2017年6月25日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(9)

この人は,ルイジアナの歌手の中で,オブスキュアな方だろうか.

Joe Richards, Dreaming Dreaming b/w You'ld Better Change, Carl 504.

Carl504 ルイジアナ州オペルーサスのレーベルから出たもので,1962年オペルーサス録音.ジョー・リチャーズは,このレコードを出した後,ジョー・リッチという名前でクロウリーのT-Birdから1枚出して,シングル盤はその2枚で全部のようだ.

昔々のことだが,T-Bird録音の方が,ブルース─その源流のさすらい人,第1巻,London(J) GXF2001,というLPで紹介されていて,そのLPのおかげで,この人の名前をどうやら記憶していた.

Dreaming Dreamingはスリム・ハーポのRaining In My Heartみたいなタイプの曲.結構良い声をしていて,ほのぼのとしたところも,哀愁もあって,ナイスなルイジアナR&Bではある.けれど,すごく印象に残る個性があるかというと,どうもなあ.ジョー・リチャーズは,この歌をT-Birdでも再演している.聞き比べると,T-Birdの方は,このCarl盤より少しゆっくりしているかな,というくらいで特にどちらの出来が良いということもない.

You'ld Better Changeの方は,ロックンロールっぽさもある,速いテンポのロッキン・ブルース.スリム・ハーポとかでもこんなのがあったな,などと思う.なかなか楽しく聞ける.ハーモニカが好演しているのだが,デイヴィッド・“ディー・ディー”・グラドニゴという,あまり有名じゃなさそうな人が吹いている.The Blues Discography 1943-1970を見ると,彼のハーモニカ演奏を聞けるのは,他にはロスコー・シェニエの2曲と,ロンサム・サンダウンのあまり有名でない曲くらい,のようだ.

You'ld Better Changeの方はUK AceのRhythm n Bluesin By The Bayou Rompin' & Stompin', Ace CDCHD 1388,T-Bird録音はBluesin' By The Bayou, Ace CDCHD1368,More Louisiana Swamp Blues, Flyright CD 24などのCDで復刻されている.

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2017年6月18日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(8)

これはLPからのシングル・カットなのだそうだけれど,ナイス・ブルース.

Tabby Thomas, Welfare Blues b/w Leave It Like It Is, Maison De Soul 45-1027.

Maisondesoul1027 以前にも書いたように,タビー・トーマスは,色々なことをするR&B歌手,のようだが,ときどき良いブルースがある.彼は,1980年代にMaison De SoulレーベルにLPを3枚録音しているそうだ.これらを,昔どこかのレコ屋で見たかもしれないが,何となく持っていない.これは,そのうち1枚め,Rockin' With The Blues, Maison De Soul LP-1010に入っているもの.

Welfare Bluesはスロー・ブルース.Welfare Bluesといっても,福祉行政に不満を言うとかいう内容ではなく,福祉窓口の列に並んでいた女といい仲になったが,それが,...という男女間の歌になっている.モダンで,スムースな作りの曲で,なかなか良い味わいの曲だと思う.

Leave It Like It Isはミディアム・テンポのソウル曲.楽曲は悪くないけれど,トーマスの歌が,ちょっと曲に合わないようだ.

1984年の録音.本人の歌,オルガンの他,ヘンリー・グレイのピアノも入り,クリス・トーマスもギターかドラムで参加しているようだ.

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2017年6月11日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(7)

前回に続いてアコーディオンの入るものを.

J. J. Caillier, Baby, Scratch My Back b/w Bring It On Home To Me, Caillier 8600.

Caillier8600 ええと,このJ・J・ケイリアー(と読むんですかね)という人だが,現在この名前で活躍しているザディコ・ミュージシャンは1967年生まれのJ. J. Caillier IIIという人だ.このレコードを作ったのは,その人なんだろうか?1984年デビュー,ということだから,まあこのレコードを出したとしても辻褄は合う.

とはいうものの,選曲がスリム・ハーポの有名曲に,サム・クックの超有名曲,って1967年生まれとしては懐メロ的じゃないかね.ひょっとして,先代の,今のJ・J・ケイリアーの父親じゃないか,などと考えたりする.

音楽の方だけれど,スリム・ハーポのBaby, Scratch My Backが,かなりいいんじゃないかと思っている.単純だけどノリの良いリフを,素朴なアコーディオンの音色でいつまでも反復して,それに語りが入る,という音楽.これが,妙な吸引力があって,ひとりでに体も動こうというもの.なんかローカル・ダンス音楽の恐るべき底力を伝えているぞ.

