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2007年10月16日 (火)

このあたりでチェス・その3

トミー・タッカー絡みのチェッカー盤をもう1枚.これはCDでも聞ける曲.

Sugar Pie DeSanto, Slip In Mules (No High Heel Sneakers) b/w Mr. & Mrs., Checker 1073.

Checker1073 シュガー・パイ・デサント,チェッカー録音ではあまりブルースの曲は多くはないようだけれど,Slip In Mulesは味のあるナイス・ブルースになっている.その作者の名前にヒギンボーザム,つまりトミー・タッカーも連名になっている.この曲がタッカーのヒット曲,High Heel Sneakersのアンサー・ソングで,タッカー自身が作ったからだ.

トミー・タッカーの元歌では「今晩デートだから,真っ赤なドレスがいい」と歌うのに対して「赤のドレスはクリーニングに出したところ」,「踵の高い靴がいい」と言えば「あれは爪先が痛くてダメ」とシュガー・パイが返すこの歌,ヒットしてビルボードのR&Bチャートでは1964年4月に48位になっている.元歌のHigh Heel Sneakersとだいたい同じ様な曲調で,ピアノやオルガンのよく弾むリズムも心地良く,シュガー・パイの歌も表現豊かなように思う.

チェス・レコーズに関する本,Spinning Blues Into Goldによれば,トミー・タッカーはHigh Heel Sneakersのアンサー・ソングを作ろう!と考え,そのアイディアをデトロイト出身のプロデューサー,ビリー・デイヴィスに伝えると,2人ともシュガー・パイ・デサントの声が頭に浮かんだ,とのこと.曲を1日で作り,翌日にはレコーディング,だったというから早業だ.

Desantocd Slip In Mulesはウチにある日本盤CD,Down In The Basement, Chess/Universal MVCE-22040にも収録されている.だけれど,CDに入っているのはシングル盤のものとは別テイクだ.出来はどちらも良いので,どちらを聞いても構わないだろう.CDに入っているテイクは最初の歌い出しが抑え気味で,おおげさに言うとささやくような調子だったり,ギターの合の手がシングル盤と違ったりしている.一番違うのは間奏が終わった後の歌詞で,シングル盤ではCan't wear no high-heel sneakers...と第2ヴァースの歌詞を繰り返すのに対し,CDのテイクではBaby my red dress in the cleaner...と第1ヴァースの歌詞を繰り返している.

Mr. & Mrs.の方はLPでもCDでも出ていないと思うが,平凡なポップ・ソングなので,これは復刻の必要はないだろう.

Slip In Mulesの方はシカゴ録音で,ビリー・デイヴィスがチェス社長に要求していたハウス・バンドが伴奏していて,モーリス・ホワイト,レオナード・キャストンらがメンバーになっている.Mr. & Mrs.は,まあどうでもいいが,ロサンゼルス録音でジョニー・ハーツマンらが伴奏していることになっている.

割と最近出たDVD,The American Folk-Blues Festival, The British Tours 1963-1966, Hip-O B0008353-09で,シュガー・パイ・デサントの1960年代の姿を見れたのは嬉しかった.歌えるのはもちろんだけれど,若い頃のシュガー・パイ,ショーマンシップみたいなのも相当なもんだったのではないかな.

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