2012年5月27日 (日)

ハーモニカ・ブルースの愉しみ(6)

息子のケニー・ニールの方がレコーディングが多いのだけど,親父の貫禄は示している.

Raful Neal And The Neal Brothers, Hard Times b/w Down Home Blues, Fantastic 102.

Fantastic102 ルイジアナ州バトン・ルージュのシンガー・ハーピストとしても,子供たちをブルース・プレイヤーとして育てたことでも知られるレイフル・ニール.1987年頃にアルバムLouisiana Legendを出して,それは雑誌のレヴューとかも良かったし,その頃の新録音では気に入ってよく聞いた方だった.自分の持ってるそのアルバムはBlue Horizon盤だけど,Alligatorでも再発されている.しかし,元々はSunlandレーベルのFantasticから出たのがオリジナルだそうだ.Fantasticでは,そのアルバムを出す前に2枚シングル盤を出していて,これはその1枚目.

Down Home BluesはもちろんZ・Z・ヒルで有名な,よくカバーされるあの歌.なかなか良いと思う.ニールはWhitレーベルの録音より重量感が増した,ごわごわした声で,力のこもった歌を聞かせている.タイトル通りダウンホームに仕上がっている.アンプリファイした,渋い音色のハーモニカでソロを吹いていて,そうテクニックが凄いとは思わないが,十分に味わいがある.この曲,Louisiana Legendのライナーにはヒットした,と書いてある.

軽快に始まるHard Timesは,Turning Point調の曲で,懸命に働いてるのに生活が苦しいのはなんで,と訴える歌.楽曲としては良いと思うのだけど,レイフル・ニールには題材が新しすぎじゃないかねえ.こちらもハーモニカを聞ける.

録音は1983年7月で,ショウン・ブラウンのピアノ/オルガン,レイフル・ニール・IIIとレイ・リー・シェパードのギター,ノエル・ニールのベース,ラリー・ニールのドラム,というファミリー中心のメンバーになっている.

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2012年5月20日 (日)

ハーモニカ・ブルースの愉しみ(5)

前回のレコードよりずっと時代が新しくなって,1986年のもの.

Jerry McCain, She's Tough b/w Soul Shag, Heart 1961.

Heart1961 Soul Shagって題名からしてもしや,と思って盤面に針を下ろすと,軽快な伴奏にのって始まる歌は,♪カロライナに行くんだ,マートル・ビーチまで.いかした音楽でひとりでに足が動いちゃう...やっぱりそうか,これ,シャグのマーケットを狙ったんだ.シャグだビーチ・ミュージックだってコメントで教わるまで全然知らなかったけれど,こんなのも出てたのね.

ビーチ・ミュージックでブルースが受けることがある,とマッケインが知ったのかどうか,とにかくそっち方面でもヒットの可能性があれば,その仕様でシングル盤を出してみる,とはなかなか商売熱心だよな.それで,このSoul Shag,シャグで踊るといい気分,みたいな歌詞の,快活なアップ・テンポのブルース.にぎやかでとても楽しい.歌のメロディーは何かに似てて,ロンサム・サンダウンのMojo Manあたりかなあ.もっと似てるのがありそうだけど,分からない.それで,人の声そのもののような生ハーモニカの妙技を聞ける.

She's Toughは再吹き込みで,最初1960年に録音していて,これはSteadyといっしょにRexから発売された.だからこのHeart盤は26年ぶりの再演ということになる.ピアノ,スライド・ギターなどをバックにしたこの再演版は,これも,シャグ仕様なのかな.軽快に仕上げられている.マッケインの声は歳月を経ておじさん度と貫禄が増している.やはり良い出来だと思われ,ハーモニカ・ソロの展開など聞き物だと思う.

シャグ音楽のFAQがあったんで,リンクはっておく.

Shag Dance and Beach Music FAQ

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2012年5月13日 (日)

ハーモニカ・ブルースの愉しみ(4)

ちょっと時代を遡って,1962年の録音.

Jerry McCain, Jet Stream b/w Popcorn, Okeh 7158.