Bring It On Home To Meの方は,特にソウルフルってこともないが,アコーディオンが素朴に絡むのは悪くない.

R&B Indiesを見ると,Caillierレーベルは1975年からレコードを出しているようで,レーベル・オウナーがJ・J・ケイリアー.これは当代のJ・J・ケイリアーの父親じゃないと時代が合わないのではないか.

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2017年6月 4日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(6)

引き続きビル・パーカーというルイジアナのドラム奏者のことだけれど,Goldbandレーベルに録音していた頃からおよそ30年,自分のレーベルを作って出したレコードがこれ.

Bill Parker, I Know I'm In Love b/w The Things You Do, Optune 279.

Optune279 このレコード,写真付きのスリーヴが付いてた.その写真というのが,アコーディオンを抱えているのだが,あんた,ドラマーじゃなかったのかい?

それで,レコードのレーベルにはZydecoともR&Bとも書かれていて,本人の演奏なのかどうか,アコーディオンも入る.ザディコなら売れる,と思ったか?両面とも曲の作者とプロデュースはウィリー・P・ギドリー,つまりビル・パーカー自身となっている.

I Know I'm In Loveは確かにザディコでR&Bという感じ.にぎやかで,楽しく聞ける.パーカー自身が歌ってはいるが,これが弱点.残念ながら,歌はかなりダメな方だ.

The Things You Doはちょっと甘口のブルース・バラッド.まあ,雰囲気的には悪くないような...ただ,これもパーカーの歌が素人っぽいのが減点材料.

ということで,The Things You Do, Optune LP-0261というアルバムも出してはいるが,これ以上この人の歌を聞きたいか,と言われると,ビミョーなところ.

Billparker

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2017年5月28日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(5)

ビル・パーカーというドラマーが,ルイジアナで長い間活躍していて,いろいろな録音セッションに参加している.自身の録音は1950年代から1960年代にかけてGoldband等にある他,自身のレーベルOptuneでもレコードを出し,1990年にはLPも出ている.このシングル盤は1960年か61年の録音.

Bill Parker/Little Miss Peggy, Oink b/w Peggie's Blues, Goldband 1121.

Goldband1121 Oinkというのは,サックス中心の,陽気なR&Bインストゥルメンタル.Oinkって豚の鳴き声だが,サックスがぴ〜ぴっ,と頓狂な音を出すのが豚だろうかね.向こうの豚は甲高い鳴き声なんだな.

聞く価値があると思うのは,リトル・ミス・ペギーという女性歌手が歌うPeggy's Blues.リトル・ミス・ペギーって,誰だか分からないが,この頃,ビル・パーカーの録音のいくつかで歌手として起用されている.Peggy's Bluesはスロー・ブルースで,ルイジアナのブルースとしてはダウンホームでもなく,サックスも入り,ジャンプ・ブルースに近いように思う.それで,リトル・ミス・ペギーという人,目一杯の声量でシャウトしまくる.イントロが終わって,歌が始まれば,その迫力に,おおっ,と驚く.その勢いが最後まで持続するから,偉いものだ.伴奏のアレンジは少し落ち着きがないようで変てこだけれど,この豪快な歌いっぷりを聞くと,それはどうでもよくなる.有名ではないけれど,上手いと思うし,力量ある女性シャウターなんじゃないか.

ビル・パーカーは本名ウィリー・パーカー・ギドリー(Willie Parker Guidry).The Blues Discography 1943-1970によると,このレコードの伴奏陣は,サックスにD・D・ジョーンズ,ピアノにルーズベルト・ディカーソン,ギターにチェスター・ランドル,ベースにポール・ルイス,ということだそうだ.

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2017年5月21日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(4)

前回のレコードと同じく,これもジェイ・ミラーのレーベルから出たものだけれど,時代はあれより少し古い.

Mr. Calhoun, Hello Friends, Hello Pal b/w On The Sunny Side Of Love, Zynn 508.

Zynn508 ミスター・カルフーンといったり,ポルカ・ドット・スリムといったり,ヴィンス・モンローといったりもする,この方の本名はモンロー・ヴィンセント.色々な名前で少しずつレコードを出しているけれど,単独のアルバムは無さそうだから,そう有名でもないだろう.そうではあるけれど,質の高い作品を残した人だった.

