2009年12月19日 (土)

シャウターとささやき

昔々,若いブルース・ファンだった頃,パイニー・ブラウンというシャウターにはまった.はまった,といっても聞いたのは1曲だけ,King系のコンピレーションLPに入っていたWhispering Bluesという歌だった.これが良くて,1953年録音のジャンプ・ブルースなのだけど,ごわごわした迫力ある声で,味のある節回しでゆったりと歌う.昔は,「こんな野太い声でささやき(Whispering)のブルースはないよな」と思っていたが,これは歌っている人がささやくという意味ではなく,「他人が自分の悪口をひそひそ言うのはうざくって仕方ない」という内容なので,別におかしくはない.その,他人の悪口の部分を表す女の語りが終始絡む,というノベルティはちょっと変てこだけれど,面白い効果がある.

それで,この人の録音は他に聞けないか,と思ったけれど,その頃はあまりパイニー・ブラウンなんてリイシューも新録もなかったと思う.シングル盤でNashville Wimmin b/w One Of These Days (Sound Stage 7 2657)を聞けたけれど,これが,まあ同じ声の同じ人ではあるんだけれど,60年代終りのソウルのスタイルで無理矢理仕上げて,どうも歌いにくそうで,好きになれなかった.最近になってこれがローカル・ヒット,と知って意外に思ったりしたが,Sound Stage 7盤を聞いて以来,パイニー・ブラウンという人に興味を失いがちになってしまった.

Piney Brown, Ain't It A Shame b/w Two Lips In The Dark, D-JKN 8813.

Djkn8813 それから,年月は流れ(二十ン年?),今,パイニー・ブラウンの聞けるCDというのが我が家には2枚ある.1つはDelmarkのAppolloレーベル・シリーズの1枚で1948年の録音が8曲入っている(Delmark DE-754).もう1つは2006年に出たOne Of These Daysというタイトルの単独アルバム(Bonedog BDRCD-20).1948年と2006年とは間が空き過ぎだが,どちらが良いかと言うと,どちらも物足りない.1948年の方は,スムースだけど,小粒なシャウター,ときどきワイノニー・ハリス似という感じ.2006年のは,思ったより良いが,トシが80過ぎだし(彼は1922年生まれ),そんなに期待するのは無理.

彼のシングル盤は,あまり持っていない.今回のD-JKN盤以外にSound Stage 7盤を2枚とNew World盤というのをこれまでに入手できた.SS7のは前述のとおりソウルか,そうでなければロック,1980年代のNew World盤はディスコっぽく聞こえる.流行りを採り入れるのは悪くはないけど,この辺りの作品は1922年生まれのシャウターには無理があるんじゃないの.SS7のOne Of These DaysやNew World盤の両面は2006年のCDで再演しているが,その再演版の方がブルース寄りに仕立て直されて良いと思う.

ということで,D-JKN盤は自分の入手したブラウンのシングル盤では一番良かった.多分1980年代のもので,ブラウンは還暦過ぎだと思う.Ain't It A Shameは,ロイ・ブラウンの同名曲ともロイド・プライスの曲とも違う,パイニー・ブラウンが自身で作った曲.ミディアム・テンポのブルースで,ギター2本,ピアノ,ベース,ドラム,という編成の伴奏が付く.それで,パイニー・ブラウンだが,歳はとっても,声の迫力は失っておらず,強引に声を張り上げる歌いっぷりに爽快感がある.Whispering Bluesほどじゃなくても,二番目くらいに好きかも.2006年のCDでも再演している.

Two Lips In The Darkの方は,かなり本気でスウィートなソウル・バラッドをやっている.彼の武骨でしなやかさ皆無の節回しじゃ全然無理なマテリアルだと思うけどね.それでもこの人が声を張り上げると何やら破壊力がある.

