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2007年5月28日 (月)

同姓のハーピストのこと

前回は歌手兼ハーモニカ奏者のベン・ハーパーのレコードのことを書いた.同じハーパーというファミリー・ネームの歌手兼ハーモニカ奏者で,サニー・ハーパー(バディ・ハーパーと言ったりもする)という人もいた.サニー・ハーパーもベン・ハーパーと同じようにウェストコーストでレコードを作っていて,その時期も同じ頃で,ダウンホームな味わいも共通している.この二人のハーパーだが,声の質が全然違うので,別人なのは確かだろう.サニー・ハーパーの方は太く低い声をしていて,それが魅力になっている.

サニー・ハーパーのレコードではGoing Back Home b/w Lonely Stranger (Ball 1011)というのがあって,2曲ともLPではBlues Obscurities Vol.3 - Strechin' Outで復刻されていて,そのLPを通じてこの人の名前を知った.CDではミディアム・テンポのLonely Strangerの方が少なくとも2枚のCD(Midnite Blues Party, Electro-Fi 3372とStompin' 19 - 24 Country Blues Pounders!, Stompin' 319)で復刻されている.スロー・ブルースのGoing Back Homeの方は,何かでCD化されているのかもしれないが,ちょっと分からない.Going Back HomeLonely Strangerと同じくらい良いので,未CD化ならディジタル復刻を望みたいところ.

The Blues Discography 1943-1970のサニー・ハーパーの項にはBall盤の他,次の1枚が記されている.

Harper-Brinson Band featuring Rabon Tarrant and Lady Will Carr, Harper's Express b/w Harper's Return, Specialty 593.

Specialty593 このレコード,1957年,ロサンゼルスで録音されたものだそうだ.実は,入手できたのは本物のSpecialty 593ではなく,販売店のカタログにrepro.と明記されていたものだ.つまり誰かが複製したニセモノということで,コレクター的な意味では価値はないけれど,安く買えて,ちゃんと音を聞けるのだから,これでいいや.

Harper's Expressだが,素朴なトレインピース.ハーパーの生ハーモニカが汽車が加速していく様子や汽笛を模擬するうち,列車のリズムを刻むベース,ドラム,ピアノがこれに加わって,で,その演奏に合わせて威勢の良い声で語りが入る,というもの.Expressだから急行列車で,相当に早いテンポになる.

Harper's Returnの方も大体同じような感じ.ただ,こっちは鈍行列車で,少しゆったりと展開する.

The Blues Discography 1943-1970の記述に基づいてメンバーを書くと次のとおり.

  E.J. "Buddy" Harper, h;
  Lady Will Carr, p;
  Ted Brinson, b;
  Rabon Tarrant, d.

同書ではハーパーはハーモニカと語り,となっているのだが,このレコードの語りの声はハーパーのBall盤のヴォーカルの声とは全然違う.おそらくハーパーとは別人だろう.レーベルにfeaturing...ってことで名前の出ているレイボン・タラントという人じゃないか,などとも思うけれど,分からない.ハーパー(ギターも弾く),ブリンソン,タラントの3人は1940年代後半から1950年代に掛けて結構色々なセッションに参加しているようだ.

1950年代後半でハーモニカのトレイン・ピースのレコードというのは珍しい方だと思うし,ハーモニカ・ブルースの好きな人ならば聞いて損はないだろう.しかし,Ballレーベルの録音で聞けた深みのあるヴォーカルが入っていないのは残念だ.ハーモニカ演奏の方にももっと「凄い」と思うような見せ場が欲しい,というと贅沢だろうかね.

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コメント

50年代後半、しかもスペシャルティにこのようなハープのトレイン物があったなんて少し意外ですね。しかも、ドラマーが40年代からジャック・マクヴィと繋がりのあるレイボン・タラントというのが興味深いです。いいものを教えて頂きました。これは探して聴いてみたいです。

投稿: t-42 | 2007年5月29日 (火) 07時59分

> ドラマーが40年代からジャック・マクヴィと繋がりのある...

へえ,と思って調べたらタラントというのは,ほぼ「マクヴィのドラマー」なんですね.Open The Door, Richard!もB面のLonsome Bluesも歌っていたの彼だったのかあ.今まで気がつかず,ジャック・マクヴィのレコードだから歌っているのもマクヴィ,のように思い込んでいましたよ(汗).ふうん,そういう人脈の人だったのかあ,タラちゃんは.

いや,ためになるコメント,ありがとうございました.

投稿: BackDoorO | 2007年5月29日 (火) 20時49分

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