2017年4月23日 (日)

もっと熱い

前回の盤ではロニー・ブルックスが歌って,ビリー・ザ・キッド・エマーソンが伴奏をしていたけれど,今度は逆にエマーソンが歌ってブルックスが伴奏しているレコード.

Billy (The Kid) Emerson, I Took It So Hard b/w Every Woman I Know, Tarpon 6601.

Tarpon6601 歌手でキーボード奏者のビリー・エマーソンが得意とするのは,R&Bか,そうでなければロックンロール,というところだろうか.1950年代からSun,Vee-Jay,Chessで良い曲をいくつも残していて,優秀な音楽家なのだけれど,あまりブルースらしいブルースはない.

ロニー・ブルックスがギターを弾いているのはEvery Woman I Knowの方.高速なロッキン・ブルースか,それともロックンロールか,という曲だが,息が詰まるような勢いと熱気で,なかなかすばらしい.ロニー・ブルックスはキン,キンとリズムを刻むだけなのだが,演奏の熱さに貢献している.エマーソンの歌とオルガン,ベースにノーラン・ストラック,間奏でソロを吹くテナー・サックスがジョー・エヴァンズ,ドラムにはジェローム・ハリスというメンバーで1964年に録音されている.

エマーソンはEvery Woman I Knowを1955年にVee-Jayに録音していて,このTarpon盤は再録音ということになる.曲のエネルギーみたいなのでは,Tarponの再演の方がVee-Jayのオリジナル版を上回っているのではないか.Vee-Jayの録音はドイツBear Familyのリイシュー盤,Red Hot(Bear Family BCD16937)に入っていて,整った演奏だけれど,Tarpon録音を聞いた後では緩いようにも聞こえる.

I Took It So Hardは,ニューオーリンズっぽさも感じるゆったりしたR&B.The Blues Discography 1943-1970は1960年にMadレーベル向けに行ったセッションで録音されたもの,としている.Bear FamilyのCDの解説書には,Madレーベルで録音したテープの,ヴォーカル部分を再録音してTarponで出したと書かれているから,ヴォーカルだけは1960年より後の録音かもしれない.

Tarponというのはエマーソン自身のレーベルで,デニス・ラサールやマット・マーフィーのレコードも出ている.エマーソンの出生地はフロリダ州ターポン・スプリングズというところだから、レーベル名はその関係だろう。

ビリー・ザ・キッド・エマーソンに関しては,Sun,Vee-Jay,Chess,Madの録音を復刻した33曲入りのBear FamilyのCDが良い情報源になる.

ドイツBear Familyと言えば,同社から先週荷物が届いてねえ.それが,CD44枚組という,えらいものを売り出すものだ.その話もどこかで書くか,書かないか,考え中.

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2017年4月16日 (日)

また有名人が(続き)

亡くなったロニー・ブルックスの盤をもう一つ.

Lonnie Brooks, Figure Head b/w I'm Not Going Home, USA 789.

Usa789 Figure Headの方は,シカゴ・ブルースの25年(P-Vine PCD-2130/2131/2132)などでディジタル・リイシューされているから知られているだろう.1960年代のシカゴ・スタイルのブルースなのだけれど,覚えやすいリフを使い,展開にも変化を付け,R&Bっぽさもある.曲の作者にはビリー・ザ・キッド・エマーソンの名前も見えるけれど,彼のアイディアとブルックス自身のバックグラウンドが組み合わさってユニークな作品になったのだろう.

I'm Not Going Homeもビリー・ザ・キッド・エマーソン作.快活なR&Bで,メロディーもややポップな感じだから,この曲はブルースのコンピレーション・アルバムには入らないだろう.それでも,そう悪い曲ではなく,それなりに楽しく聞ける.

The Blues Discography 1943-1970によると1964年の録音で,キング・エドワードとノーラン・ストラックの兄弟がギターとベース,曲を作ったビリー・エマーソンがオルガン,ジェローム・プライスがドラム,となっている.ううむ,それでは,I'm Not Going Homeで入るサックスは誰なのだろう.

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2017年4月 9日 (日)

また有名人が

ジェイムズ・コットン,チャック・ベリーときて,誰かが死ぬと書く,という方針ではないのだけれど.

