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2007年10月10日 (水)

このあたりでチェス・その2

ロバート・ヒギンボーザムことトミー・タッカーは,HiやAtcoでシングル盤を出した後,1964年,Checkerで出した最初のシングルHigh Heel Sneakersが大ヒット,次のLong Tall Shortyもチャート入り,と順風満帆かと思われた.しかし,Checker3作目のAlimonyは良い出来だったがチャートには入らなかった.次のレコードはChecker4作目で,Alimonyよりも良いくらいだが,やはりチャート入りしなかった.

Tommy Tucker, I've Been A Fool b/w Chewing Gum, Checker 1133.

Checker1133 聞きごたえがあるのがI've Been A Foolで,物憂いギターのイントロで始まるスロー・ブルースの秀作になっている.トミー・タッカーには特別に強力なブルース歌手というイメージは無いけれど,ここではじっくりと,何やら真情の伝わるブルースを聞かせている.これに鋭い音色で絡んで来るウェルドン・ヤングのギターもナイス.

ヒットしたHi Heel Sneakersでは「12小節ブルースながらお茶目な調子でメランコリックではない(Nadine Cohodas, Spining Blues Into Goldより)」ところが新鮮で受けたとすると,当時の人にはI've Been A Foolはそれと反対の古いタイプの曲と受け取られたのかもしれない.だとすれば商売としては当たらなくても不思議ではない.しかし,そうは言っても,この曲は1960年代のChess/Checkerのブルースとしては逸品の一つに違いない.

Chewing Gumは快活な曲で,ブルージーなノベルティR&B,という感じ.元気があって悪くはないし,こっちはお茶目路線だが,もうちょっと特徴が欲しいような気がする.

The Blues Discography 1943-1970からデータを書き写しておくと,1965年11月,ニューヨークで録音されたもので,メンバーは次の通り.

  Tommy Tucker, Vocal/org;
  Weldon Young, gtr;
  unknowns, gtr, b;
  Vinnie Basile, d.

I've Been A Fool
みたいなのはマスターからのCDリイシュー(というかディジタル・リイシュー)を望みたいところ.

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コメント

トミー・タッカーは、シカゴ・ブルースの写真本か何かで迫力のある写真を見て気になりましたが、シングル曲は未だCDでは聴けないのですね。
レコード・コレクターズ誌チェス特集にも載ってた「The Blues Vol.6」というオムニバスCDをたまに聴きますが、トミーさんは未収録で含まれてません。有名なチェスにも、まだまだ色々眠っているのですね。

投稿: 輪高マリ | 2007年10月11日 (木) 21時02分

チェスはねえ,まだ何かありそうですよねえ.私の知らないのとか,知っていても手の出ないのとか,あると思うんですよ.しばらくはCDで出たのも出ていないのも,色々混ぜながらチェス/チェッカーのことを書く予定でおります.

投稿: BackDoorO | 2007年10月11日 (木) 22時49分

ご無沙汰しております。
チェス繋がりで、少しお教えいただきたいことがあります。
それはJohnny Thompson / So much going for you baby : Bell bottom Sue (Checker 1163)というシングルについてです。
僕は「So much・・・」の伝統的なシカゴのモチーフに適度なモダンさを入れた地を這うような重厚なスローブルースがとても好きなのです。
このシンガー、ジャンプ・ジャクソンの周辺にいたシンガーのようですが、何か情報がありますでしょうか。
録音はたぶん66年でしょう。
このシングルは長年本当に出されていたかどうか不明だったようで、Michel Ruppliが編纂したチェスのディスコグラフィーにも載っていません。
ただJohn A. Thompsonという名前で全5曲(2セッション)がファイルされていて、正式なリリース・インフォについては何も書いてありません。
チェスなんて掘り尽くされているかと思っていましたが、こうした例を散見いたします。
実はシカゴで仕事があって、つい数日前シカゴから帰ってきたばかりなのですが、コレクターズ系ショップの店頭からブルースのシングルどころかヴァイナルそのものもほとんど消えてしまっています。
かえって戦前SPなどのほうが沢山ディスプレイしてある状況です(値段はともかくとして)。
もうネット・オークションなどでしかブルースのシングルは買えないのでしょうか。寂しいですが、現実です。
長文、失礼いたしました。

投稿: むらた まこと | 2007年10月13日 (土) 23時36分

> 長年本当に出されていたかどうか不明だったようで...

むらたさん,あなた,一体どうやってそのようなものを...
どうやらRarest Checkerを手にされたようですね.大事にして下さい.(The R&B Indiesなんか,その番号は空欄ですもの)

Johnny Thompsonが何者か,というのは私には超難問です.おっしゃるように,ディスコグラフィには,この名前でジャンプ・ジャクソンのLa Salle録音,と称するものが出ていますね.しかし,だからといって他のジャンプ・ジャクソン絡みの録音とか,昔の雑誌に出ているジャクソンの広告とかには名前が出てきません.ウチにあるシカゴ・ブルース方面の書籍ではかすりもしない,という感じです.相当にオブスキュアな人物のようです.名前を覚えておきますので宿題とさせて下さい.