このレコードの2曲,最初に聞いたのはGonna Head For Home, Flyright LP-517というLPでのことだった.もっとも,そのLPに入っているのはシングル盤とは別テイクだった.

Hello Friends, Hello Palはミディアム・テンポのブルース.ごくダウンホームな伴奏に,よく通る美声が心地よく,とても良い出来.この声の質が抜群なので,大ヒット曲みたいなのは無くても,ミスター・カルフーンことヴィンス・モンローは忘れられない歌手ということになる.

一方,On The Sunny Side Of Loveはメロディアスな,バラッドっぽいブルース曲.ケティ・ウェブスターも同じ曲を録音していた.この曲でも,朗々と,安定感ある歌を聞かせ,良い感じに和める.適度に力の抜けたハーモニカにも味がある.

The Blues Discography 1943-1970によると,録音は1959年.メンバーは,歌とハーモニカがヴィンス・モンロー,ギターがギター・ゲイブル,ドラムがクラレンス・エティーン,ということで,ほぼギター・ゲイブルのバンドによる伴奏といえそうだ.

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2017年5月14日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(3)

ザディコという音楽をあまり聞かないので,その方面で知らない傑作も色々あろうけれど,ザディコ・ブルースの良作として,これを推したい.

Bobby Price with Fernest and the Thunders, Mean, Mean Woman b/w It's All Right, Blues Unlimited 2006.

Bluesunlimited2006 1976年のレコードで,レーベルは有名プロデューサーのジェイ・ミラーのもの.伴奏のファーネスト・アンド・ザ・サンダーズというのは,アコーディオン奏者のファーネスト・アーセノーのバンド,というよりアーセノーのバンドの専属歌手がボビー・プライス,という関係だったそうだ.ファーネスト・アーセノーは何枚かアルバムを作り,ヨーロッパ・ツアーなどもしたから,ザディコの方では人気者だったと言える.ボビー・プライスの方はこのレコードの後,独立して自分のバンドを持ったが,あまり上手くいかなかったようだ.

Mean, Mean Womanは,モダン・ザディコ・ブルース,といえば,まあ当たらずとも遠からず.落ち着きあるスムースなスロー・ブルースで,次第に熱を帯びるヴォーカルがなかなかのもの.これを聞く限りボビー・プライスという人は優秀な歌い手だったように思える.ホーンが入りそうな曲調で,アコーディオンとラブボードがサポートするのがローカルな味わい.

ファーネスト・アーセノーのBlues Unlimitedへの録音はFernest and the Thunders, Blues Unlimited LP-5005というLPにまとめられている.そのLPにMean, Mean Womanも入っている.ただし,シングル盤のものとは別テイクだ.いや,そのLPを持ってはいないのだけれど,ネット上の某所に上がっているのを聞いたら間奏とか,その後の歌詞とか,あちこち違っていた.別テイクでも悪くはないから,LPの方がお買い得感はあるかも.

It's All Rightは軽快なR&B.なんとなくボビー・ブランドのThat's The Way Love Isなんてのを思い出した.普通ならホーンが担当しそうなところがアコーディオンで奏でられる.こちらもLPに入っている.

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2017年5月 7日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(2)

今度は生きていて,今も元気な人を.

Classie Ballou, All Night Man b/w Jealous Women, Lanor 593.

Lanor593 クラッシー・バルーは1937年8月21日生まれ.前回のギター・ゲイブルは1937年8月17日生まれだから,ゲイブルより4日だけ年下だ.もうすぐ80歳になるが,今でもCDを作り,ライヴ活動もしているようだ.10代にしてブーズー・シャヴィスの代表作Paper In My Shoeのセッションに参加し,1950年代からGoldband,Excello,Nasco,Soulsvilleなどでレコードを残してきた.このLanor盤は1983年の録音.1980年代ルイジアナ・ブルースの傑作だと思っている.

All Night Manはけだるい中に,ルイジアナの気候も想像させるような,じわっとくるスロー・ブルース.演奏は,ギターが3本使われ,1つはスライド・ギターで,それに生ハーモニカも絡んでくるというダウンホーム仕様.むずむずするリズムをバックに太い声でバルーが歌う.すごく上手いというのではないが,ローダウンな感覚がとてもよい.

Jealous Womenはアコーディオン,ラブボードが加わり,軽快なソウル風ザディコになっている.親しみやすいメロディーで,和む.

伴奏メンバーは分からないが,Jealous Womenのアコーディオンはプレストン・フランクという人だそうだ.両面ともAll Night Man, Krazy Kat KK800というLPに収録されていたそうだ.