Lonnie Brooks, Demonstrating b/w One Sunny Day, Chirrup 501.

Chirrup501 歌手でギタリストのロニー・ブルックスが4月1日,83歳で亡くなったそうだ.1950年代にはルイジアナでギター・ジュニアの名前で活躍し,Family RulesやThe Crawlといった作品を残し,1959年にシカゴに移住する.1960年代にシングル盤を何枚か出した後,1969年にCapitol,1970年代以降はBlack & Blue, Second City,Alligatorとアルバムを出しつづけ,シカゴ・ブルースマンとしては有名人という印象だった.ルイジアナのルーツも見せれば,ファンキーな面もあって,Alligatorの作品も充実していた.

さて,このChirrup盤,まずThe Blues Discograpy 1943-1970の訂正から始める必要がある.同書はこのChirrup 501をChess 2028と同じものとしていて,DemonstratingをChess盤のLet It All Hang Outであるとしている.しかし,これは誤りで,DemonstratingはLet It All Hang Outとは全く違う曲だ.一方,One Sunny Dayの方はChirrupとChessで同じ録音を使っている.ということで,次のように記されるべきであろう.

0011      Demonstrating       Chirrup 501
0012/16311 One Sunny Day       Chirrup 501, Chess 2028
16322     Let It All Hang Out     Chess 2028

Demonstratingはなかなかの傑作だろう.ブルースが下地にあるジャンプ・ソウル・ナンバーという曲だが,かなり恰好よい.豪快な声や歌いっぷり,短いがギター・ソロもあって,すべて良いと思う.

One Sunny Dayの方はスロー・ブルース.決定的なものはないかもしれないが,真摯に歌われていて,引き込まれる.この作品がThe Real Chicago Blues Today - 60's Style, Chess PLP-6083のLPでリイシューされたのはもう30年近く前のことだ.

1967年録音で,ジョー・エヴァンスのテナー・サックス,デトロイト・ジュニアのピアノ/オルガン,ピート・ランドルフのベース,ハロルド・タイドウェルのドラム,というメンバー.Chirrupではもう1枚,522という番号でソウル風のレコードも出ている.
Chess2028

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2017年3月26日 (日)

ロックンロールの大御所ができるまで

チャック・ベリーの死は日本国でもそれなりに報道された.アイディア豊富で,キャッチーな,誰もが親しめる歌を作る彼の才能は抜群だった.MaybelleneSchool DayNo Money DownJohnny B. Goode,いろいろ良い曲があった.

亡くなったのでチャック・ベリーのシングル盤を,と思ったけれど,1973年のこれしか持ってない.意外と良いと思っているんだけど.

Chuck Berry, Bio b/w Roll 'Em Pete, Chess 2140.

Chess2140 チャック・ベリー(自伝),中江昌彦訳,音楽の友社,を読めば色々なブルース歌手の名前が出てきて,古い人気ブルース歌手が彼の音楽の土台になっていることが分かる.エルモア・ジェイムズを見たときのことなんかも自伝に書かれていて(p.133),ベリーとしてもエルモアは印象に残るブルース歌手だったようだ.まあエルモアを直に見たとあっては当然か.Bioは,そのエルモア・ジェイムズ風のブルース曲.曲名の通り,セントルイスにいた頃から始まって,マディ・ウォーターズとの出会いとか,自らのバイオグラフィーを歌い上げる.当然,エルモアみたいな凄みはないけれど,ちゃんと真剣に歌われたブルースだと思う.努力の末国際的なスターとなった感慨なども感じられるのではないか.

自伝にはビッグ・ジョー・ターナーを1943年に見たときのことも書かれている(p.338).Roll 'Em Peteはそのビッグ・ジョー・ターナーがピート・ジョンソンとのコンビで1938年に録音した曲.これが,歌の文句はターナーと同じだけれど,オリジナルとはがらっと変わって,見事にチャック・ベリー調のロックンロールに仕上がっている.痛快な解釈というか,このスタイルなら外さない.

