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2007年6月27日 (水)

違ってるよ

アラバマ州ギャズデン(Gadsden)というのは,前回,話に出てきた同州タスケジー(Tuskegee)よりもだいぶ北にあたるようだ.ギャズデンで活動していたシンガー・ハーピスト,ジェリー・マッケインは1953年に初録音をしていて,近年もMusic MakerからCDを出しているから,ずいぶん息の長い人だ.録音したレーベルは,抜けているのもあるかもしれないが,Trumpet,Excello,Rex,Okeh,Ric,Continental,Jewel,Royal American,Romulus,Robox,Gas,Esco,Heart,Bad,Ichiban,Music Maker,と数多く,デビュー以来ほぼ切れ目なく録音しているように見える.傑作も多くて,次のGasレーベルから出したシングル盤も良かった.

Jerry McCain, Love Whip b/w If I'm Your Fool, Gas 106.

Gas106 1980年に出た,このシングル盤の2曲だが,どちらも1987年にGasから出たLP,Black Blues Is Back! (Gas 1001)でリイシューされている.では,CDではどうかというと,どうやら出ていないようだ.

ジェリー・マッケインはゲイリー・サイズモア(Gary Sizemore)という人のプロデュースで多くのレコードを作ってきた.上のGasというレーベルはサイズモアのものだ.このサイズモアが権利を持っているジェリー・マッケインの録音はGood Stuff! (Varese Vintage VSD-6022)というCDにまとめられている.このCD,最近買ったのだけれど,表示してある曲目リストにはLove Whipが入っている.ところが,そのトラックを掛けてみてもLove Whipではなく別の曲が出てきてしまう.曲順が違うのか,と思ったが全部聞いてもやっぱり出てこない.If I'm Your Foolの方は最初から曲目としても表示されていないし,他の曲と間違って入っているということもない.他のCDでマッケインのこの時期の録音が出ている気配はないから(あるかもしれないけれど),これら2曲は未CD化,ということであろう.

という訳で,きわどいところでCD化され損なったLove Whipだが,非常に良い出来だ.曲の作りは,マディ・ウォーターズのManish Boyとか,そういうタイプのブルース曲だ.ミディアム・テンポでワン・コードで押してくるのだが,熱気があって,音楽に引き込まれる.マッケインの歌というのは,どことなく,ふにゃっとした感じがあると思っているが,この曲では伴奏に粘っこく絡んで来て,味のある面が出ている.盛り上がったところで入るハーモニカ・ソロは勿論名人芸.

If I'm Your Foolの方は落ち着いたスロー・ブルースで,どちらかと言えばLove Whipの方が好きだけれど,こちらも良い出来だ.

Vv6022 Varese Vintageから出たCD,Love Whipの代わりに入ってしまった曲もブルースで,悪くはないのだけれど,やはり本物を収録して欲しかったところだ.

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コメント

ジェリー・マッケインの2005年のアルバム'Boogie Is My Name'は愛聴盤になってます。近年の彼のCDは聴いてないので大きな期待をせず購入したのですが、これだけ生命力溢れる新譜を出せるブルースマンは現在ほとんどいないのじゃないのかと思いました。ご本人も満足してるようで、ライナーに「ジミー・ヴォーンやジョニー・ジョンソンといった有名人と作った前作より自分のバンドとやった本作の方がずっと良い」とわざわざコメントが載っています。最初期のTrumpet録音からずっと、彼のユーモア、生活感、反骨感(?)みたいな強烈な個性がブルース臭さを一層際立たせているみたいでとにかく大好きなブルースマンの一人です。ご紹介の未CD化作品もVarese Vintage盤も持たないのですが、彼のマイナー・レーベルのシングル完全盤なんて便利なCDが出たらなぁ。そして更なるニュー・アルバムも期待したいです!

投稿: 輪高マリ | 2007年6月28日 (木) 07時48分

> 2005年のアルバム'Boogie Is My Name'...

これ,持っていません.2001年の作を買って,もう,ちょっとさすがにトシかな,なんて思ったものですから.長生きも芸のうち,なんて言いますから元気にやって欲しいもんです.

> シングル完全盤...

結構腰がくだけそうな怪作もありそうです.そーゆーのも個性のうち,と考えて,快作も怪作もごっちゃに楽しむのが正しそうですね.

投稿: BackDoorO | 2007年6月28日 (木) 22時13分

続けてお邪魔します。
音楽といっても、僕のブログは扱うジャンルが違います。
ご迷惑でしたら、リンクははずしていただいて結構ですので、その辺どうぞよろしくお願いいたします。
ただ、僕はソウルを中心に戦前ブルースからヒップホップまで聞いているという超「節操のない」人間ですので、あまりジャンルわけは関係ないのですが、世間一般的には・・・です。
とりあえずジェリーについて。
お書きになっている事実についてはまったく知らなかったので、持っている当該シングル、アルバム、CDを出して聞きなおしてみました。(恥ずかしながら一応全部持っているのです)
おっしゃるとおりでした。さすが素晴らしい耳をお持ちです。僕なら絶対に気がつかなかったでしょう。
で、僕の持っているジェリーのCDを全部見てみたのですが、これまたおっしゃるとおり他のCDには入っていませんでした。未CD化ということですね。
このVarese Sarabande盤CDに、サイズモアが作ったgas1002の両面が収録されています。でも何で同時に出た、あの名曲の別テイクであるgas1101が入らないの!(と思ったら、あれはgasのアルバム(1001)に入っていましたね)
何を入れて何を入れられらないなどの権利関係?あるいは、単なる収録ミス?
興味深いです発見だったと思います。
僕はgas1101の「She's tough」という曲がなぜか結構好きで、この後またサイズモアと吹き込んだ「She's tough / Soul shag」(Heart 1691)という89年のシングルを探すのに苦労したことを覚えています。
また、つまらないことを書きすぎてしまいました。
今日はやや昔の記憶になりつつあるブルースにまたドップリ漬かれて幸せでした。
ありがとうございました。

投稿: むらた まこと | 2007年7月 1日 (日) 21時33分

> 他のCDには入っていませんでした。未CD化ということですね。

あ,そうでしたか.むらたさんがおっしゃるなら,どうやらウソを書いて恥を晒さずに済んだ,と思ってよさそうです.まだ,100%確実に未CD化とも言えないでしょうけど.なかなか復刻CDはチェックしきれなくて,ここに記事を書いたときはCDでは出てない,と思っても何ヶ月か後にCD化に気がついた,なんてことが何度かありました.

> このVarese Sarabande盤CDに...あの名曲の別テイクであるgas1101が入らないの

単純に「どちらでもよい」と考えたのじゃないかと.Rexで出たのはWestsideとかでも出てましたから,別テイクが入った方が無駄が無いですよね.

投稿: BackDoorO | 2007年7月 1日 (日) 22時59分

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