに落胆していたらしいことは,私も彼の自伝で読んでいました.だけど,B・Bは貧しい層にも支持される音楽家であったので,そのマーケットを狙った廉価盤が作られるのは仕方が無い面もあったのではないか,と思っています,

投稿: BackDoorO | 2007年12月13日 (木) 23時03分

BBにも縁のある、アイク・ターナー亡くなりましたね。
私が知った頃のアイクはとんでもない悪役にされていましたが
最近は復調してきたようだったので残念です。来日拒否もそれ
以前では入国していたのに不思議ですね、ティナの差し金か(笑)。
しかし、仕方がないとはいえソウル黎明期からの人が亡くなり
ますね。BBも段々心配になってきてしまいます。

確かに廉価盤でも何でも聴ければいい訳ですし、会社は儲かれば
いいのですが、自分が安く見られるのが嫌だったんでしょうね。

投稿: BBJBCD | 2007年12月14日 (金) 00時42分

アイクの死,新聞やニュースサイトにも死亡記事が出て,大きく伝えられています.色々あったけれど,非常に有名になって,大きな業績をあげて,音楽家としては充実した一生だったと思われます.

投稿: BackDoorO | 2007年12月14日 (金) 22時13分

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