> コレクターズ系ショップの店頭からブルースのシングルどころかヴァイナルそのものも...

ほう,彼らは何を売っているのでしょう.CDですかね.ネット上の業者がアナログ盤を漁っちゃうのかなあ.

最近でも戦前の78回転盤で新発見があったりしますから,戦後の45回転盤などはこれから何が見付かるのか想像もつきません.

興味深い話題,どうもありがとうございました.

投稿: BackDoorO | 2007年10月14日 (日) 01時17分

レス有難うございました。
僕の記録によると約7~8年前に某ソウルのディーラー(イギリス)から10ポンド(当時のレートで換算すると1800円くらい)で買ったとなっています。
時々こういうことがありますよね。
主に扱っているジャンルが違うと、レアリティーが分からない→相場とは全然違う値段が付く→ベテラン・コレクターはそこをすかさず狙い撃ちにする(笑)、このレコードのケースはまさにそれだったようです。
そのディーラーはシカゴやデトロイトに頻雑に行っているので、そのときに十羽一絡げに買ったバルクの中にまぎれていたのでしょう。
10数年前に彼の倉庫に泊りがけで遊びに行って4日間レコードをチェックしたことがありますが(そのときの在庫がシングルで約20万枚)、ブルースという区別はなく、レーベル別のABCですべてが種分けされていました。もっとよく探せばブルースなどの珍しいのもかなりあったかもしれません。
彼はソウルの専門家で、ブルースを扱ってるなんて一般的には思いませんものね。意外なものが眠っていたかもしれません。
でもその倉庫発掘の時知り合ったイギリスの某貴族は、いまブルースのHPを立ち上げていますし、知っている人は知っているのかな。
そのディーラーも一時のアメリカの好景気の時にだいぶ某アメリカのディーラーに在庫を売ってしまい、その数、うわさではシングル盤約30万枚とか。まあこんなことが出来るディーラーといえば、名前は限られてくるのでお分かりかもしれませんね。
そのお金でそのイギリス人ディーラーはロンドンから90分くらいの緑豊かな土地に家を買い、車もベンツからベントレーに買い替え、毎日奥さんと自分の庭と続いている広大なゴルフ場でゴルフゴルフ三昧です。おととしまた会いに行ってきましたが、レコードの在庫は数万枚に減っていました。商売はセミリタイアと言っていました。また50ちょっと位なのに。
長々とつまらないことを失礼いたしました。
戦後の珍しいブルースのシングル、これからも次々に発見されると良いですね。
僕もつい最近シル・ジョンソンというシカゴ中心のシンガーのシングルを整理していて、どこの雑誌でも取り上げられたことのないド・ブルースのシングル(ギターがかっこよい!)見つけましたし、某イギリスの雑誌に依頼されてシャーマン・ロバートソンのレコードをチェックしていたら、イギリス人が誰も持っていないというシングルが出てきたり(それは音がソウル系)・・・本当にこれからも楽しみですね。
お手数をおかけいたします。
今後ともよろしくご指導のほど、お願い申し上げます。

投稿: むらた まこと | 2007年10月15日 (月) 20時31分

> 彼の倉庫に泊りがけで遊びに行って4日間レコードをチェック...

20万枚を1枚ずつチェックして,自分に価値あるものを選り分ける,とは私のようなへなちょこは考えるだけでめまいがします.何だか恐ろしい世界を垣間見たような...いや,やはり情熱のレベルがちがいますね.

> そのお金でそのイギリス人ディーラーは...商売はセミリタイア

外国にはレコードでそんな生活を送れる人が居るとは,うらやましいかぎりです.

> つい最近シル・ジョンソン...

実はJohnny Thompsonという名前を見たとき,シル・ジョンソンつまりシルベスター・トンプソンの一族じゃ?という考えが頭をよぎりました.だけど,そんなに単純な謎解きではないですよね.シル・ジョンソンならギターを弾きまくるシングルがあるのは当然としても,そういうものは,その手のマニアの需要があるわけで,雑誌等で取り上げられてこなかった盤があるとは,本当に意外です.

シャーマン・ロバートソンもアルバム・アーティストのような気がしていましたが,まあ,色々あったんでしょう.どうでもいい話ですが,この人,クリフトン・シェニエのビデオに動いてる姿が写ってますね.

では,また面白い話を書いて下さい.

投稿: BackDoorO | 2007年10月15日 (月) 23時36分

Checker 1163,私も入手できてしまいました.値段もむらたさんと同じくらい,ってそんなにレアじゃないんでしょうか?最近になってざくざく出てきたのか...音楽の内容は文句有りません.この盤については,またいずれ.

投稿: BackDoorO | 2007年10月21日 (日) 21時32分

おめでとうございま~す。
僕、この曲、ほんと好きなんですよ。
レアじゃないってことはないと思いますよ。
どうぞ、詳しく突っ込んでください。

投稿: むらた まこと | 2007年10月22日 (月) 19時45分

> おめでとうございま~す。

ありがとうございます.

> 詳しく突っ込んでください。

果して,突っ込む材料が出てくるのか,どうか...

投稿: BackDoorO | 2007年10月22日 (月) 23時06分

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