レーベルの住所はオハイオ州デイトンとなっている.Distributed by Jewel Recordなんてなっているが,このJewelはシュリーヴポートのアレではなく,オハイオ州シンシナティにあった別の会社.

パイニー・ブラウンというシャウター,ピークのときの力は相当なものではなかったか,と思う.しかし,なんかまだ「こんなものじゃないだろう」というもやもや感がある.もっと古い,1950年代にあちこちのレーベルに録音したものはWhispering Blues以外未聴なのだけど,これらを聞かないと本領は判然としないかもしれない.

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2009年12月13日 (日)

南部の方で?(続き)

ジェシー・アンド・バズィーのジェシー・パーキンスは,1959年12月にもSavoyレーベルでセッションを行って,もう1枚レコードを出している.

Jesse Perkins And The Bad Boys, Madly In Love b/w One More Kiss, Savoy 1584.

Savoy1584 これが,ジェシー・アンド・バズィー名義のものとはだいぶ感じが違う.こちらはベース,ピアノが入って,ずっとにぎやかで,前作のカントリー・ブルースまがいからR&B風になっている.

Madly In Loveという曲は,ニューオーリンズ風のR&Bバラッド.スマイリー・ルイスとか,そういう人達がやるような曲で,それで,間奏ではジェシー・パーキンス自身による(たぶん)ひなびたハーモニカ・ソロが入る.楽曲もハーモニカもそれなりに良いと思う.

One More Kissの方は,軽快,ポップで楽しげなR&Bロッカー,と思っていると素朴だけれどリズムがよく切れるハーモニカ・ソロが入る,というもの.

どちらの曲も作者はPerkins-Lubinskyとなっていることと,同じセッションの未発表曲にJ & B Rockなんて曲名があってJ & Bとはジェシー・アンド・バズィーのイニシャルと推測されることから,このセッションにもバズィー・ルビンスキーは参加しているのは確かだろう.このとき録音は8曲行っていて,売れそうな2曲を選んでレコードにしたと思うのだが,6曲の未発表曲ではどんなことをやっているのだろうか.大物とは言えない人達だけれど,未発表曲も,はっきりしない正体も,ちょっと知りたくなる.

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2009年12月 6日 (日)

南部の方で?

ジェシー・アンド・バズィー,というアーティストなのだが,どういう人達なのかよく知らない.必死に探せば何かの記事とかあるかもしれないけれど,あまり名前を見た記憶がない.

Jesse And Buzzy, Goin' Back To Orleans b/w Without Your Love, Savoy 1556.

Savoy1556 ジェシーというのはジェシー・パーキンスといって歌手でハーピスト,バズィーというのはバズィー・ルビンスキーといってギタリスト,というのは分かっている.The Blues Discography 1943-1970は1958年10月の録音として,録音地はニュージャージー州ニューアーク?,としている.はてなマーク付きだが,本当はどうなんだろう.

このレコードで聞ける彼らの音楽は,生ハーモニカ,ギター,ドラムという素朴な編成で,どちらかと言えばカントリー・ブルースっぽい.ただ,ギターはエレキだし,単純にカントリー・ブルースとも呼びにくい.

Goin' Back To Orleansはアップテンポのブルースで,ジェシー・パーキンスの歌は特に凄いとは思わないが,ハーモニカのノリの良さ,切れ味はなかなかのものだ.このハーモニカがどこの地方のスタイルなのか,南部っぽいな,というくらいで実はどうもよく分からない.曲名のOrleansがニューオーリンズなのか,もっと別の地名なのかも分からない.

一方,Without Your Loveというのはダウンホームなスロー・ブルースで,雰囲気は悪くないが,ややドサクサな感じ.バズィー・ルビンスキーのギターが,あまりに素朴過ぎ,というか上手くないのが難点だ.

一流とは言えないアーティストなので,話題にならないのは仕方ないが,ちょっと拾い物だと思っている.