Roll 'Em Peteも,ベリー自身のスタイルのオリジンを語る,バイオグラフィーみたいなものかもしれない.ターナーとジョンソンがその圧倒的な声量とブギウギ・ピアノで表したものを,ベリーが自分でできるやり方でやってみたら,ひとりでにチャック・ベリー調ロックンロールになった,ということじゃないか,などと思う.あるいはベリー自身は,オリジナル通りのつもりなのかも,などとも考える.ピート・ジョンソンとチャック・ベリーは紙一重じゃないかとか.こういうのは妄想なのだろうけれど.

昔,シングル盤のことなど何も分からなかった頃,横浜のレコード屋で米国輸入の中古シングル盤が大量に安く売られていたことがあった.このChess盤,その中から拾ってきた.もう三十何年か前のことだったろう.なかなか懐かしい.

Chuckberrynews02

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2017年3月19日 (日)

ハーモニカ一代

3月16日,ハーモニカ奏者で歌手のジェイムズ・コットンが亡くなったそうだ.81歳だった.故人を偲ぼう,と思ったが,彼のシングル盤で持っている2枚(これこれ)のことは既に書いてしまった.代わりに何かコットンが伴奏者として活躍している盤を,ということで.

Muddy Waters, Take The Bitter With The Sweet b/w She's Into Something, Chess 1733.

Chess1733 スロー・ブルースのTake The Bitter With The Sweetだが,この重量感は,さすがにマディ・ウォーターズのChess録音らしいレベルの高いもの.ばしっ,ばしっと杭を打ち込むようなフランシス・クレイのドラムも印象的だし,どのパートも良いのだが,ジェイムズ・コットンのハーモニカ,パット・ヘアのギターが音楽に与える緊迫感は相当なもの.それらをバックにマディが吠える.以前は,この1950年代後半のマディの歌い方を大仰なように思ったこともあったけれど,今では,これはこれで良いのじゃないか,と思っている.

Take The Bitter With The Sweetの作者はセントルイス・ジミーことジェイムズ・オーデンとなっている.セントルイス・ジミー自身は,どうやら録音していないようだ.

She's Into Somethingはラテンっぽいリズムを使った曲.重いスロー・ブルースの裏面にはこういうのが必要だろう.間奏ではジェイムズ・コットンの元気なソロを聞ける.

2曲とも1959年6月の録音.ジェイムズ・コットンはこのとき23歳,あと一月で24歳という若さだった.

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2017年3月12日 (日)

ディドリーとダドリー

シカゴのブルースマン,オスカー・コールマンはなぜボー・ダッドとかダドリーとか名乗ったのか.簡単なことだった.

Bo Dudley, Shotgun Rider b/w Coast To Coast, F-M 745.

Fm745 手元にボー・ダドリー名義のCD,Oscar Boogie 2,というのがあるのだけれど,それには「ボー・ダドリーの名前は,またいとこから取った」なんて書いてある.それは,ご冗談でしょう,コールマンさん.

本当の由来は,自己名義の最初のレコードであるこの盤で,Shotgun Riderをやったからに違いない.これが,どんな曲かというと,ボー・ディドリーのBo Diddleyみたいなもの.何だ,そうだったのか.芸名はボー・ディドリーみたいなのをやるから,それをもじってボー・ダドリーだよ,きっと.

果たして,そそっかしい人がこれを本物のボー・ディドリーと間違えたかというと,そこまでは似てない.本物は,かなり独特だし.しかし,ダドリーのShotgun Rider,本物にはない特典があって,それはフレディ・ルーレットの弾くスティール・ギター.これはさすがに格好良い.

Coast To Coastはダドリーが語りを聞かせる,スロー・ブルース.こちらもフレディ・ルーレットのスティール・ギターの音色は冴えている.

The Blues Discography 1943-1970によると,1968年1月の録音で,メンバーはコールマンのヴォーカルとギター,ルーレットのスティール・ギター,ビッグ・ムース・ウォーカーのピアノ,マック・トンプソンのベース,不明のドラムとなっている.