Okeh7158 ジェリー・マッケインのOkeh録音,伴奏しているのがメジャーな連中だとは,コメントで教えていただくまで知らなかった.このセッションに参加しているフロイド・クレイマー,グラディ・マーティンブーツ・ランドルフ,アニタ・カー・シンガーズらはThe Nashville A-Teamといって,1950年代から1960年代にかけてナッシュヴィルのセッション・ミュージシャンとして有名だった,って,ブルースしか知らないと,そういう教養がなくて,どうもいけない.カントリーの方に根っこのある人たちだそうだが,エルヴィス・プレスリーとか,ボブ・ディランとか,ジャズ方面の人々とか,ジャンルを問わず伴奏を請け負う,何でもござれの人達だったそうだ.

このジェリー・マッケインのOkeh録音を聞いていると,カントリーでもなくロックでもなく,洗練されてお洒落ではあるけれど,ちゃんとR&Bに聞こえる.

両面ともインストゥルメンタルなのだけれど,この,Jet Streamっていうのなんか,いかしてる.ハーモニカの音色からして格好良いもんなあ.何ハーモニカというのか知らないけれど,728 Texasで使っているのと同じ音色なわけ.ブーツ・ランドルフのサックス・ソロも違和感なし.

Popcornの方はちょっと,楽曲もアレンジもポップになりすぎかなあ.親しみやすいといえば親しみやすいけれどね.ハーモニカ演奏の内容も,もうひと押し欲しいような.それでも悪いということはない.

異種格闘技みたいなセッションだけど,前に採りあげたRed TopJet Streamは成功作だと思っている.

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2012年5月 5日 (土)

ハーモニカ・ブルースの愉しみ(3)

根拠もなく,長生きしそうなイメージを持っていたんだけど.

Jerry McCain, Hot Nuts b/w Woodpecker, Romulus 1004.

Romulus1004 ジェリー・マッケインが今年の3月28日,81歳で亡くなったそうだ.1950年代から1990年代までほとんど途切れることなく,同時代の流行にも目を配りつつ(色目を使いつつ?),南部で録音を続け,優れたブルース作品をいくつも作ってきた.ハーモニカ奏者として高く評価されているけれど,味のある歌手としても,ソングライターとしても,特別なアーティストだった.

このレコードは,1973年にジョージア州アトランタで録音されたもの.1984年にMerit 2508というレーベルと番号で,微妙に違うタイトルで再発されている.これが,さすがに骨っぽいサザン・ブルースを聞かせるのよ.

Hot Nutsは粘っこくかつ力強く歌われる力作ブルース.ハーモニカもたっぷり聞けるし,ギター始めバックもナイス・サポートで大変満足できる.Ice Cream Manみたいなエロい比喩の食べ物ソングではないか,と思う.作者はプロデューサーのゲイリー・サイズモアとなっているが,どうだろう.

Woodpeckerは軽快な,ノベルティ・ブルースというところか.しゃきしゃきしたリズムが快くて,これも良い.が,ハーモニカの使い方はちょっと控えめすぎないか.

というわけで,ジェリー・マッケインのブルース魂みたいなのは十分伝わるレコードではある.
Merit2508

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2012年5月 2日 (水)

7年が過ぎて

ええと,これを始めたのは2005年の4月28日,連休の時期だったのは,ヒマだから思い立った,というわけで.

7年間も続けてしまったのだけれど,7年も経てばThe Internetの世界は変わるよなあ.

ソーシャルメディアのプラットフォームが色々出てきて,ブログというメディアは定着もしただろうけど,古いものにもなりつつあると思っている.そうは言っても,こうやって半ば自分用のメモでもあって,他人様とも情報を共有する,というのにブログという形式は十分役に立つのも事実だよなあ.結論としては,また,ぼつぼつ更新していく,ということになるのだけれど.

新しく出てきたものは,うまい利用の仕方がよく分からなくて.

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2012年4月29日 (日)

ハーモニカ・ブルースの愉しみ(2)

この声は魅力的.

Whispering Smith & The Mighty House Rockers, Just Like A Woman b/w Hound Dog Howl, Sunland 102.