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2009年11月28日 (土)

ニューオーリンズは懐メロ再生工場(完)

これは本に書いてあったことだけれど,ニューオーリンズ出身のソウル歌手ジーン・ナイトのMr. Big Stuffと言えばR&B全国チャート第1位になった曲だが(ビルボードでは5週間1位),その出身地のチャートでは意外にも2位どまりに終ったそうだ.その理由がニューオーリンズのチャートではスキップ・イースタリングのI'm Your Hoochie Coochie Manがその上に居座っていたから,って言うのだが,信じられん.そのヒットの後は黒人向けクラブに良く出ていたという青い目のスキップ・イースタリング,もう一つ1950年代シカゴ・ブルースの有名作をとり上げている.

Skip Easterling, I Don't Know b/w If I Ever Get Back, Instant 3312.

Instant3312 I Don't Knowウィリー・メイボンが1952年にヒットさせてスタンダードになった,あの曲.一応ウィリー・メイボン作とされる曲だが,クリプル・クラレンス・ロフトンがStrut That Thing(1935年録音)やその再演版のI Don't Know(1939年録音)で同じ歌詞を使っていて,ロフトンの作というのが正確だろう.ロフトンはロイヤルティーを貰い損ねたそうだけれど.そんな曲の歴史にはおかまいなく,またしてもスキップ・イースタリングは原曲とは全然別のものを作り上げている.これは,どういうスタイルとも表現しにくいが,歌い方は一応ソウル歌手の手法,という感じ.伴奏もふくめた全体の音には何となく,てれん,としたユルい雰囲気が感じられる.アレンジは,Hoochie Coochie Manとは違って,比較的ブルースらしさが残るものになっている.そのせいもあって,斬新さには欠けるけれど,それでも十分個性的だ.

サックス・カリという人は,随分長い間,色々な土地でレコードを出していたが,1960年代から1970年代にかけてはニューオーリンズで活動していた.If I Ever Get Backはそのサックス・カリが作った曲.彼は1963年にこの曲を録音したが,発売されなかったようだ.どんな曲かというと,ブルースの感覚がうっすら残る哀愁あるR&Bバラッド曲.イースタリングの歌はR&B歌手の平均から言えば明らかに非力だが,曲の良さで聞ける.

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2009年11月21日 (土)

ニューオーリンズは懐メロ再生工場(続き)

これを「ブルース」のレコードと呼ぶのは無理があるようだけれど,面白いので.

Skip Easterling, I'm Your Hoochie Coochie Man b/w Ooh Poo Pah Do, Instant 3309.

Instant3309 ジェイムズ・“スキップ”・イースタリングという人は,白人ソウル歌手でピアニストだそうだが,1960年代からニューオーリンズのいくつかのレーベルでレコードを出している.20年位前にCharlyがリイシューLPを出していたようだ.このレコードは1971年のもので,ヒューイ・スミスがプロデュースしている(参考:Jeff Hannusch, I Hear You Knockin', Swallow Publications).

I'm Your Hoochie Coochie Manは,1954年にマディ・ウォーターズが録音してヒットさせた,ウィリー・ディクソン作のあの歌で間違いない,と言ってよいのかどうなんだか.キャッチーといえばキャッチーな変則的なリズムのリフが延々と反復される中,スキップ・イースタリングは原曲とはあまり関係ないメロディーでHoochie Coochie Manの歌詞を歌っていく.これに合の手として絡んで来るのが,何故かフルートで,さらに無駄にかっこいいホーン・セクションが付く.歌詞以外にはほとんど原曲との関連がなく,どうやらブルースらしく聞こえるのも歌詞だけ,という曲の改造ぶりがすごい.ゲテモノには違いなく,1954年から2009年までのHoochie Coochie Manのカバー・バージョンをすべて集めてコンテストでもやれば,ゲテモノ部門で上位入賞するだろう.それでも,「これはアリ」だと思う.聞いていて心地よさがあって,繰り返し聞きたくなる.ゲテモノながらあっぱれな解釈だと思っている.ニューオーリンズではすごいヒットになった,って本当かね.