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2017年3月 5日 (日)

未CD化?未発表曲?いやいや

ジョ・ジョ・ウィリアムズのAtomic-Hレーベルの録音は,Chicago Ain't Nothin' But A Blues Band, P-Vine PCD-5560/Delmark DE624でCD化されている.ところが,我が家にある次のシングル盤,両面とも曲名がそのCDには含まれていない.ひょっとして未CD化?と思ったが...

Jo Jo Williams, Afro Shake Dance b/w You Got Be Loved, Atomic-H 917.

Atomich917 Afro Shake Danceはアフロかどうか分からないが,ボ・ディドリーみたいなジャングル・ビートを持ったインストゥルメンタル.ハーモニカはちょっと良い感じ.この曲,実はChicago Ain't Nothin' But A Blues BandのCDに入っているDavy Crockett's Jingle Bellsというのと同じ曲で,同じ録音だ.日本盤CDの解説書には未発表と書かれているけれど,実はこうやってシングル盤でCDより先に出ている.またThe Blues Discography 1943-1970では別の曲のように記述しているが,それは誤りだ.

You Got Be Lovedの方はアップテンポのブルースで,ウィリアムズの渋い歌が聞ける.こちらもChicago Ain't Nothin' But A Blues BandのCDに入っているYou Can't Live In This Big World By Yourselfと同じものだ.CDで初めて出たものではないし,これに関してもThe Blues Discography 1943-1970の記述は正しくない.

1959年の録音で,ハーモニカにP.T.ヘイズ,アルトサックスにトミー・リーダー,ギターにリトル・スモーキー・スマザーズとロバート・ホワイトヘッド,ベースがエリヤ・ジョーンズ,ドラムがリチャード・フィッシャー,というメンバー.P.T.ヘイズなんて珍しい人だと思う.他にはChanceのビッグ・ボーイ・スパイアーズやジョニー・ウィリアムズの録音で名前を見たくらいだ.

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2017年2月26日 (日)

アラバマに還って

昨年もいろいろな人の訃報があったけれど,バーミングハム・ジョージことジョージ・コナーなんて人も亡くなっていた.1934年5月にアラバマ州アリスヴィルというところで生まれていて,長い間シカゴで活動していた歌手/ギタリストだ.1985年にアリスヴィルに戻り,昨年12月に同地で亡くなったそうだ.

George Corner & His Band, Morning Love Blues b/w Too Hot To Hold, Atomic H 918.

Atomich918 レーベルにはCornerと記されているが,Connerが正しい.

Morning Love BluesはCD,Chicago Ain't Nothin' But A Blues Band(Delmark DE624/P-Vine PCD-5560)に入っていた.どろどろしたスロー・ブルースで,コナーは歌でもギターでも不器用そうで,上手いとは思わない.しかし,絞り出すような歌い口にも,バンドの緊迫感にも,ずっしりと,聴き応えはある.

Too Hot To Holdはインストゥルメンタルで,コナーの素朴なギターは,良く言えばヘタウマの味か.それより,誰だか分からないサックスが頑張っている.この曲はCDには入らなかったが,まあ仕方ないか.

1962年の録音で,テナーサックス,ピアノ,ベース,ドラム,の伴奏陣だが,奏者は分からない.ジョージ・コナーは1965年にはオーティス・ラッシュらをバックにMarsiに録音し(ファンキー/ソウル風らしい),その後1999年,2004年にCDを制作したそうだ.実力が特に優れてはいないコナーだけれど,Morning Love Bluesは印象に残っていて,訃報に接すれば寂しく思う..

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2017年2月19日 (日)

イースト・セントルイス・ディープ・ブルース

ミズーリ州セントルイスの東側,ミシシッピ川の対岸にイリノイ州イースト・セントルイスの街は広がっている.第二次大戦後のイースト・セントルイスで,長い間強力なブルースを聞かせていたと思われる人にドク・テリーがいた.

Doc Terry, Things Can't Stay The Same b/w Dr. Boogie, D.T.P. 74-589.

Dtp74589 歌手でハーモニカ奏者のドク・テリー,1921年ミシシッピ州サンフラワー生まれということだが,いかにもミシシッピ由来,というディープなブルースを伝えていた.