Sunland102 歌手でハーモニカ奏者のモーゼス・“ウィスパリング”・スミスは,生まれはミシシッピだそうだけれど,Excelloレーベルのルイジアナ部隊の一員としてそれなりの顔,という印象がある.そうねえ,Excelloのルイジアナ部隊の中ではスリム・ハーポみたいな大スターではなくても,LPは出しているし,欠くべからざるメンバーだったと思う.彼の,ごわごわした,野太い声の迫力は,ちょっと他の人には求められないものだし,ハーモニカだって上手い.

このフロリダのレーベルのものは,1982年11月の録音で,なかなか良い感じだ.ピアニストのヘンリー・グレイも参加して,彼が演奏の要になっている.

Just Like A Womanはアップテンポの,昔ながらのルイジアナ・ダウンホーム・ブルースになっている.うきうきするようなリズムをバックに,スミスはいつもの迫力声で元気一杯に歌っている.生ハーモニカのソロも非常に表現力豊かだ.バンドの躍動感を生んでいるのは,ヘンリー・グレイのピアノで,彼の張り切りぶりも聞き物だ.

Hound Dog Howlは同じような感じの,スミスのハーモニカを中心とするインストゥルメンタル曲.キーとテンポを決めて,あとは即興,みたいな感じだけれど,良い雰囲気ではある.

ヘンリー・グレイ以外では,ギターに18歳のクリス・トーマス,というのは注目されるだろうか.ベースはジョー・ターナーという人,ドラムはタム・トーマス,となっている.

このレコードでは元気なウィスパリング・スミスだったが,1984年には亡くなってしまい,このSunland録音が最後の作品になってしまった.享年52歳だから,もう少し長生きしていれば,良い作品をもっと残せていただろうに.

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2012年4月22日 (日)

ハーモニカ・ブルースの愉しみ(1)

ハーモニカの入るのをもう一つ.

Cliff Jackson & The Naturals/The Naturals, Nine Below Zero b/w Up The Wall, Midnight Sun 2.

Midnight Sunはシェルビー・シングルトンのレーベルだから,SSSなんかと同系統ということになる.

Nine Below Zeroは前回のサミー・ルイスのレコードをリイシューしたSundownのLPや,日本盤のLP,Frank, This Is It (P-Vine PLP-389)に入っていた.たぶん何かのCDでも出ていると思う.もちろんサニー・ボーイ・ウィリアムソンNo.2の曲だ.ソリッドなリズム,太い音色で鋭く切り込んでくるギター,深みのある声で力強く歌うヴォーカル,それに迫力あるアンプリファイド・ハープが絡んでくる.というわけで,大変すばらしいカバー・バージョンになっている.このハーモニカ奏者が誰だか分からない,というのがもどかしい.
Midnightsun2
ザ・ナチュラルズ名義のUp The Wallはアップテンポのインストゥルメンタル・ブルース.なんとなくOff The Wallっぽいタイトルだが,ハーモニカは入らない.代わりにギターとテナー・サックスが大活躍する.かなり格好良い.ハーモニカを聞きたかったが,仕方ないな.

The Blues Discography 1943-1970は1970年メンフィス録音としていて,メンバーは不明としている.P-Vine PLP-389のライナーは,クリフ・ジャクソンはドラマーとしてアービー・スティドハムの録音に参加していることと,プロデューサーのテディ・ペイジはウィリー・コブスの録音でギタリストとされていること,を指摘している.

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2012年4月15日 (日)

Across the River

これは,1970年代後半にアーカンソー州ウェスト・メンフィスで録音されたもの.

Sammy Lewis, You Lied To Me, Baby b/w Somebody Stole My Love, 8th Street 1001.

8thstreet1001 ウェスト・メンフィスは,ミシシッピ川をはさんでテネシー州メンフィスの対岸にある街だから,だいたいメンフィスのようなものではないか.サミー・ルイスは1950年代にSunレーベルに録音した歌手でハーモニカ奏者で,録音機会がない間もずっとメンフィス辺りでブルースを歌っていたものか.

You Lied To Me, Babyはミディアム・テンポの曲で,まったく昔ながらのダウンホーム・ブルース.ハーモニカ・ソロの味わいが格別だ.スタイルは1950年代からほとんど変わっていないように思われる.

Somebody Stole My Loveの方はスロー・ブルースで,非常に良い出来と思われる.本物感のある深い深い声がたっぷり聞けて,いやあ,さすがにキャリアのある人は違うもんだ,と思わせる.伴奏のギターがアコースティックなのは,不思議な趣味,だとは思うが,まあ大した問題ではない.