引っくり返すとジェシー・ヒルの1960年のヒット曲Ooh Poo Pah Doo.こちらは,Hoochie Coochie Manとは違って,オリジナルに近い作りになっている.イースタリングの歌い口が割とソフトなので,迫力不足に聞こえないこともないが,そういう持ち味でもあるのだろう.こっちも原曲を大改造しちゃえば売れたかもしれないのに.

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2009年11月15日 (日)

ニューオーリンズは懐メロ再生工場

前回のDrifting Bluesは,古い,1940年代に録音された歌を30年くらい経ってから焼き直したものだったが,同じ様に古い歌の再録音,ということで.

Rose Davis, Sittin' And Drinking b/w Yes I've Been Crying, Excello 2335.

Excello2335 ニューオーリンズのR&B歌手トミー・リジリーは,1973年からプロデューサー業に転身し,その初期の制作作品がこのローズ・デイヴィスのものだという(John Broven, Rythm & Blues in New Orleans, Pelican).The Blues Discography 1943-1970は1968年録音としているが,おそらく間違いで,1973年頃の録音と思われる.

Sittin' And Drinkingは,ナッシュヴィルの女性歌手クリスティン・キトレルがSittin' Here Drinkingの題名で1952年にTennesseeに録音した,あの曲.キトレルは1961年にSittin' And Drinkingの題名でVee Jayに再録音していて,ローズ・デイヴィスはそちらをお手本にしているのかもしれない.デイヴィスのこのバージョンは,語りも含めて原曲に忠実に再演しているが,ソウル世代らしいところがちらっと感じられもする.伴奏はさすがに1970年代のソウル・ブルースらしいアレンジになっているが,楽曲によく合っている.ナイス・ブルースと言って良いと思う.ニューオーリンズではローカル・ヒットしたそうだ.

Yes I've Been Cryingの作者はデドリック・マローンとなっている.それじゃあDukeで出ていたんだろうな,と思って探してみると,ミス・ラヴェル,つまりラヴェル・ホワイトがこの題名の曲をDuke 307という番号で出していた.ラヴェル・ホワイトのオリジナルは聞いたことがないけれど,このローズ・デイヴィスのものとは相当に違うんじゃないかな.こっちはいかにもニューオーリンズ,という感じで作られている.セカンド・ラインというのか,変則リズムの部分と,ルイジアナ風甘口バラッドみたいな部分が交互に出てくるという構成で,それがちょっと目まぐるしく感じられるのが難点だ.

このExcello盤は,もともとPlayというレーベルで出たものの再発のようだ.ローズ・デイヴィスはExcelloでもう1枚シングル盤を出していて(Excello 2337),そのレコード,Kiss Tomorrow Goodbyeというのはかなり良いソウル・バラッドだと思う.

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2009年11月 8日 (日)

天才二世あらわる

セネター・ジョーンズ制作のニュー・オーリンズ・ブルースでは,こんなのも良いと思う.

Bobby Powell, When You Move You Lose b/w Drifting Blues, Hep' Me 176.

Hepme176 両面ともCDで簡単に聞けるので,アナログのシングル盤を引っ張りださなくてもよいのだけど,まあ安かったし,お買い得な方だ.

ボビー・パウエルは,盲目で,ピアノも上手い,歌も上手い,プラス天才然とした雰囲気,ということで,どうもレイ・チャールズっぽく見える.別にレイ・チャールズの亜流ということもなく,声も歌い方も全然違い,独自の個性はある.と,言いたいところだが,Hep' Meではレイ・チャールズの有名曲をいくつかカバーしたりしていて,それじゃ「物真似ではない」というフォローをしにくいよ.