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2017年4月30日 (日)

ルイジアナ・ブルースのいろいろ(1)

今年の1月28日,ルイジアナ州オペルーサスでギター奏者,ギター・ゲイブルが亡くなっている.彼は1937年8月生まれ,79歳だったそうだ.

Guitar Gable, This Should Go On Forever b/w Please Operator, Excello 2153.

Excello2153 これはギター・ゲイブルの名前でExcelloから出たシングルとしては最後,6枚めのもの.他のシングル盤と同様に歌っているのはキング・カールだ.

This Should Go On Foreverはニューオーリンズにありそうな,跳ね気味のリフを持ったR&Bバラッド.欠点なく制作されている,という感じ.つやつやした声のキング・カールの歌がよい.曲の作者にはプロデューサのジェイ・ミラーと,キング・カールの本名バーナード・ジョリヴィートの名前が記されている.曲を作って,歌っているのがキング・カールだから,ギター・ゲイブルの貢献度は少なそうだが,イントロや間奏で良く響くギターを聞かせていて,ちゃんと仕事をしている.

電話のベル音の擬音も入るPlease Operatorは哀愁たっぷりのルイジアナR&Bバラッド.ギター・ゲイブルの曲では,ローカル・ヒットになったLife Problemというのがあるが,同じようなパタンの作品だ.良い出来だと思われる.間奏のゲイブルのギターの音色にも哀愁が感じられる.

昔,Guitar Gable with King Carl, Cool Calm Collected, Flyright FLY599というLPで2曲ともリイシューされたことがある.1957年2月の録音,ということはゲイブルは19歳か,若いなあ.

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2017年4月23日 (日)

もっと熱い

前回の盤ではロニー・ブルックスが歌って,ビリー・ザ・キッド・エマーソンが伴奏をしていたけれど,今度は逆にエマーソンが歌ってブルックスが伴奏しているレコード.

Billy (The Kid) Emerson, I Took It So Hard b/w Every Woman I Know, Tarpon 6601.

Tarpon6601 歌手でキーボード奏者のビリー・エマーソンが得意とするのは,R&Bか,そうでなければロックンロール,というところだろうか.1950年代からSun,Vee-Jay,Chessで良い曲をいくつも残していて,優秀な音楽家なのだけれど,あまりブルースらしいブルースはない.

ロニー・ブルックスがギターを弾いているのはEvery Woman I Knowの方.高速なロッキン・ブルースか,それともロックンロールか,という曲だが,息が詰まるような勢いと熱気で,なかなかすばらしい.ロニー・ブルックスはキン,キンとリズムを刻むだけなのだが,演奏の熱さに貢献している.エマーソンの歌とオルガン,ベースにノーラン・ストラック,間奏でソロを吹くテナー・サックスがジョー・エヴァンズ,ドラムにはジェローム・ハリスというメンバーで1964年に録音されている.

エマーソンはEvery Woman I Knowを1955年にVee-Jayに録音していて,このTarpon盤は再録音ということになる.曲のエネルギーみたいなのでは,Tarponの再演の方がVee-Jayのオリジナル版を上回っているのではないか.Vee-Jayの録音はドイツBear Familyのリイシュー盤,Red Hot(Bear Family BCD16937)に入っていて,整った演奏だけれど,Tarpon録音を聞いた後では緩いようにも聞こえる.

I Took It So Hardは,ニューオーリンズっぽさも感じるゆったりしたR&B.The Blues Discography 1943-1970は1960年にMadレーベル向けに行ったセッションで録音されたもの,としている.Bear FamilyのCDの解説書には,Madレーベルで録音したテープの,ヴォーカル部分を再録音してTarponで出したと書かれているから,ヴォーカルだけは1960年より後の録音かもしれない.

Tarponというのはエマーソン自身のレーベルで,デニス・ラサールやマット・マーフィーのレコードも出ている.エマーソンの出生地はフロリダ州ターポン・スプリングズというところだから、レーベル名はその関係だろう。

ビリー・ザ・キッド・エマーソンに関しては,Sun,Vee-Jay,Chess,Madの録音を復刻した33曲入りのBear FamilyのCDが良い情報源になる.

ドイツBear Familyと言えば,同社から先週荷物が届いてねえ.それが,CD44枚組という,えらいものを売り出すものだ.その話もどこかで書くか,書かないか,考え中.

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