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2007年6月 5日 (火)

シリアスな方がいいよ

ウェストコーストで活動していた歌手兼ハーピストでエイス・ホールダーという人がいた.小粒かもしれないが,歌手としても,粘っこい生ハーモニカを吹く演奏家としてもそれなりの味わいがあった.いまCDで聞けるのはDowney Blues(HMG 5504)に入っている5曲くらいか.LPではBlues Obscurities Vol.2 - Lonsome Harmonicaに5曲,JSPのRockin' This Joint Toniteに4曲,とそこそこ出ていた.

エイス・ホールダーが他人の伴奏をしたレコードはほとんど無いようだが,次のレコードでは彼がハーモニカを吹いている.

Otis Read, Love Is A Serious Thing b/w Come On Baby, Nanc 1118/1119.

Nanc1118 オーティス・リードという人のレコードはThe Blues Discography 1943-1970にはこの1枚しか載っていない.1971年以降にレコードを残したとも聞かないので,エイス・ホールダーなんかよりかなりマイナーな泡沫歌手だと思われる.The Blues Discographyによれば1961年,ロサンゼルスでの録音だそうだ.

価値が高いのはLove Is A Serious Thingだろう.題名通りなシリアスなスロー・ブルース.エイス・ホールダーのハーモニカと,誰とも知れないギタリストが張りつめたイントロを演奏し始め,これに「Lord, have mercy」と加わって来るリードのヴォーカルに,おお,凄い,と一瞬息を飲む.ゴスペルが下地にあるスタイルで,張りの有る声の迫力は相当なもの.ただ,惜しむらくは,この歌い出しのインパクトがどうも持続しない.とりあえず声を張り上げたときの声量は一貫してあるのだが,柔軟性がないというのか,節回しにちょっと魅力がなくて単調になってしまう.どうも,その辺が泡沫歌手ならではというか,一流と差がある部分のようだ.それでもホールダーの好サポートもあり,全体に熱気があって,マイナー歌手の作としては傑作の部類だろう.

Come On Babyの方は割と陽気なアップテンポのブルース.こちらにはエイス・ホールダーのハーモニカは入らず,代わりにサックスが入る.率直に言って,平凡だと思う.どういう訳か,この曲の方はオランダのレーベルでCDになっている(Real Black Rhythm, Still SLCD1156).近頃のこういうリイシューって,スローなブルースよりも調子の良い陽気な曲優先なのだろうか.CDにするなら普通にLove Is A Serious Thingの方だろう,と思うのだが.

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コメント

"ROCKIN' THIS JOINT TONITE" は現在CD化されております(JPSCD-2146)ので、エイス・ホールダーの4曲も聴くことができます。

> 近頃のこういうリイシューって,スローなブルースよりも調子の良い陽気な曲優先なのだろうか.

そうなんです。『STOMPIN'』のシリーズもそうなんですが、この手のリイシューはノリのいい曲(クラブで使える曲?)という観点から編集されることが多いようです。だから、あれっなんでこんな曲が?ってのがよくあります(笑)

投稿: t-42 | 2007年6月 6日 (水) 17時02分

> "ROCKIN' THIS JOINT TONITE" は現在CD化されております(JPSCD-2146)ので、エイス・ホールダーの4曲も...

おお,そうでしたか.どうもCDのリイシューも色々有って把握しきれなくて困ります.ディジタル化されているのは良かったと思います.

> そうなんです。『STOMPIN'』のシリーズもそうなんですが、この手のリイシューはノリのいい曲(クラブで使える曲?)...

Stompin'ね.何でB面ばっかり集めるんだよ,と思っていましたが,世の中の好みによってそういうものの需要が出てきたからなんですね.

投稿: BackDoorO | 2007年6月 6日 (水) 20時33分

 R&Bインディーズは、レーベルリスティングが載った本なのでしょうか。疎くてすみません。
 以前から、NANCレーベルに興味があります。
 私が知っているレコードは下記のとおりです。

 001 Fabulous Little joe
002 Soul Revivers
003 K.C.Mojo Watson
004 Tammy James
005
006 Sam Minor
007 Mojo Watson
008 Iren Rickey
1118/1119 Otis Read
1120 Egyptian Kings

追加情報があれば教えてください。

投稿: 長岡KH | 2011年3月31日 (木) 21時12分

R&B Indiesはお察しの通りレーベル・リスティングの本です.あちこち抜けはあると思いますが,4分冊の,戦後のR&B市場向けレコード(78・45回転の)を出したレーベルを全部網羅しようという,膨大な仕事です.

Nancレーベルについては興味はありますが,ちょっと私のレベルではレア度高過ぎなものが大半のようです.

ということで,持っている訳じゃありませんがR&B Indiesと見比べると,

1121 Joe Valery

がありますね.リトル・ジョー・ブルーのデビュー録音です.

投稿: BackDoorO | 2011年3月31日 (木) 22時30分

 そういえば、リトル・ジョー・ブルーのデビューはNancという記事をどこかで見たことがあるのを思い出しました。新版デスコグラフィーには当たり前のこととして載っているんでしょうね。ありがとういございました。
 エイス・ホールダーについては、Albert Holderとサインが書かれたレコードを持っています。直筆なら良いんですが・・。
 彼のPioneer1004の次にレコードが出ているAlbert and charlesのAlbertは彼のことではないかと妄想したことがありました。
 彼に関しては、ブルースアンリミテッドNo139(1980)に、全身が写った写真付きで、ダリル・ストルパーによるインタビュー記事が載っています。

投稿: | 2011年4月 2日 (土) 21時56分

> Albert Holderとサインが書かれた...

本物の可能性高いのじゃないですか.お宝ですね.

Albert and CharlesはCDリイシューで聞いていますが,心地良い素晴らしい演奏ですね.ご存知だと思いますが,Albert Bedeaux(読み方はベドーですかね)とCharles Bedeauxの兄弟で,2人ともギタリストです.どちらが魅力的なスライド・ギターなのか...

エース・ホールダー,1980年の時点でインタヴューがあったのですか.知りませんでした.情報ありがとうございます.

投稿: BackDoorO | 2011年4月 2日 (土) 23時26分

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