レイ・チャールズっぽいとなれば,ブルースのレパートリーも当然ある.なにしろ彼の代表的なヒット曲のC.C. Riderはゴスペル・ブルースの傑作だ.あれは素晴らしいと思う.まあ,レパートリーの平均値はそんなにブルースじゃないだろうけど.

このHep' Meシングル盤,1980年前後のものだが,ブルース成分は濃い.Drifting Bluesはもちろん,何度もカバーされたジョニー・ムーアズ・スリー・ブレイザーズのピアニスト,チャールズ・ブラウンの大有名曲.このパウエルのバージョン,オリジナルのメランコリックなクラブ・ブルースの面影はなく,熱いゴスペル・ブルースに仕立て直されている.これはこれでかなり聞き物だが,別にDrifting Bluesの歌詞を使わなくてもよさそうな気がしないでもない.

When You Move You Loseの方はスローのソウル・バラッドだが,非常にブルージーな曲だ.ブルース形式ではないけれど,伴奏なんか,ほとんどブルースと言えそうな感じ.聞きごたえのある曲だと思う.

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2009年10月31日 (土)

スパイダーマンあらわる

セネター・ジョーンズの持っていたレーベルの中では,Hep' MeというのがLPも含めて多くのレコードをリリースしていた.ブルースもそれなりにあって,ウォルター・ウルフマン・ワシントンとか,ボビー・パウエルのゴスペル・ブルースなどが出ていた.

Willie Garland, New Orleans Blues In B Flat b/w I'm Goin' Back Home, Hep' Me VMNP-7242/7243.

Hepme7242 ウィリー・ガーランドという人は,1960年代にKentから出したシングル盤で知られている,いや知られてもいないだろうが,シンガー/ハーピストだ.Kent盤は1967年録音だけど,それにしては古すぎるスタイルで,それがちょっと良いのだけれどね.そのKent録音の3曲はP-VineでCD化されている(West Coast Modern Blues 1960's, PCD-3060).初録音は1955年で,ガーランド・ザ・グレートという,ちょっとプロレスちっくな名前で出たものだった.そのうちの1曲Hello Miss Simmsというのは,以前買ったStompin'レーベルのLPに入っていて,これが彼のハーモニカをフィーチャーした活きの良いインストゥルメンタルで,意外と格好よかった.同セッションのものが,UK AceのCD,Spark Records Story (CDCHD801)にも2曲入っているようだ.

今回のタイトルは相当に無理をしていて説明しないと訳が分からない.Kentで蜘蛛の歌(Black Widow Spider)を歌っていた人が意外なところから出てきた,と言いたくてこんなタイトルにした.Kent盤もガーランド・ザ・グレート名義のSpark盤もロサンゼルス録音,ということなので,ニューオーリンズのセネター・ジョーンズのとこからレコードが出れば神出鬼没感がある.なんかの都合で西海岸からニューオーリンズに引っ越したのかね.

それで,このレコードは1980年前後に出たものかと思う.出来の方は,どうもねえ,残念なことになった感じだ.I'm Goin' Back Homeという曲は,ミディアム・テンポの歌入りブルース.ウィリー・ガーランドのハーモニカにも歌にもすっとぼけたような,ひなびた味があるんだけれど,伴奏がモダン過ぎてどうにも合っていない.とても歌手の個性を考えてアレンジしたようには聞こえない.まさか,何か他の歌手用に作った伴奏トラックを適当にあてがったんじゃないだろうね.

一方,New Orleans Blues In B Flatの方は,アップテンポのインストゥルメンタルのブルースで,ガーランドがハーモニカのソロを聞かせるというもの.これも同じ様な印象で,バックとガーランドの反りが合わない.このホーンとか,全然無理っ,ていう感じだよなあ.

という訳で,文句は言いたいけれど,ウィリー・ガーランド自身はマイペースで音楽していて,Kent録音と変わらぬ個性を確認できる.