この人の歌を最初に聞いたのはChicago Jump (JSP LP1004)というLPでのことで,そのLPには,上のシングル盤の2曲の他,もう1曲が収められていた.D.T.P.というのはドク・テリー自身のレーベルということで,Doc Terry Productionとか,そういう意味じゃないかと思う.The Blues Discography 1971-2000によると1971年の録音で,このとき4曲が録音され,シングル盤2枚が出ているそうだ.

Things Can't Stay The Sameはスロー・ブルース.ドク・テリーは太く,ずっしりした声で,そのヴォーカルには本物らしい手応えがある.アンプリファイされたハーモニカも歌同様に重量感がある.歌,ハーモニカの素晴らしさに比べれば,伴奏の方はローカル臭くて物足りない.スライド・ギターをエイモス・スタンフォードという人が弾いていて,彼はロバート・ナイトホウクにその奏法を教わった,ということなのだが,あまり好きではないなあ.緩急なくずーっとぎゃんぎゃん弾いているように聞こえるのだが,どうだろうねえ.その辺はマイナス面としても,全体としては1950年代風の優れたダウンホーム・ブルースではある.

Dr. Boogieの方はリトル・ウォルターみたいな,ハーモニカによるインストゥルメンタル.このハーモニカの切れ味はかなりのもの.

ドク・テリーの歌,ハーモニカ,スタンフォードのスライド・ギターの他,フレッド・グラントのギター,ジョニー・ロングのベース,ドク・テリー・ジュニアのドラム,というメンバー.録音が少なくて忘れさられそうだけれど,ドク・テリー,良いと思う.

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2017年2月12日 (日)

あの歌と面構え

前回のアーネスト・レインはアイク・ターナーのアルバムに参加しているようなのだが,もう1人,アイク・ターナーと接点があった人を.

Johnny Wright, Shut Up b/w Move, Hi-Way 004.

Hiway004 ジョニー・ライトはセントルイスで活動した歌手でギタリスト.このレコードは1986年頃のものだけれど,彼は1950年代から1960年代にかけて,少し録音がある.初録音は1953年に行っていて,なぜかデトロイトで,ジョー・フォン・バトルのスタジオで行っている.これはDeLuxeレーベルから発売された.そのとき録音されたI Was In St. Louis等の作品はBattle Of Hasting Street, Ace(UK) CDCHD 1121というCDで聞けるけれど,ストップ・タイムを使った同じような曲が多い.CDの解説書はメンフィス・スリムのCome Backやウィリー・メイボンのYou're A Foolとの関連を論じていて,そういう議論は面白いけれど,ライトの歌には少々未熟さというか,頼りなさが感じられた.

ジョニー・ライトの名前を忘れられないものにしているのは,1955年,アイク・ターナーのギターをバックに,RPMレーベルに録音した作品だ.ギター・スリムっぽいThe World Is Yoursと,Hoochie Coochie ManっぽいSaffocateの2曲だが,これがちょっと凄い.重量感ある声で猛然と歌い,それに加えてアイク・ターナーのギターも格好良い.この録音はIke Turner & The Kings Of Rhythm, Rocks The Blues, P-Vine PCD-3012/3などのCDで聞ける.

傑作The World Is Yoursから30年が経って発表されたこのHi-Way盤,白黒コピーのスリーヴがついていて,ジョニー・ライトの顔を拝めるようになっている.なるほど,あの声,歌い方に似つかわしい,いかめしい顔つきだ.

音楽の方について言うと,Shut Upはミディアム・テンポのシャッフルで,ハーモニカなども入って少しシカゴ風.Moveはもう少し速いブルースで,サックス,オルガンを使ってややモダン.ライトは1929年生まれということで,これを録音したとき50代,老け込む年齢ではなく,元気で,やはり深い,良い声をしている.ただどちらも軽い曲,という感じで,悪くもないが何かが不足しているような気はする.それでも,The World Is Yoursの,あの人が,その30年後にも元気に歌っていたことを確認できるだけで,このレコードの意味がある.

Hi-Wayではもう1枚,Coal Shed b/w Johnny's Bad Air Boogie (H-0001)というのがあるそうだ.これら以外にも何かレコードがあるのかもしれない.
Johnny_wright_trimed

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