1977年の録音だそうで,伴奏はドラムがビル・フィントンという人で,ベース,アコースティック・ギター(2人いるようだ)は誰だか分からない.両面ともBlow By Blow (Sundown CG709-01) というLPでリイシューされたことがある.

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2012年4月 8日 (日)

浮沈(3)

ホージア・リーヴィの次は,弟の方も書きたくなる.

Calvin Leavy, What Kind Of Love b/w Give Me Your Loving, Loving, Loving, Soul Beat 116.

Soulbeat116 カルヴィン・リーヴィ,Cummins Prison FarmがR&Bチャート入りするヒットとなって浮上するかと思えたが,結局,期待されるほどメジャーな存在にもならなかった.その後はチャート入りするヒットは無かったし,シングル盤を集めたコンピレーションは日米で出たけれど,次々にアルバムをリリースというわけにはいかなかった.シングル盤の一つにはLP,Thieves and Robbersから,と記されていたが,そのLPは出なかったと思われる.

その後,彼に関して良いニュースを聞くことはなかった.彼は1991年に逮捕され,翌年麻薬関係の罪で収監される.服役中に病気で亡くなったのは2010年6月6日のことだった.とても安らかな最期を迎えたように思えない.刑期は当初終身プラス25年だったが,その後75年の刑に減刑されたという(以上,http://en.wikipedia.org/wiki/Calvin_Leavyによる).しかし,米国って麻薬関係で75年なんていう重い刑があるのかね.それほど重い刑を課せられるほど彼は麻薬界の大物だったのだろうか.まさか,刑務所告発の歌なんてやったせいで,官憲の標的になって,必要以上に重い刑が課せられたなんてことはないだろうね.

このレコードは1974年に録音されたもの.カルヴィン・リーヴィ,さすがにホージア・リーヴィよりずっと本格的なちゃんとした歌手,という感じがする.What Kind Of LoveはP-VineのLPに入っていた.It Hurts Me Tooにも通じる8小節ブルースで,切々と訴えてくるものが感じられる.少々ローカル臭さはあっても,彼の傑作の一つと思われる.

Give Me Your Loving, Loving, Lovingはファンキーなリズムを持った曲で,CD/LPでは出ていないと思うが,こちらも良い出来だ.ギターとか,南部っぽい味わいだ.

メンバーはカルヴィンのギター,ホージアのベース,パット・ブラウンのドラム,リロイ・キャンベルのギター,アリスター・エイカーソンのテナー・サックス,となっている.

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2012年4月 1日 (日)

浮沈(2)

ホージア・リーヴィのレコードをもう1枚.

Hosea Leavy with Calvin Leavy's Band, It's Too Early In The Morning b/w You Can't Lose What You Ain't Never Had, Soul Beat 113.

Soulbeat113 両面とも昔P-Vineから出て,CD化もされたカルヴィン・リーヴィのLP(Cummins Prison Farm PLP-701)に入っていた.The Blues Discography 1971-2000によれば1973年にアーカンソー州リトルロックで録音されたもので,ホージア・リーヴィが歌とベース,ポール・ブラウンがピアノ/オルガン,リロイ・キャンベルとカルヴィン・リーヴィがギター,パット・ブラウンがドラム,とされている.

It's Too Early In The Morningは結構速めのブルース曲.ホージア・リーヴィは終始野卑に歌い散らして,相当に騒々しい音楽になっている.声の迫力はかなりあって,深いものには欠けているとしても,この騒々しさを楽しく味わうべきだろう.

You Can't Lose What You Ain't Never Hadはマディ・ウォーターズが1964年に録音した曲.スロー・ブルースで,垢抜けないが,えぐい声,ローカル臭漂うバンドが混然となって昔からわりと好きだった.1973年という時期としてはずいぶん異色のダウンホーム・ブルースと言えるのでないか.

ホージア・リーヴィ,キャラは立っているのだが,大物とは言えなくて,P-VineのLPで聞いていた頃はシングル盤どまりのローカルな人,って感じだった.だからFedoraレーベルからアルバムを出したときは,意外な浮上だな,なんて思ったりした.

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