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2009年10月24日 (土)

歌いきった苦しい時代

1970年代の,南部産ブルースをもう一つ.

Eddie Lang, Mean Sad World b/w Bringing Back Those Old Days, Super Dome 505.

Superdome505 ニュー・オーリンズのブルースマン,エディー・ラングのレコードでは,このブログの最初の方でFood Stamp Bluesのことを書いた.そのときにはこのレコードを持っていなかったのだけれど,その後しばらくして入手できた.1970年代半ばに出たものだろう.

それで,Mean Sad Worldだけれども,このぐらい力のこもったスロー・ブルースを歌ってくれると良いねえ.Food Stamp Bluesよりずっとテンポを落とし,張りつめた雰囲気の中で,力強い声質を張り上げて歌っていて,大変な力作になっている.歌の内容は,Food Stamp Bluesの続編みたいな,生活の苦しさをぶちまけるもののよう.

Bringing Back Those Old Daysの方は分類すればミディアム・テンポのソウル・ナンバーだろうけど,これは楽曲,アレンジとも完成途上な感じ.ラングの声は良いと思うのだけれど.

プロデューサーは,ニューオーリンズでいくつかのレーベルを持って,多くのレコードをプロデュースし,自身もかなりレコードを出しているセネター・ジョーンズで,レーベルのSuper Domeも彼のレーベルだ.セネター・ジョーンズがプロデュースしたレコードにはいくつかブルースもあって,以前にとり上げたレコードではギター・レイ・ワシントンのものがそうだった.

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2009年10月17日 (土)

ひと休みの時代

前回はカルヴィン・リーヴィだったが,リーヴィと同じようにラリー・デイヴィスもアーカンソー州リトルロックに居た.デイヴィスは1980年代以降,P-Vineのライヴ盤,RoosterのFunny Stuff,PulsarのI Ain't Begging Nobody,BullseyeのSooner Or Later,と次々にLPを出して,比較的メジャーになったほうだと思う.これらのアルバムではスロー・ブルースの力作を多く収めたPulsar盤(EvidenceでCD化)なんかは良かった.その前,1970年代のデイヴィスは,レコードが少なく,停滞気味みたいな感じがある.

Larry Davis, Find-Em Fool-Em & Forget-Em b/w Same Thing, They Did To Me, Hub-City 629-73.

Hubcity62973 1973年に出たらしいこのレコード,デイヴィスが実力を出し切っているとは言えない.悪いとも言えないけれど.

Find-Em Fool-Em & Forget-Emはミディアム・テンポの,リラックスした雰囲気のブルースで,イントロなんかはちょっとジャズっぽい.ジョージ・ジャクソンがFameレーベルから出したものがオリジナルで,そう思うせいか,Z・Z・ヒルのDown Home Bluesとか,その系統のブルースのようにも聞こえる.この曲,聞きやすくて,悪くはないんだけれど,なんだか盛り上がらない.RoosterのLPでも再演していて,そのRooster録音ではファンク・ブルースにアレンジされており,全然感じが違う.聞き比べると,うーん,Rooster録音の方が完成度が高くて,上だろうなあ.このHub-City盤のだらだら感も良いけどね.

Same Thing, They Did To Meはファンキーなブルース.なんか,こーゆーの聞き覚えがあると思ったら,彼がVirgoレーベルに録音したけど未発表に終ったWhat They Do To Me(P-VineでCD化)と同じ曲,ていうか,...同じ録音じゃないの,これ.そうだとすると,このレコードのため新しく録音したのがFind-Em Fool-Em & Forget-Emの1曲だけで,B面にはVirgo用録音でレコードにならなかったのをこっそり入れてしまったのではないか.もうちょっとで生涯気が付かないところだったよ.

レーベルのHub-Cityだが,テネシー州メンフィスとジャクソン,と記されている.Same Thing, They Did To Meの作者はB・B・キング,となっているが,B・Bは録音してないんじゃないかな.

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